ウブドの休日(8)

 12月30日

 早いもので、一週間がたってしまった。いよいよ、最終日である。島内のみごころはまだあるし、夜の踊りで見てみたい歌舞団も残っている。食べ損ねた料理や果物もある。ぜひ、また来てみたいという思いといだきながら、早朝から荷物の片付け。

 朝食の前に、宿の人たちにお礼。ゆっくりとくつろげた宿で、本当によかった。朝食をとりながら、同宿の日本人男性から、お葬式が見られて、ジェゴグのツアーにも行けて良かったでしょうと言われる。その通りである。お葬式はいつあるかわからないし、ジェゴグのほうも、小規模な演奏会は月2回の割合でツアーがあるようだが、海岸での大規模な演奏会は年末に1回あるだけだという。よい時期に来たものだと思う。

 食事のあと、昼まで、最後の半日を使って、再度、ウブドの村を散歩する。表通りは、一週間のうちに何度となく通っていたので裏通りのほうにはいってみる。表通りを歩いているだけでは気づかなかったのだが、ちょっと裏通りに入ると、その道は田んぼのなかのあぜ道のようになる。ウブドは田んぼの地帯の中に浮かぶ島のような存在なのだ。田んぼでは、機械を使わずに田植えをしていたし、牛が大活躍しているしで、なつかしい風景を見ているかのようであった。 村の郊外には、小さな川が渓谷を形作っているような個所もある。かなり深い渓谷である。その渓谷沿いに、高級ホテルがならんでいて、そうしたところのカフェから渓谷がよく見えるという。次回来たときには寄ってみたいものだ。今回は、その渓谷へいってみる。よくこんなに深い谷になったものだと思われるくらい深い。

 ちょっと早めの昼食をとったあと、12時に宿に戻る。シャワーを浴びて、今買ってきたばかりのお土産を片付けて、部屋を出る。一週間、なじんだ部屋。来たときには、これまで泊まってきたホテルとの違いにとまどったものだが、名残惜しくなってしまった。チェックアウトしたあと、宿の車が用意されるのを待つ。 帰りもアニャンの運転で、空港へ送ってもらう。途中に、バリ島南部のビーチエリアの町を見学していくことにする。まず、デンパサール。バリで最大の町であるだけに、かなり広い。この町と比べてみれば、ウブドは田舎の村である。

 まずは、バリ博物館を見学。島内各地の文化のエッセンスがわかるようになっていて、バリへやってきたら最初に見学するのがよさそうなところであった。続いて、市場を見学。ウブドの市場とは比べ物にならない巨大な市場である。果物と売るコーナーが延々と続くかと思えば、お供えものを売る店がいっぱい集まっているところがあったり、カゴに入れられた鶏がつんであるところもある。ともかく、大きな市場である。ここへは、デンパサールの回りの町の人たちも買出しにやってくるのだという。

 つぎは、デンパサールの南のクタを見て回る。安宿が集中しているエリアである。日本のパッケージツアーで格安のものは、クタに宿泊することになっている。観光客相手の店が道路沿いに延々と並んでいる。観光客の数は、ウブドよりも格段に多い。車も多いので、町中で渋滞がおこっていて、ノロノロ運転である。海岸に出てみる。ちょっと、波打ち際までいって写真をとっただけであったが、すぐに物売りに囲まれてしまった。買うつもりはないので、完全無視してふりきって車に戻る。

 クタを出ると、その南には空港があるのだが、まだ時間の余裕があるので、いったん空港を通りすぎて、ヌサ・ドゥアへ向かう。ヌサ・ドゥアは、超高級の大型ホテル の立ち並ぶエリアである。日本のパッケージツアーでハイグレードなものは、ヌサ・ドゥアに宿泊することになっている。なお、バリのビーチエリアとして重要なところにはほかに、サヌールがあり、ヌサ・ドゥアとクタの中間的な存在である。

 ヌサ・ドゥアのホテルの建物は、道路とはヤシなどの木々で離されているので、木々の合間から、それらしき建物が見えるだけである。ホテルとホテルの間もはなれているので、そうした移動も車である。そのために、歩いている人はほとんどいない。

 いよいよ、空港へ。アニャンにまたやってくると伝え、ターミナルに入る。世界的な観光地の玄関にしては、こじんまりとした空港である。チェックイン、出国手続きをして、まだ2時間の余裕がある。免税店に入ってみても、わずかな店しかないし、結局、じっとぼんやりと過ごす。日本アジア航空機でジャカルタ経由で帰国。

            完     トップページへ