2007.10  1日目  小  樽

 

 北海道へは2007年7月に利尻・礼文島を訪問して以来だが、その前の訪問となると1991年。札幌へ来たのも1991年以来のことで、16年ぶりだ。それまでの5回の北海道訪問は、すべて鉄道を利用しており、空路では2007年の7月がはじめて。千歳空港を利用するのは今回がはじめてだ。
 行きは、神戸空港発のJAL便。神戸空港は2回目の利用だが、前回は、夜の到着便での利用だったので、詳しくは様子を見ることができなかった。

 今回は、朝なので出発までの時間を利用して空港内を見て回った。全体として小さな空港だなぁって感想。地方の空港と変わらない大きさだ。

 だからこそ、到着時は、飛行機を下りてからわずかな時間でポートライナーに乗れるわけだ。

 やがて搭乗。意外にも3分の2ほどしか席が埋まっていない。

 1時間40分ほどの飛行なので、あっという間に千歳空港着。

   千歳空港の3レターコードはCTS だが、JALは荷物タグなどでSPKを使っている。もともと、正式にSPKだったが、のちにCTSに変更された。札幌には丘珠空港(OKD)もあり、混乱を防ぐためだろう。しかしJALの場合は、かつては丘珠空港にグループ便が就航していなかったので、千歳空港をSPKとして使い続けたようだ。その後、丘珠空港を使用する北海道エアシステムがグループ会社となったが、依然として千歳空港をSPKと表記している。これでも問題がないからだろう。(乗継などでHNDとNRTを同一の空港とみなす場合にTYOと表す場合があるが、千歳と丘珠を同一空港とみなす場合はないので、千歳がSPKでもさしつかえないということだろう。)

 

 
 千歳はあいにくの雨。土砂降りではないが、傘が必要な感じだ。気温は13度。一挙に冷蔵庫に入りにきたようで、薄手のダウンを着込んだ。
 

 新千歳空港駅からJRで小樽へ向かう。駅はターミナルビルの地下にあり、移動は簡単だ。距離は少しあったような気もしたが。

 この駅から出ている電車の大半は快速「エアポート」小樽行き。まず小樽へ向かう。この日の午後は小樽をみて回る予定なのだ。

 画像の車両は、Uシートというグリーン車仕様の車両だが、300円で乗車できる。もっとも自分は普通車に乗車。

 新千歳空港から札幌まで35分、小樽まで70分ほどの乗車時間。9時50分に飛行機から下り、10時4分の電車に乗車したら、11時16分に小樽に到着だった。

 幸い、雨はやんでいた。その後、この日は降ったりやんだりの感じだった。

 

 

 

 

  

 小樽駅の駅舎は明治時代のもの。内部は以前来たときとずいぶん変わっていたが、駅舎は昔のままだ。

 駅前のバスターミナルで1日乗車券を購入。まず寿司店の集まるエリアに向かうが、歩いたほうが早そうなので歩いていく。

 
 小樽といえば寿司。といいうことで、1日目の昼食は寿司屋に向かった。

 ガイドブックにのっていた「小樽雅叙園」という店へ。店頭の料金表を見て、いったんすぐそばの別の店に行ったが、同じような料金なので、元の店へ。

 上握りを注文。2920円は高いのか安いのか。回らない寿司は何年かぶりなので、よくわからない。美味しいことは美味しいが、値段を考えると何ともいえない。

 食べた後は、駅に向かうバスがあり、バスで駅前へ。駅前に着くと、ちょうど、小樽水族館に向かうバスが停車中だったので乗車した。

 「おたる散策バス」という観光に便利なバスが運行されているが、3コースあり、そのうち小樽水族館に向かう「うしおコース」は80分間隔で1日6便のみ。たまたま、そのバスが停車していたので、即、乗車。

 だが、これは失敗。このバス、遠回りをするのだった。普通の路線バスのほうがよかった。水族館まで30分近くかかってしまった。

(1)小樽鰊御殿

 水族館まで乗車したのは、水族館に行くためではない。小樽鰊御殿と小樽貴賓館に行くためだ。

 明治時代にニシン漁で財をなした網元の田中福松が、積丹半島のほうで建てた大きな建物を移築したもの。

 小高い丘の上に建っているので、上がるのが少々大変。

 内部には、広大な大広間があった。宴会などが催されたりしたのだろうか。

 2階は、やや狭いが、隠れ部屋もあった。隠れ部屋の用途はよくわからないようで、いくつかの説を並列して書いてあった。

 建物の端のほうの土間の2階部分に漁師の寝床があった。こちらは住みにくそうな感じであった。

赤字は訪問箇所。( )は入場訪問した順番。

 

(2)小樽貴賓館

 小樽市祝津(貴賓館のある集落)の網元として大正時代にニシン漁で財を成した青山政吉が客人のもてないなどのために建てた別荘を移築したもの。内部は、豪華な作りで、芸術的なものだったが、写真撮影禁止のため、画像なし。

 生活の場として建てた元場は、北海道開拓記念館に移築されている。

(3)手宮洞窟

 彫刻のある洞窟である。石工の長兵衛が石材探しをしていて発見した。彫刻は1600年ほど前、続縄文時代のもので、角のある人間が描かれている。

 平成7年に保存館ができ、うまく保存と展示をしている。画像の白い建物の中から、彫刻が見られるようになっている。実は、訪問予定はなかったのだが、総合博物館に行くためバスを下りたら、目の前にあったので、急遽、訪れた。

(4)小樽市総合博物館本館

 平成19年7月に、小樽市交通科学館がリニューアルオープンしたもの。

 展示内容は、交通科学館の内容を主体にプラスアルファ。館内の入場口は右のように、昔の駅の様子を模している。

 かつて、北海道初の列車が運行された手宮駅の跡地を利用していて、敷地内には、旧国鉄時代の車両や施設が保存されている。  

 このあと、バスで、旧日本郵船小樽支店に向かったが、バス停から少し歩いた。

 その途中見た手宮線線路跡。1880年、北海道初の鉄道として開通した幌内鉄道(手宮〜札幌〜幌内)のうち、手宮〜南小樽の小樽市内の部分が手宮線。1985年に廃止された。

 線路は残されている。一部区間は整備されて遊歩道になっているが、そこへはいけなかった。

(5)旧日本郵船株式会社小樽支店

 1906年に建てられたもので、小樽市の近代建築のなかでも、自由に見学できる貴重なところ。

 工部大学校第1期卒業生の佐立七次郎が設計。当時の小樽は、一流の建築家の設計で競って近代建築がたてられた。 

 

 左は、玄関を入ってすぐのカウンター。カウンターの内側は営業室。ワニスで塗った木材が輝いているのがとてもきれいだ。

 1955年に小樽市が譲り受け、博物館として利用された。しかし、老朽化が目立つため1982年から全面修理に入り、1987年に当初の姿によみがえった。

 
 この建物で開催された有名な会議に、1906年に完成してまもなく、ポーツマス条約にもとづく、日露の樺太国境策定会議が2階会議室で開かれたことだ。(左)会議後は隣の貴賓室で祝杯が交わされたという。(下) 

  

 旧日本郵船の前からは、「おたる散策バス」うしおコースのバスに乗車。このバス、この日3回目。80分間隔で1日に6便しかないのに、うまく使えたと満足した。

 このあと、小樽運河に沿って散策路を歩いた。小樽の観光コースでは中心になるところだが、16時をすぎて、もう薄暗くなっていて、観光客は少なかった。

 以前、小樽を訪問したのは20年以上前。運河は整備されておらず、観光地にもなっていなかった。 

(6)小樽市総合博物館運河館

 左画像の建物、左に写っているのが運河プラザという土産物センター。やや右よりの赤い建物が、小樽倶楽部という喫茶店。その右側が総合博物館だ。これらは、1893年に加賀の西出孫左衛門、西谷庄八によって作られた小樽倉庫を利用している。

 小樽に残る木骨石造建築の代表格だという。右手の部分は、1985年から小樽市博物館として使われてきて、2007年7月、総合博物館運河館にリニューアルした。  

 本館との共通券を買えば100円引きになるが、ここへ来てはじめて知った。

 展示は2つに分かれていて、1つは小樽の歴史に関するもの。左はその一角。小樽は明治末期から昭和初期にかけては、札幌をしのぐ商業都市であったことがうかがえる。また、発展には、ニシンの豊漁が関係していたようだ。

 もう1つの展示は、小樽の自然。市の内陸の自然をアピールしていた。

 

 運河の少し山手の部分に「北のウォール街」がある。かつて、小樽には多くの銀行が居を構えたが、運河の近くにかたまっていた。北海道銀行が本店である以外は、小樽支店である。これらの建築物を見て回った。多くの銀行のビルは土産物店などとして利用されている。

 三井銀行は、三井住友銀行となっていた2002年まで営業していたが、その11月に撤退し、小樽には都市銀行の支店がまったくなくなった。時代の流れを感じさせる。

 三菱銀行は、「運河ターミナル」になっていて、土産物店とバスターミナルを兼ねた建物として利用されている。

 北海道銀行は、現在の北海道銀行とは無関係で、北海道拓殖銀行に吸収されている。現在はカフェになっている。

旧三菱銀行

旧北海道拓殖銀行 旧第一銀行

旧日本銀行

旧北海道銀行(本店) 旧三井銀行 旧第四十七銀行

旧安田銀行 旧第百十三銀行 旧第百十三国立銀行

(7)北一ヴェネツィア美術館

 ウォール街を歩いているうちに、すっかり日が暮れてしまった。すでに17時もまわっている。古い建物を利用した土産物店のならぶ通りを通って、ヴェネツィア美術館に行った。

 1階は店舗で、2,3,5階が美術館になっている。北一硝子は、小樽でもっとも有名なガラス店であるので、この美術館も、ガラス工芸専門の美術館になっている。

  

 ヴェネツィアのガラス細工は、ムラーノ島で発達した。この島へも行ったが、あまり詳しくは見られていなかった。ヴェネツィア美術館に展示されている作品も、ムラーノ島の職人の手によるものが多い。

 また、国賓用のゴンドラが展示されていて、ダイアナ妃も乗ったという。美術館内は撮影禁止だったが、1階にも、普通のゴンドラがあり、こちらは撮影してよいとのことで撮影。ゴンドラは左右対称でなく、左に偏っているということをはじめて知った。

 18時前にヴェネツィア美術館を出た。美術館の前からバスに乗って駅前へ。1日乗車券は750円のところ、1乗車200円のバスに6回乗ったので、じゅうぶん役立った。

 駅前近くの都通りアーケード街に行ってみた。レトロ喫茶「光」で一休みしようと思ったからだ。でも、閉っていた。ずっと閉まっているのだろうか、それとも、この日がたまたま休みだったのか、掲示などがなくよくわからなかった。で、駅に逆戻り。

 7時間、小樽を歩き回って満足した。

 18時34分発の快速「エアポート」で札幌へ向かった。北海道のJR車両では、車両の真ん中にドアがある場合、ドア付近はデッキにうなっていて、冷気が客室内に入り込みにくいようにしてある。本州ではこのタイプは見かけないので、北海道にやってきなぁという感じにさせてくれる。

 19時すぎに札幌着。いったんホテルに荷物を置いて、すすきのあたりの居酒屋とラーメン店で夕食にするつもりだったが、あいにくの雨で、その気力がなくなってしまった。それで、駅地下街でラーメンを食べることにした。

 
 どの店にしようかサンプルをみていたら、声をかけられた店に入った。「宝龍」という店。おすすめだという、特製みそラーメンと餃子を注文した。みそラーメンにもバターが入っているところが北海道風か。ねぎも多い。

 この日の泊まりは、札幌駅南口から少し南に下がったところの「R&Bホテル札幌北3西2」。

 雨が降っていたが、すぐ近くまで地下道で行けて便利だ。ただ、地下道から地上までの階段の長いことったら、半端じゃなかった。ビルだと4階くらいに相当する。

 歩くのは100mほど。ホテルのビルの1階にはコンビニがあり、そこで夜食を調達しておく。

 このホテル、チェックインの仕方がはじめてのスタイルでややとまどった。フロントで案内されたあと、チェックイン機で精算をするのだ。キーはチェックイン機で使うカードと兼用で、厚紙製だった。

 まずは、入浴。そして、コンビニで買ってきた夜食を楽しんだ。缶ビールは北海道限定と表示しているもの、つまみも北海道限定のほっけのソーセージに、北海道限定のチーズ。

 食べながら、翌日の回り方を考えた。

 

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