2018.5     大阪 十三

 

 旧友と語らう会が大阪・十三(じゅうそう)であった。

 十三は阪急電車では重要駅だ。阪急の3大路線は、大阪・梅田と、神戸・三宮、宝塚、京都・河原町を結ぶ路線だが、3つの路線は、梅田から十三の間は並走し、この区間は路線別の3複線になっている。十三に向う途中、梅田から乗車した電車はたまたまだが、3つの路線の電車が十三まで並走し、なかなか面白かった。十三を出ると、線路が3方向に分岐するので、十三は阪急の重要駅の1つだ。

 集合は駅の東口だったが、梅田から乗車した神戸方面行の電車が停車する1号線(ちなみに、阪急ではホームの番号を「〇番線」とは言わず、「〇号線」と言っていて、普段聞かない言い方のため、阪急に乗車するといつも違和感を感じている)は、階段を上下せずに駅の西口に出られたので、西口に出た。
  西口を出ると、改札口に相対して金券ショップがあり、店の前には阪急の切符のディスカウント自動券売機が置かれていた。

 関西ではこの手の自動券売機が駅前などに置かれているのだが、今まで利用したことはなかった。自宅最寄駅などでは設置されていないし、自宅に近い大きな駅では、金券ショップが改札口から5分ほど離れたところにあって、店の前にはディスカウント自動券売機が置かれているのだが、わざわざ5分歩いてという気にはなれないからだ。
 旧友との会が終わったあと帰るための切符を買っておくことにした。当日は土曜だったので、梅田も含まれる150円区間の土日祝の切符を120円で購入。

 土日祝用の回数券は10枚分の値段で14枚買えることをうまく利用した商売だ。1500円で土日祝用の切符は14枚買える。これを1枚120円で販売すれば、14枚で1680円の売上になり、差引180円の利益になる。

 この自動券売機を撮影した自分の背中側はすぐに阪急の改札口がある。よくやるなぁと思うが、違法ではないから堂々と商売している。
 上左  切符は穴のあいたケースに入って出てきた。これはびっくり。よく考えれば、切符を1枚づつ出す構造だと特注しなけらばならないが、ケースを使えば飲物の自動販売機と同じ仕組みであるから、少し改造するだけで使える。なるほど、よく考えたものだ。

  上右  切符の入ったケースは自動券売機の横にとりつけられた回収箱に入れるようになっている。でも、ゴミやタバコが入れららないか心配だろうな。

 左  切符を買ったあと、地下道(一番上の写真で、駅舎のすぐ右側)を通り、東口へ。旧友と出会い、まず東口の商店街を散策した。
 
 上左  東口の商店街は100mほどの短いものだったが、その間に酒場がたくさんあった。ほぼ全部が夕方からの営業だった。写真の店もその一つだが、溶岩焼ってのが気になる。あとで調べたら、溶岩を熱して、それで肉を焼くらしいのだが。

 上右  関西では飲料の格安の自動販売機をしばしば見かけるが、50円というのは激安だ。

 左  神津神社。商店街や住宅地の中に突然、森が現れて、その中にある。案内板をみると歴史もありそうだが、どちらかといえば地元密着型の神社だ。
 上左  神社では、参拝する前に手を洗う手水所があるが、この神社にも当然あった。

 上右  この神社は、蛇口で水を出して、ひしゃくに水を注ぐようになっていた。今まで見た神社では、水を常に出していて、ひしゃくで受けとる仕組みだったので、水が節約できて大阪らしい合理的な考え方だなと思った。

 左  東口の商店街には、メインの商店街以外に枝分かれした路地もいくつかあった。酒場が集まった路地もある。

 下左  駅の北側の踏切を渡り、駅の西側に向った。阪急電車は十三駅の北側で、3つの路線に分れる。この写真ではわかりづらいが、手前に京都線の踏切、そして島のようなところがあって、その向うに宝塚線の踏切があった。通りがかったときは、京都線の電車が通過したのだが、宝塚線の踏切も下りていた。

 下右  神戸線は駅の半ばからほかの2線とは線路が離れる。神戸線のホームの北端にある踏切を渡って、駅西口に戻った。
 
 続いて、駅の西側の商店街を散策。東側には酒場が多かったのに対して、西側は普通の地元密着型の商店街で、東側よりも小綺麗感がある。でも、東西とも、安っ!と思うものが、ちらほらと並んでいるのは共通。

 大阪で下町といえば、ミナミを連想する。逆に阪急沿線は下町イメージがないのだが、十三については下町だ。

 下左 西側の商店街は300mほどあるのだが、その中間にトミー君の像がある。トミー君は後ろ髪が見えて、シャッター側を向いている。小便をしているところで、小便小僧なのだ。なお、小便は出ていない。
 
 どうしてこの像が作られたかというと、かつてはこの付近にトイレがなく、小便をする人が多くて、ションベン横丁と呼ばれていた時代があった。商店街振興のために2007年に造られたとのこと。十、三からトミーという名になったようだ。

 下右  卵だけを扱う小売店。これは日本では初めて見た。値段はスーパーで売っている卵の倍くらいのものが多く、特に高価な卵は、後方で1個づつ売られていた。 
 
 上左  衣類の店でも激安な店もある。

 上右  魚の激安店もあった。ただし、激安とはいえ、販売は一匹ごとがメインで魚をさばけないと利用にしにくいと思う。

 左  商店街散策のあと淀川の堤防に出て休憩しようということになり、肉屋で50円のコロッケを買っていった。

 この日はタイムサービスで50円だったようだが、13日は「十三の日」として、激安価格の商品を出すようだ。これは、駅の東側、西側を問わず、多くの店での取り組みのようだ。

 下左  地元型食品スーパーで、ビールを買っていく。

 下右  レジで出されたレシートのバーコードを支払機にかざして、代金を払う仕組みになっていた。こんなのは初めてで、支払ってくれた旧友も戸惑っていた。
 商店街から淀川の堤防までは500mほど南下する。

 その途中に偶然、大阪府立北野高校の横を通りかかった。
 
  大阪の公立高校では一番の有名校なのだが、ここにあることは知らなかった。

 旧制府立一中の伝統校であるが、外部から見える限り、校舎は近年改築された新しい建物になっている。旧制一中の継承校の立地を考えると、日比谷、洛北、神戸、旭丘、修猷館と下町に位置しているところはなく(全国の旧制一中を調べれば下町に立地しているところがほかにもあるかもしれないが)、この点も大阪らしい感じがする。 

 部活動をやっていなかったのでどうしてかなと思った。あとで学校のHPを調べたら定期試験の1週間前のために停止しているようだった。 
 
 
   やがて淀川の堤防に出た。淀川をはさんで、梅田周辺の高層ビル街が美しい。

 梅田のビル群は東京・新宿のビル群につぐ規模であるが、梅田にしても新宿にしても、ビル群の中にあっては、ビルの大きさや高さがよくわからない。こうしてみると、その規模のすごさがわかる。

  スケールは違うが、ビル群の手前に水辺があるニューヨークの自由の女神のある島からマンハッタンを見たときと似ている。 
 
 数多くの高層ビルのなかでひときわ目立つのが梅田スカイビル。竣工したのは1990年代で、完成後まもなく最上階にある空中庭園を見に行った。

  その後、舞洲のオフィスビルやミナミのあべのハルカスなどより高いビルができたが、梅田地区では今のところ一番目立っているビルだ。

 梅田地区の中では、駅から離れていてアクセスがよくないのだが、このビルのすぐそばを通るJR(新大阪と福島を短絡する路線で本来は貨物線だが、特急はるかなどのルートとして利用されている。ただし、今のところは単線。)を整備して、駅もつくられることになった。
 
 上  西のほうに目をやるとJR東海道線の鉄橋があった。神戸方面への線路だ。こうしてみると、東海道線が大阪駅へ立ち寄るために、大きく南に迂回していることや、新幹線では迂回を避けるために新大阪駅が作られたことがよく理解できる。

 左左  缶ビールで乾杯。堤防に座っての歓談も楽しいものだ。

 左右  50円のコロッケ。安いけれども、小さいような。
 
 
 食事は、駅のすぐ近くのがんこで。散策に参加しなかった旧友ともここで合流。がんこは、関西中心の居酒屋レストランで、出店数も多く、何度も利用しているが、その中でも、この店は総本店であるらしい。

 がんこの創業地は、十三であった(この場所ではないが)。最初は寿司屋であったのが、居酒屋レストランとして発展するのだが、途中からこの店が拠点になったらしい。それで、この店が、数多くあるがんこの中でも総本店になっている。(単に、本店というと、梅田、神戸、京都・三条など何ヶ所かにある。)
 
 
 上左  前菜いろいろ。

 上右  ローストビーフ。

 左  はも鍋。ごぼう、豆腐、玉ねぎなども入っている。

 ここまでの3品は、着席したときに用意されていた。飲物の写真は撮らなかったが、飲み放題でビール、ハイボール、ジュースなどをいただいた。飲み放題つきでも安かった印象がある。接客はとくに良いというわけではないが、何度か利用しているチェーンなので気にはならない。
 
 
 上左  造り盛り合せ。ここから後の3品は、様子を見て運ばれてきた。

 上右  天ぷら。

 左  たこ飯とみそ汁。

  久しぶりに出会って歓談を楽しんだあと、再会を約束して解散。
 

 

 

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