1 日 目 (旧暦大晦日)
2005年、久しぶりに香港に行き、1年に一回くらいは来たいなって思っていた。それから1年、その旅を実現させようと考えている中、2004年から香港の赤蠟角(チェクラプコク)空港から澳門(マカオ)へ、直接行くことができる高速船が出ていることを知った。次の香港旅行では、ぜひ澳門に行きたいと思っていたのだが、澳門に行くのであれば、香港のついでに行くというのではなく、澳門だけに専念できるほうがいいと考え、空港からの高速船を使うことにした。 2005年の香港行きと同じく、キャセイ航空のホームページで航空券を購入。行き帰りとも、エコノミークラスの最前列で自分の前が広い席の通路側をゲットした。隣の席は空席で圧迫感もない。ただ、隣の席との間にある肘掛が固定式になっていて、持ち上げることができないのが残念だ。 日本出発日は、旧暦の大晦日。お正月の香港を見ようとする客が多いかなとか思っていたのは大間違い。ガラガラの状態で、2〜3割の乗客しか乗っていない。良く考えてみれば、お正月に、ビジネス客が行っても仕事にならないし、食事や買い物だけが目的の客はお目当ての店が閉まっている可能性が高い。となれば、少ない乗客数もわかる。 機内食はシーフードパスタを選んだ。このほかデザートとしてアイスクリームが出るのだが、昨年はハーゲンダッツのカップ入りのものだったが、今年は、マグナムという初めて聞くブランドのスティックについたものになり、経費節減のあとが感じられた。 香港に到着。大きな空港の端のほうに到着したようで、かなり歩いた上にトレインで空港の中心部に向かう。そして、普通ならば、入国手続きをするエリアの直前に、船の切符売場がある。ここで、切符を購入。自分は手荷物しかなかったのだが、預け荷物のある場合は、ここで手続きすると、澳門の船を降りてから荷物を受け取れるようになっている。 1万円を香港ドルに両替したあと、トランジット用の通路を通り、出発ゾーンに入る。出発ゾーンの中の、バスで飛行機に向かう場合のエリアに、Sky Pier行きのバス乗場がある。下の画像に10とあるが、10というのはゲート番号のひとつで、たくさんある出発便ゲートの1つがSky Pier向けのバスの出発口になっているのだ。 バスで、鉄条網に囲まれた特別区域を走る。その途中で雨が少し降っていることに気付いた。実は傘をもってきていなかったのだ。出発前に荷物の整理をしていて入れるつもりをしていたのだが、家を出た直後に入れるのを忘れたことに気付いた。でも、あとの祭り。取りに帰る時間がなかったので、この時期、雨が降らないだろうと考えて、そのまま空港に向かったのだ。ま、さほど 強い雨ではないので、よしとしよう。
Sky Pier到着後、待合室でしばらく待った。Sky Pierからは、澳門のほか、深センはじめ中国の数箇所に向けての高速船が出ている。もっとも、観光客に関係のありそうなのは澳門だけである。 乗船してみて、乗客がとても少ないことに気付いた。船内はガラガラ。大きな船に20人くらいしか乗っていない。これで経営が成り立っているのかどうか心配するくらいだ。(帰国時には、満席に近い状態だった。きっと、澳門に来る客の多くは、大晦日の前日くらいにはやってきていたのかもしれない。) まったく揺れることもなく静かに航海。高速船なのだが、早いのか遅いのかもよくわからない。船に乗っている間も雨は少し降っていて、視界はよくなく、なかなか澳門の市街が見えてこない。45分で澳門に到着。 フェリーターミナルはとても大きい。1階が入境大堂、2階が出境大堂になっている。到着すると、とても多くの入境客で入国審査場はごった返していた。ほとんどの客は、香港からの客のはずだ。 香港を経由し澳門に行った場合、香港のスタンプが4個と澳門のスタンプが2個押されれることになるが、自分の場合は澳門の2個だけだ。出入国に関しては、澳門は香港と同じで、ひとつの国のように扱われている。中国、香港、澳門のそれぞれの出入は、外国の扱いになっている。はじめての人は何か変な感じがするかもしれないが、現地にいってみて、歴史的な事情から、澳門は、中国とはもちろん、香港とも違った文化を持った特別な区域ということがわかり、こうした制度も現実によく合致していると思った。 フェリーターミナルからホテルまではタクシーに乗った。たいした距離ではないのだが、23パタカ(約335円)。1.5kmまで10パタカ、あとは200mごとに1パタカなので、15パタカくらいかなと思っていたのだが、渋滞のため、時間がかかって、停車中にメーターがどんどんあがっていったのだ。ホテルの近くまでやってくると、降りて歩くことをすすめられ、指差された方向に少し歩いた。 泊ったのは、富華酒店。中級のようだが、お正月とあって特別料金になっていた。やむを得ない。ネットで予約したときに承知していたが、レセプションで再度、同じ値段を言われる。 澳門の大きなホテルは、フェリーターミナルに比較的近い埋立地に多い。そういったところは、何か味気なさそうな感じもして、昔からの市街地の中にあるホテルを中心に、値段面も考慮して選んだ結果がこのホテルだった。周囲には、ほかにはホテルがなく、商業地と住宅が混じっているような エリアだ。 このホテル、外から見ていただけでは6,7階建てのような感じだったのだが、実は22階建てで、割り当てられた部屋は20階だった。 部屋の窓からは、高層住宅がたくさんあることがよくわかった。 すでに17時30分を回っており、少しでも回れるところは回りたいと思い外出する。この日は、土地勘をつけるために、セナド広場あたりまでを往復するだけにとどめる。 澳門の街路標識はポルトガル情緒に満ちている。まず、ポルトガル語が併記されている。なかには、ポルトガル語が左に大きく書かれ、漢字は右端に小さく縦書きされているタイプもある。さらに、ポルトガル風のタイルに書かれているのも雰囲気を盛り上げている。このタイルは、アズレージョといい、ポルトガルではたくさんのアズレージョを使って壁画をつくったりするらしい。 街中の看板などに書かれている外国語も、英語よりポルトガル語のほうが圧倒的に多い。両方が書かれている場合も、まずポルトガル語があって、次に英語という感じだ。 さて、雨が一向にやむ気配がない。傘をさしている人が多い。どこかで、傘を見つけて買うことにし、見つかるまでは軒下を中心に歩くことにする。 20分ほど歩いて、セントポール教会跡に到着。澳門を代表する有名な場所だ。教会の前面の壁だけが残っているのを確認。あたりは暗くなってきているが、何とか写真も撮影できた。 傘を売っている店がなかなか見つからず、雨の中をさらに歩く。澳門の街路は、石畳が敷き詰められているところが多い。石畳のことをカルサーダスというらしいが、カルサーダスにいろいろな模様が描かれていることが楽しい。セントポール教会跡からセナド広場に向かう道も、波の模様などが描かれていた。 セナド広場に到着。もう真っ暗になっている。ここが澳門の中心といえる広場だ。広場には、明かりを中に入れた犬のはりぼてなどが置かれ、お正月ムードが漂っていた。 セナド広場にある黄枝記という麺類の専門店で夕食。水餃牛腩麺を注文。牛バラ肉と餃子の入った麺である。画像では餃子は写っていないが、麺の下に2個入っていた。麺はやや固めの細麺で、スープはあっさり味だ。餃子は海鮮餃子のようで、蝦入りだった。 麺だけでは足らないかと考え、酥炸魚球も注文。魚のすり身でつくったダンゴをあげたもので、イカかタコも混じっていた。右の小皿には、貝を酒につけたようなものがはいっていて、これをつけて食べた。 内装も古い家具があったりして、雰囲気がよかった。この店は香港にも支店があるが、本店はこのセナド広場に面している店だ。 セナド広場には露店が出ていて、正月用品などを売っていた。この広場では、露店がいつも出ているのかなと思ったのだが、翌日の夜にも行ってみたら露店はでてなく、大晦日だけなのだろうか。そして、たくさんの人の群れ。多くの人が広場に集まっていた。幸い、雨が小降りになって、かさがなくても大丈夫になった。 露店で売っていた正月用品。このほか、犬のぬいぐるみなど、露店めぐりも楽しかった。
セナド広場に面している、牛乳プリンで有名な義順という店にいった。牛乳プリンと卵プリンがメインメニューの店で、どちらも冷たいのと暖かいのがある。それで、冷たい牛乳プリンと暖かい卵プリンを注文。この店も、澳門だけでなく香港にもたくさん支店を出しているが、セナド広場に面したこの店が本店だ。 セナド広場では、食事や露天めぐりで楽しく過ごせた。もう少し長くいたら、カウントダウンのようなこともやっていたのかもしれないが、疲れもあったので、ホテルに引き返した。 翌日は、澳門の世界遺産めぐりを計画しているので、世界遺産に指定されている史跡や広場をチェックして、回るルートを考えたりしながら、大晦日の夜を過ごした。
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