2 ホーチミン街歩き
 
 ホテルは朝食つきだったが、朝食にはまったく期待しておらず、少し口をつけたら、屋台のフォーとフランスパンサンドイッチを試してみるつもりだった。
 ところが予想外にも、たくさんの種類がならぶビュッフェだった。どこの国でもありそうな料理が多かったが、その場でつくってくれるフォーの屋台風のコーナーもあった。結局、ビュッフェでたくさん食べて、外食が不可能になってしまった。それでも、フォーは食べられたし、まぁいいか。フランスパンのほうは次回回しだ。
 朝食後、行動開始。しかし暑い。まもなく、ある交差点で気温が表示されていて、まだ9時だというのに37度。

 歩きたくないのだが、そこはがまん。
 2日目の街歩きは、戦争証跡博物館の見学でスタート。ベトナム戦争についての総合博物館だ。いくつか強烈な印象を受けるものがある。
 
 枯葉剤の影響を受けた奇形児のホルマリン標本 、旧南ベトナム政府に反対する人を収容した監獄 、そこでおこなわれた拷問の様子や処刑用のギロチン、パイナップル爆弾・オレンジ爆弾や巨大な爆弾の実物大模型、爆撃を逃れるために川を泳ぎ渡る親子、ソンミ村虐殺等の有名な写真

 ベトナム戦争のことを知るためにはぜひ訪問したいところだ。前回に次いで2度目の訪問。

 で、前回と違っていたのは、奇形児の標本が置かれていた建物。5年前には仮設のような平屋の建物だったが、今回は画像のような立派な建物ができていた。展示方法も、ホルマリン容器が無造作におかれていた前回と違い、ガラスの中の展示ブースに置かれていた。


 ところが、不思議なことに、この建物3階建てなのだが、2階以上は使われていない。建築基準にあわなかったのかなとか思ったがなぜか不明。置き方については、前回のほうがよりインパクトがあった。

 左のギロチンは実際に使われたもののようで、処刑された人の紹介もしてあった。見てると恐ろしいものだ。
 











 サイゴン大教会に行ったが、閉まっていて、外観のみ撮影。すぐそばにある中央郵便局へ。フランス統治時代の建物ということもあるが、中で涼もうと思って行った。だが、残念ながら、内部は非冷房で、少しいただけ、
 9時ですでに37度だったので、昼前には40度は越えていたのだろう。

 街歩きのしにくい気温にまで上昇していた。普通なら歩ける距離でも、歩くのは勘弁してちょうだいって感じ。

 結局、午前、午後、それぞれ数十分カフェで休憩をとった。 左は、午前の休憩で飲んだ、ゆずのしぼりたて生ジュース。
 昼食は統一会堂の斜め前の「ブンタ」という店でとった。
 
 名刺にはEverything is Bun.とある。ブンの専門店だ。ブンとは米の麺だが、太めで、日本の細うどんくらいの太さだ。

 以前から、フエの名物は、ブン・ボーで、牛肉入りの太い米麺は有名だったし、前回のベトナム旅行では、フエでこれを賞味した。


 この店は、さまざまなブンを出している。自分が選んだのは、春巻と豚肉入りのブンだ。たれは別にでてきて、たれをかけるようだ。別に、ブンは牛肉入りのものにかぎらなくてもいいという発想だろう。

 ビールはタイガービール。テーブルで栓をあけて、グラスに注いでくれたので、瓶は撮影できず。この店は、とても明るく、おしゃれで、ベトナムの店とは思えない感じだった。
  
 現在は「統一会堂」と呼ばれている、旧南ベトナム大統領官邸。フランス統治時代の19世紀から宮殿があったが、現在の建物は南ベトナム時代の1966年に作られたもの。

 
 ベトナム戦争はサイゴン陥落で終結するが、それを象徴するのがこの建物への進入だった。また、ベトナム戦争では、北ベトナムは表立っては南では戦闘はおこなわず解放戦線が戦闘を行っていたが、北の戦車がここを突破したのは、解放とされた戦争の終結が、実際には、北による南の新たな支配の始まりになったことを象徴的にあらわしているようだ。

 建物の中には、大統領の執務室、応接室など表立った部屋のほかに、地下に作戦室や電信室などがあり興味深かった。
 とても暑かったので、最上階の風通しのいい部屋(左上画像)で休憩。低いイスが置いてあったので、半分居眠り。
 1975年、この建物の外柵を破って北ベトナム軍の戦車が突破した際の写真は有名だ。その戦車も保存されている。
 セグウェイが話題になったのは数年前だ。
「世紀の大発明」「未来の乗り物」「倒れない二輪車」と言われたが、日本では自動車扱いされるため、道路では簡単に乗ることができず、記憶の彼方に消え去っていた。

 そのセグウェイに実際に乗っている人をはじめて目の前で見た。サイゴン大教会の前でだ。個人で所有か、レンタルなのかとかはっきりしない。日本では必要だと言われていたナンバープレートはついてない。突然、セグウェイを見たのでびっくりだった。まわりの人たちも珍しがり、写真をとる人もいた。
 ホーチミン市博物館。ここも以前行ったことがある。でも大したことはないという印象があった。

 行ってみるとやはり面白くなかった。それに、非冷房で暑いこともあって、早々と退散。
 ホーチミン市人民委員会。まぁ、市役所ってところか。ここは入場不可。
  シェラトンホテルの1階にあるカフェで午後の休憩。

  ジュースにしようかとも思ったけど、ジンと何だったかのストロ?オー入りカクテルにした。

  ここでは1時間ほど休んだ。なんだか休んでばかりで街歩きがはかどらない今回の旅。
 再び、サイゴン大教会に行くとミサをやっていた。
 今まで、あちこちのカトリック教会を訪問したが、訪問時にミサが行われていることはまれで、行われていても撮影禁止の場合もあり、ミサはさほど見ていないし、画像はほとんどない。ミサに遭遇しても、大勢の信徒の人たちがいるので、前に行くのは遠慮せざるを得ないことがほとんどで、撮影が可能な場合であっても、一番後ろからの撮影ばかりだった。
 
 サイゴン大教会で、はじめてミサ中に前方へ迷惑をかけることなく行け、撮影ができた。しかも、ミサのクライマックスである聖体拝領の行われているときで、はじめてじっくり聖体拝領のようすを見ることができ、撮影もできた。

 聖体拝領は、イエスの体と血であるパンとワインを信徒に分け与える儀式で、パンは薄いせんべい状のもので、またワインは普通は省略され、まれに与えられる場合はジュースが使われると聞いていた。だが、自分は見たことがなく、実際に見ることができてよかった。

 どうして、パンとワインがイエスの体と血であるかというと、「最後の晩餐」のさいに、イエスがパンとワインを指して、自分の体、血であると言ったことに由来すると理解している。  
 この儀式では、聖体が信徒の人たちの口に入ることによって、イエスの一体感のが生まれるのだなぁと実感した。こうして考えると、とても重要な儀式だ。カトリック以外の宗派でも、ほぼ同じような儀式が行われているらしいので、機会があれば見てみたい。

 ベトナムは、タイやラオスほど熱心でないけれども仏教国のイメージが強かった。だから、たまたま入った教会で聖体拝領の儀式を見ることができたのは予想しない収穫だった。
 夕食は「タン・ニエン」でディナービュッフェ。当初は、アラカルト料理を注文するつもりで入店したが、ビュッフェをすすめられ、料理も見せてもらってから決めた。

 11万ドン(約726円)で満腹になれた。満腹どころか、食べすぎてしまった。なにしろ40種類ほどの料理のうち、20種類ほど食べたので。

 生春巻も3種類かあって食べ比べ。麺類だけは注文してつくってもらう屋台風になっていて、フォー・ボーを食べた。いづれもおいしかった。

 ドリンクだけは別料金で、BGIビールを注文。安く満腹になるにはこの店はおすすめ。

 まだ、少し間があったので、レストラン近くのデパートへ。ここはベトナムのイメージからかけ離れた感じのきれいな店内だ。

 今回入ったレストランやカフェなども、こぎれいで、おしゃれな感じのところがほとんどで、ベトナム特にホーチミンの変化を感じた旅行だった。

 デパートの前から、タクシーでタンソンニャット空港へ。そして、ベトナム航空機で関空へ帰国。短い旅を終えた。
 

1日目へ     ホーチミンのトップ       ユーラシア紀行のトップ