2 日 目

 

 朝起きて、異変に気付いた。雨の音がしている。部屋の中まで聞こえるくらいだから、強い雨だ。

 テレビをつけて、しばらくすると天気予報が始まった。全国の天気では、日本中、雨のマークはどこにも出ていない。が、北海道の天気になると、道北のみが雨であった。雨の少ない道北なのに、日本中で道北だけが雨とはまったくついていない。

 7時から朝食。バイキング式に、おかずを順番にとっていく仕組みだ。

 8時に旅館の車でフェリー乗場まで送ってもらった。雨なので、1kmほどだが助かる。

 8時20分発の宗谷バスの定期観光バスに乗車する。利尻・礼文の定期観光バスは、船との接続に考慮して、運行されている。上手に使えば、稚内を朝一の船でたてば、2つの島の定期観光バスに乗車して、最終の船に乗って稚内に戻れる。

 で、悪天候のためか、稚内からの船が遅れたため、船を待って15分ほど遅れての出発。右は、バスから見た、船の到着。

 最初の下車地は、姫沼。15分ほどで、沼を一周できる木道がついている。傘をさしてでも、一周するつもりで、バスから下りて沼に向かった。

 ところが、沼に着いた途端、突風が吹き、傘が壊れてしまった。沼一周はあきらめた。そして、その日と翌日、壊れた傘をさすはめに、、、下は、旅館で撮影した、壊れた傘。

 

 

 

 

 

 

 バスの停車している駐車場から沼へは道を下っていく。不思議なことに、駐車場ではたいした風ではないのに、沼の周囲では強い風が吹いている。山の気象はよくわからないことが多い。

 何人かの乗客は、風雨の中、沼を一周して戻ってきた。  

 

 

 次の下車地に向かう途中、車窓からボタンキンバイを撮影。この花は、利尻島だけ、それも利尻富士の上部にだけ自生している花なのだが、地元の人が、下界でも見られるように、道端に植えたらしい。ただし、色などが自生しているものとは少し違うとのこと。

 

 

 車窓から見たラナルド・マクドナルド上陸碑。米国人の彼はペリー来航の5年前に利尻に上陸をはかったが、すぐに捕らえられ、長崎で軟禁された。このときに、彼は、初の和英辞書を作ったということだ。彼はその後、米国に強制送還された。

 次に下車したのは、郷土資料館。利尻という名は、アイヌ語の「リイシリ」(高い山のある島)という語からきていること、かつてはニシン漁で栄え、東北や北陸からの移住者が多かったことなどを知った。漁師の住居である番屋の模型などもあった。

 右は、入ったところで迎えてくれるトド太郎。

 裏手には、高山植物を集めた屋外展示場もあるが、とても外に出られなかった。  

 続いて、オタドマリ沼。ここは20分ほどで一周できるとのことだが、木道はなく、地道。この悪天候の中、歩く人は誰もなく、バスの乗客全員が、食堂に入っておやつタイム。

 

 

 

 

 

 右は、ホタテのバター焼き。下左は、ウニ寿司。その場で握ってくれる。下右は、ハマナスと熊笹のアイスクリーム。

 次は、利尻島の南端、仙法師御崎公園。囲まれた中には、ゴマフアザラシが飼育されているとのことだったが、よくわからずじまい。風雨のために、早々に退散。

 

 

 代わりに、利尻昆布の店へ。店内からは、とろろ昆布の製造風景もみることができた。とろろ昆布入り味噌汁のサービスつきで、温まJこともできた。

 車窓から寝熊の岩を見た。熊に見えるかな。

 すぐそばには、人面岩もあった。いわれれば、そうかなといった程度。

 

 

 

 

 最後の下車地は、沓形岬公園。ここでも、風雨を避けてすぐに退散。

 希望者は、追加料金で海底探勝船に乗れたのだが、揺れを心配して、乗らなかった。海底のウニや昆布が見られるとのこと。




 

 沓形は、利尻町の中心。ここの街灯は、ボタンキンバイを模したものになっている。

 利尻島を一周して、12時20分に鴛泊に帰着。当初の予定では、ここで昼食タイムとし、13時15分発の船で礼文島の香深に向かうつもりだった。

 ところが、この日は悪天候だったため、本来、沓形発12時35分の礼文島香深行きの船が鴛泊発に変更になっていた。悪天候につき、できるだけ早めに礼文島に渡っておくほうがよいと考え、この船で礼文島に渡り、昼食は礼文島でとることにした。

 40分で香深着。左は香深港。

 港では、ホテルの出迎えがあり、荷物だけを預けて、先にホテルに運んでおいてもらう。

 昼食は、漁協の直営の食堂「かふか」でウニ丼。
 

 

 

 

   「かふか」は、たまたま、ウニ丼を注文したら、利尻昆布のおまけつきサービスをしていて、品質、サービスとも満足。

  14時10分発の定期観光バスに乗車。

 

 

 

 

 

 礼文島の電力を一手に引き受けているという火力発電所。火力発電所というと巨大施設を思い浮かべるのだが、こういう小さな火力発電所もあるのだと知った。

 久種湖。下車地ではないが、1時間ほどで一周できる探勝路があるということ。湿原があり、ミズバショウがみられるらしい。

 

 

 

 

 

 礼文島は、北と南で山の様子が違う。南は樹木が生育しているが、北へ行くと樹木が生育せず、草原になっている。

 礼文島で最初の下車地点は、島の西北のスカイ岬。絶壁と入江がきれいな景観を作っている。

 海鳥もたくさんいた。足がピンクなのはかもめ、黄色なのはうみねことのこと。

 西上泊の集落。その端に駐車場があり、スカイ岬を見るためには、少々上ってこなければならない。

 ここは礼文島最北の集落。とは言っても、小さな集落である。礼文島全体の人口も3000人と少ない。 主な生業は漁業と観光業で、農業はみられないとのこと。

 ちなみに、利尻島は7000人程度。町の様子も、利尻島のほうが、少し都会的な感じがしていたなって思った。

 ここでも、強い風に吹かれて、壊れた傘はもはや崩壊寸前。傘をさしていても、ささずにいてもぬれるのは同じような感じ。

 さっさと、駐車場に戻り、おやつタイムとした。

 左は、たこのてんぷら。

 下左は、つぶ貝。

 下右は、つみれドッグ。

 次に向かったのは、スコトン岬。礼文島の最北端だ。

 バスを下りて歩くと、赤紫色の花がきれいだった。レブンソウらしい。

 

 

 

 

 ここもまた、すごい風雨。岬の先端まではとても行けない。先端の少し手前から撮影。  薄く見える島影は、無人島のトド島。

 売店で、ここでしか売っていないという、礼文ホワイトチョコレートなどを購入。

 

 

 礼文島の車の通れる道路は島の東側にあって、西側にはない。そのため、先ほど通ってきた道を30分ほどかけて引きかえす。

 そして、島の南西の桃台・猫台へ。桃岩・猫岩を見ることができるから、桃台・猫台らしい。右は、そこから、元地集落を眺めたもの。

 

 

 

 

 左は、桃岩。

 猫岩は、あまりの風雨に確認できないまま、バスに戻った。礼文島には、必ずまたやってくるので、そのときに見よう。

 港に戻ると、出迎えが待っていてくれた。泊まるのは、「三井観光ホテル」。礼文島の中では、一番規模が大きな宿だ。割安のプランを探して予約したが、洋室指定のプランであったのが残念。

 部屋から見た、香深港と香深集落の様子。香深は礼文島の中心の集落だ。

 荷物の整理などをしていたら、突如、町の防災放送が始まり、びっくりした。

 何と、利尻・礼文地方に、大雨・洪水警報が発令されたとのこと。ほかに、雷・強風・波浪注意報もでているとのこと。

 翌日は、午前中、高山植物を求めてハイキングのつもりだったが、もはやその期待は打ち砕かれそうな情勢だ。

 一応、雨がやめばハイキングとするが、天気予報では翌日の午前中まで雨が残るといっている。

 となれば、朝一番の船で稚内に戻ることにしよう。高山植物は、来年以降、またやってくるときの楽しみにおいておこう。

 大浴場で入浴、そのあとで夕食。この日も満足のいく食事でよかった。なんだか不完全燃焼の旅になってしまったが、天気相手ではどうしようもない。

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