日 目

 

 2日目は、当初の計画では、昼すぎまで帯広の近郊や市内を回るつもりだった。かつての広尾線の幸福駅や愛国駅にも行くつもりだった。30年余り前に訪問したこの2駅、今はどうなっているのかとても気になっていたので、2駅訪問を楽しみにしていた。ほかにも真鍋庭園などいくつか行こうと考えていた。

 ところが、早朝にネットをしていたら、な、なんと台風がまた発生しているじゃないか! と気づき、この後は対策をどうするかと検討した。台風は本日は何ともないが、翌日には沖縄本島などを襲撃し、翌々日には本州にもやってきそうな気配である。それで、急きょ予定変更にした。元のプランでは、午後から糠平に向かう予定だったのを、帯広近郊や市内を回るのにとtりやめて、バスターミナル発7時10分のバスに乗車した。そして2泊のつもりだった糠平温泉には1泊とし、翌日の夜には帰宅することにした。

 画像は帯広駅。駅前にバスターミナルがある。以前、帯広駅にきたのは30年前。当然のことながら全然違った駅になっている。
 この日はホテルの朝食をパス。朝食は7時からなのだが、バスターミナル発7時10分のバスを使うことにしている。バス車内で食べるパンなどを、バスターミナルに行く途中、コンビニで買った。

 バスの行先は、ぬかびら源泉郷。平成16年に、住民の要望で、”糠平”という地名は”ぬかびら源泉郷”にかわった。乗車して次のバス停は何といま行ったばかりのコンビニのそば。見知らぬ土地ではこんなこともあるものだ。すぐにパンなどで朝食。

 

 バスは高校生が多く乗っていた。全員、上士幌高校の生徒だった。バス停が学校のまん前にあるのは便利だが、バスの本数は少なくて通学はなかなか大変だろう。

 
 8時45分、1時間35分かかって、ぬかびら源泉郷に着いた。終着の1つ手前の停留所の”ぬかびら中央公園”で下車。ぬかびら源泉郷は、9軒の旅館のある小さな温泉街だ。

 今回泊るのは、糠平館観光ホテル(以下は、糠平館と書く)。まず、糠平館に着いて、2泊の予約をしていたが、台風が近づいているため1泊にすることを伝えた。申し訳ないのだが、帰れなくなれば困るのでやむを得ない。チェックインはまだできないので、荷物を預けた。タウシュベツ橋梁を見学するツアーを利用するためだ。
 

 
 ツアーは、糠平館から歩いて3分ほどの"文化ホール”に集合だった。この日の参加者は3人だった。

 ”ひがし大雪自然ガイドセンター”がやっているツアーで、雪がとけてタウシュベツが姿を現すゴールデンウイークのころから秋までやっている。ただ、早ければ7月、遅くとも9月にはタウシュベツ橋梁は水没し、水没すれば別のアーチ橋の見学に切り替えられる。費用は3000円だが、参加者が1人の場合は4000円となる。
 

 

 
 8時50分の集合にぎりぎりセーフ。ガイドから橋のことなどについての説明や熊が出没することもあるなどの説明を聞き、いよいよタウシュベツ橋梁へ向けて出発。

 この道路は、かつて士幌線が廃止される前のしばらくの間、末端区間である糠平・十勝三股が代行バスで運転されていたのだが、そのときに代行バスに乗車して通っている。でも、そのときから30年がたった上、乗ったときは雪に覆われていて一面が雪景色だったこともあり、ほとんど記憶が残っていない。
 
 国道から少し外れ林道の入口へ。ここから中は、営林署で許可を得て、入口のカギを交付された車だけが入ることができる。

 かつては、この扉はなく、自由に車が出入りできていたのだが、慣れない林道で事故を起こす車が多発したことで、2009年のシーズンからこの規制がさされることになった。

 
 しばらく行くと、ダム湖の完成後につけかえられた方の線路跡と交差する。残念ながら、ここを乗車することはできないまま、代行バスになり、代行バスには乗車したが、この区間を列車に乗車することはできなかった。

 画像は、十勝三股方面を見たもの。

 
 タウシュベツ橋梁近くに車を置いて、最後の300mほどは徒歩で向かう。その道は、つけかえられる以前の古い線路跡である。

 この道はぬかるみがあり、無料で貸してもらえる長靴で歩く。この道の途中からは折れた木の残骸などがあり歩きにくい。昨年はダム湖の水位が高く、この道の途中までが水没していたためだという。

 

 
 この付近はヒグマの生息地だ。 この付近で襲われた人はでていないとのこと。それでも、ガイドは熊よけの鈴をつけて歩いていた。

 

 

 

 

 

 ついにタウシュベツ橋梁に到着。水が橋脚の下にある程度たまっていて、橋が湖に浮かぶ状態になっている。一番見ていて絵になる時期だ。
 

 右  橋のすぐ近くから撮影。かなり老朽化しているのがわかる。

 下左  橋の端のところ。

 下右  端の中央部のすでにかなり崩れかけている部分。壊れるとしたら、この部分から崩れていくだろう。

 
 

 

 上  少し離れたところからタウシュベツ橋梁の全体を撮影。
ここ数年で急速に破壊に向かっているってこと。ガイドはあと数年で崩れるだろうって言っていた。この橋は文化財にはなっておらず、指定の動きもないとのこと。

 右  第五音更川橋梁。国道に止めた車の中から撮影。

 

 旧幌加駅。十勝三股よりから糠平方向を望む。

 

 

 新たに造られた駅名標。
 

 

 旧幌加駅の構内を十勝三股側に抜けたところ。ミニアーチ橋がある。

 

 三の沢橋梁。橋の上は遊歩道になっていて、そのために手すりがつけられている。
 

 
 タウシュベツからホテルに戻ったのは12時過ぎ。予定を30分オーバーして3時間のツアーとなった。

 部屋にはまだ入れないということで、チェックインの手続きだけして、先にホテルのレストランで昼食をとった。はじめて豚丼をたべてみた。なるほど、こんなのだったのかと納得。

 
 昼食後、部屋の用意ができたということで、しばらく部屋で休んだ。このホテルで唯一のシングルの洋室。他の部屋より格安で利用できるのでここを選んだ。部屋が狭いのと、バスルームがないためだがまったく問題ではない。部屋にバスがあっても、大浴場に行くので必要ない。
 30分ほど休んだあと、線路跡などの散策のために外出した。ホテルのそばには糠平中央公園があるのだが、桜が満開だった。5月末に桜が満開とは、、
 
 昼食後は士幌線の廃線跡の探訪などを行った。まずは、糠平駅の跡にある上士幌鉄道資料館に行った。糠平の温泉街のはずれにあるが、これでもダムができたときに移設され、ダムができる前の旧線時代は温泉街まで4kmを歩いたのだという。
 小さな建物だが、中の展示は充実していて、フィルムも含めて1時間ばかり見学した。
 資料館の裏手にはトロッコ用の線路が敷かれていた。トロッコは残念ながら、運転手?の方が体調を崩されて運休中だとか。

 
 駅名標。よく見ると”ひがし大雪高原鉄道"と書いてある。これはトロッコのこと。

 
 トロッコの終点をこえると、線路跡の雰囲気のある遊歩道が続く。

 
 糠平川橋梁は通れるようになっている。ただし、手すりがつけれていて、上を歩いてもあまり線路跡の実感はしなかった。

 
 橋を越えてさらに行くと、今度はトンネル。ただし、トンネルの中は通ることはできない。そのため遊歩道はトンネルの上の山を越えて行くようにつくられている。このトンネルの上にも行ってみたが、トンネルごとに山越えするのは大変なので、遊歩道の探訪はこれで終わりにした。
 糠平川橋梁を少し離れたところから眺めた。アーチ橋は、離れて見てこそ味わいがあり、上を通るだけではあまり面白くないと実感した。
 ホテルに戻るまでに、ひがし大雪自然博物館に行ってみた。これは糠平付近や大雪山系の模型。この模型で、糠平が層雲峡に近いことや、十勝三股が盆地になっていることなどを知った。

 この博物館には、昆虫の展示が多いのだが、自分は好きではなく、ちょっと気持ち悪かった。だから、ここは昆虫の嫌いな人にはおすすめしない。
 

 糠平館の温泉の特徴は、混浴の露天風呂があることだ。ただし、19時から22時は女性専用になっている。混浴の露天風呂は、「仙境の湯」と名付けられている。この露天風呂には旅館の裏手を階段で下って行ってたどりつく。画像は上のほうから露天風呂をながめたところ。

 

 あまり大きくはないが、森に囲まれた野趣あふれた露天風呂だ。他に入浴者はなく、この露天風呂を独占した。
 

 ごく簡単な男女別の脱衣場がある。この露天風呂には、15時にホテルに戻ってきてすぐと、深夜1時ごろの2回入浴した。
 

 普通の温泉風呂は、2つあるが深夜0時に2つの風呂の男女別割り当てが変わるようになっている。昼間にはこの風呂に入った。

 

 2つの風呂にはどちらも露天風呂がついている。ただし、混浴の露天風呂ほど自然の中で入浴しているいう感じではない。

 

 男女別が入れ替わったあと、深夜と翌朝にもう1つの風呂に入った。こちらは岩風呂であった。3度、風呂に入って満足であった。
 

 風呂に入ったあとレストランで夕食。豪華ではないがそこそこ量があり、味もまずまずでよかった。

 

 野菜鍋と陶板焼。グレードアップすれば、野菜鍋がすき焼きになったりするようだがこれでも十分。

 夕食後はロビーでネットを楽しんだりした。部屋ではできないのが難だが、こんな山奥でネットができることのほうを喜ぶべきだろう。

 22時ごろになると売店やラウンジも店じまいするようで、それにあわせて部屋に戻った。ロビーでのネットは深夜にはするのがはばかれるがやむを得ない。このあとはテレビなどを見てすごし、深夜、日付が変わってから、また温泉に入った。


 

 

 

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