日目   モ ラ ン シ ジ ャ ン

 

モラン(牡丹)のオイルジャン(五日市場)

  セファホステルは簡単な朝食つきだ。お粥、味噌汁、パン、コーヒー、ジュースが供せられる。また、朝食としてではないが、夜にポップコーンが食べられるようになっていて、朝になっても残っていた。

 朝食時間は5時から8時と早い目である。玄関近くにきれいに並べられていて、取り出し方なども日本語でわかりやすく表示されている。

 この日は7時30分に出発する予定だったので、7時15分に部屋を出て、荷物を持って玄関に向かう。

 お粥、味噌汁、ジュースをいただいた。食べ終わったあと、7時30分にそのまま出発。

 下左  鐘路3街(チョンノ3カ)から地下鉄4号線でまず往十里(ウォンシンミ)に向かう。往十里は一昨年、春川に行ったときに利用した駅で乗り換えの際、来たことのある駅だと思い出した。

 下右  往十里からはKorailのポンタン線に乗り換える。ソウルの地下鉄は何号線という番号が振られているが、中には何々線という地下鉄もある。これはKorailが運営している地下鉄だ。ただし、1号線は最初にできた地下鉄で、線名のつけ方が定まる以前だったので、1号線はKorailだ。ポンタン線も番号がつかないKorail運営の地下鉄だ。Korailが運営しているっても、運賃などはほかの地下鉄と一体だし、車両はほかの地下鉄とかわらないし、違和感はない。

 8時40分ごろに牡丹(モラン)に到着。モランに行く気持ちになったのは、もう5年ほど前だ。 ここのシジャン(市場)にぜひ行こうと5年前に思ったのだ。モランの漢字名は牡丹。そのためか、モランを終着とする地下鉄8号線のラインカラーは濃いピンクだ。

 ただ、ここの市場はオイルジャン(五日市)なのだ。4と9のつく日に市がたつ。自分の場合、毎年に年に1,2回の訪韓をここ数年続けているが、訪問時に4と9のつく日がなかなか入らない。入っても、夕方にソウルにつく日や昼過ぎに帰国する日程の場合はダメだ。それで、この市場にやってきたのは、実に5年ごしの計画をかなえてのことなのだ。

 市場を歩くのに荷物は邪魔だ。コインロッカーに入れておくことにする。

 ただ、ポンタン線の改札口にはロッカーはなく、8号線の改札口へと向かった。5分ほど歩くとロッカーはあった。でも新しいディジタル式のロッカーだ。日本語の説明を表示させることもでき、荷物を預けることができた。

 8号線の駅からポンタン線の駅に戻り、階段を上がるとそこには、地面に売り物を並べる人もいて市場が近いとわかる。

 ここで市場のことを調べようとWiFiを使ってみたが、電波が微弱で使い物にならなかった。郊外では使いにくい。

 さらに1分ほど歩くと、市場が広がっていた。4と9のつく日のほかは単なる駐車場のようだ。屋外の市場なので、パラソルが林立しているさまも壮観だ。

 この市場が有名なのは食用の犬が生きたまま売られたり、犬のスープであるポシンタンが売られているからだ。

 食用犬の売場はすぐにわかった。犬になかには叫んでいる犬もいるが、多くはあきらめたのかぐったりしていて声を出していない。

 犬を食べるってことには、国際社会の圧力があり、ソウルオリンピックや日韓ワールドカップのさい、街の目立つところからは排除され、こういった目立たない場所で細々と営業するようになっている。

 たまたまだが、市場を去るときに、上の写真同じと檻を撮影した。売られていった犬がいることがわかる。

 自分は犬を食べることにはゾッとする気持ちがあり、ポシンタンも食べることはできない。犬は愛玩用という観念があり、犬食文化は理解できないのだ。

 でもこれが文化だというなら、自分は理解できないが、やはり尊重すべきものだと思う。ただし、目立つところは隠して、目立たないところでは続けるというやり方はどうかと思う。犬食が文化だというなら、もっと堂々と主張していいのではないかと。日本も鯨食文化を国際社会から批判されているが、堂々と自国の文化を主張していると思う。同じようにすればいいように思うのだ。

 犬のほかに、キジ、ガチョウ、ウサギ、ヤギなども売られている。それらの混じった何とも言えない臭いもただよっている。

 獣を販売している店の中には大きな丸い鍋が並んでいる。圧力鍋のようだ。どのように利用するのか気になった。

 あと、細い通りを隔てた反対側にはいろいろなものが売られていて、食品も多いのだが、衛生面での管理がきちんとなされているのかとも考えた。

 こちらは、愛玩犬の売り場。でも、道を隔てた反対側には、ポシンタンの店があった。 (垂れ幕に「ポシンタン」とある。)

 下左  市場の中はエリアごとに売られるものが決まっている。唐辛子のエリアでは唐辛子ばかり並んでいる。そのうえ、パラソルも赤だ。

 下右  魚の売り場。ほかに果物、野菜、海苔、衣類、雑貨と同じようなものが一か所に集中している。

 市場の真ん中にテントで覆われた屋台街がある。トンドンジュを飲ませる店もあるらしいので、酒の入った甕がある店を探したが、見つからなかった。

 それで、カルグクスを食べていこうと、1軒の店の前で腰かけた。カルグクスの「カル」とは包丁ということで、包丁で切った麺。カルグクスとは、つまり手打ちの麺ということだ。あちこちで手打ち麺をつくっている。目の前にも切ったばかりのような麺があった。

 

 はじめに、こかぶのキムチが出てきた。キムチを食べながら待つと、やがてカルグクスができあがってきた。

 だしはあっさりとしていて、日本の関西風のうどんに近い。とても寒い日なので、湯気がかなり出ている。体の中から温まることができた。

 テントの中をさらに歩くと、甕は見つからなか ったが、かわりにプラスチック容器に「トンドンジュ」と書かれているものを発見した。この店で、トンドンジュを試してみることにした。

 トンドンジュの横にはマンドゥックが盛られていたので、マンドゥックも注文。

 トントンジュは、マッコリに似ていて、ともに米からつくり、ともに白い酒である。トントンジュは白い中にカスのようなものが浮いているのと、真っ白ではなく少し色づいているのが違いか。 マッコリよりもさっぱりしている。

 マンドゥックが出来上がるまでの間、キムチを食べながら飲んでみた。アルミの容器に一杯そそがれたが、日本の徳利で2本分ほどあると思う。度数も日本酒ほどある感じで、全部飲むとちょっと酔っぱらった感じだ。

 マンドゥックもできあがってきた。餃子スープであるわけだが、餃子が少し赤みを帯びている。餃子の具の中にキムチがまざっているためだ。

 カルグクスとマンドゥックは各4000ウォン、トンドンジュは2000ウォンで計1万ウォンで屋台を楽しみ、満腹になることができた。

帰   国

 5年ごしに訪問がかなったモラン市場をあとに、駅周辺を少し散歩したあと、帰国の途に着く。

 モランは行政的にはソウル特別市ではなく、京畿(キョンギ)道城南(ソンナム)市に属する。ソウルの近郊住宅地という感じなのだろう。モラン駅周辺の様子しかわからなかったが、モラン市場が古い韓国の様子を伝えている感じがするうえ、駅周辺もなんだか一昔前の雰囲気が感じれられる。ソウルの江南などよりはずっと田舎って感じを受けた。

 モランからはポンタン線で道谷(トンゴク)まで行き、3号線に乗り換えて高速バスターミナル(コソクポストミノル)まで。さらに9号線に乗り換えて金浦空港(キンポコンハン)へ。9号線は 急行運転をしているので、ソウルの漢江よりも南のエリアから金浦空港に向かうときは一番早い路線である。仁川空港に向かうときも、金浦空港で9号線から空港鉄道に乗り換えると早い。 9号線と空港鉄道の金浦空港駅は合体していて乗り換えも便利だ。

 金浦空港で国際線に向かう動く歩道のある通路は前回の訪韓時には工事中だったが完成していた。ロッテマートに少し立ち寄り買い物をしたあと、搭乗手続き。

 16時発のJAL972の搭乗手続きは13時45分からということだが、ちょうど13時45分にカウンターに到着できた。

 KALラウンジで出発までをすごす。このラウンジは、出国審査の前にあるので、少し落ち着かないのだが、搭乗5分前に、席をたち、保安検査、出国審査とすすむと搭乗ゲートに着いた時にちょうど優先搭乗が始まるところだた。金浦空港は保安検査に長い行列ができないのでなせる技だ。

 下左  搭乗便。

 下右  機内。ビジネスクラスはスカイラックスシート。短距離なのでエコノミーでも十分だが、今回はソウル発券でバンコク行きをビジネスクラス利用で発券した。ビジネスクラスの航空券を買ったのは初めてだ。 

 上左  飲物は白ワインにした。ソウル線はシャンペンがないのが残念。

 上右  機内食は弁当。そこそこボリュームがあって、前回とは内容が違っていて飽きることはない。

 左  デザートは弁当の上に置かれていた。短距離なので、簡便なサービスでかまわない。飲物は昆布茶であった。

 シートを倒して休む間もほとんどないまま関西空港に到着。今回の旅も無事に終了。

 

2日目 本編のトップページ ユーラシア紀行のトップページ 2014.7の1日目