8日目  ビ ー ゴ

 

 

シエス諸島に向う
 この旅行では予想外に涼しい日が続いていたので、ずっと長ズボン、靴ですごした。半袖を着ていたが寒い場合に備えて上着を持ち歩いていた。ビーゴは暑かったので、この旅行では初めて半ズボン、サンダル姿になった。

 ホテルの朝食場所は最上階になっていた。屋内、屋外のどちらでもよかったが、屋外に陣取ることにした。
 
 屋外では緩い風も吹き心地よかったが、長くいると暑く感じてきた。早めに食事をすませた。
 
 この日はシエス諸島に向かう。港へ行き15分ほど歩くと、フェリーターミナルらしき建物にたどりついた。写真で旗のたっている建物だ。

 建物の中に入るとガラガラ。島へ渡る船の切符売場はどこかと思って歩いていたら、警備員に声をかけられた。ターミナルはこの建物じゃなく、たった今自分が歩いてきたとき、前を素通りした建物だったのだ。この建物は税関のようだった5分ほど逆戻り。
 
 上左  切符売場。シエス諸島に向かう船は複数の会社が運航していて、一番早く出港する会社の船を利用する。

 上右  往復切符。行きは10時15分発、帰りはシエス諸島を14時発。帰りの船の時間を指定するのは現地での所要時間がよくわからない中では難しいがやむを得ない。

 左  乗船した双胴船。
 
 船内。暑いのでデッキには出ずに涼しい船室内にいた。45分ほどの航海。
シエス諸島ハイキング
 シエス諸島はビーゴの沖合にある島で、モンテアグード、ファロ、サンマルテーニョの3島からなる。海鳥の生息地として国立公園になっている。

 船が運航されているのは6月〜9月だけだ。3島のうちモンテアグードとファロの2島は砂州と堰堤でつながっていて、歩いて行き来できる。今回はこの2島を訪問する。サンマルテーニョは船で渡る必要があり、定期船もないのでパス。

 写真はモンテアグード島にある桟橋に到着した船。砂浜はとてもきれいだ。
 
 
 上左  モンテアグード島からファロ島へ向う。最初は木道がついていた。

 上右  木陰になる遊歩道も通った。

 左  堰堤に到着。これを渡った向こう側がファロ島だ。堰堤の右側は海だが、左側はラグーンで、ずっと左には砂州があって、砂州ででも2島がつながっている。
 
 200mほどの堰堤を歩く。ラグーンの先に砂州が見えている。砂州を歩くのもいいかなと思ったが、歩きにくそうな感じなのでやめておいた。

 しばらく歩くと砂浜に立ち寄り少し足を水につけてみた。日差しがきつく暑い日だったのだが、水はとても冷たかった。
 
 ファロ島に渡ってしばらく行くとキャンプ地があった。島の中には宿泊地はなく、泊まるならテントだ。
 
 キャンプ地をすぎると坂道になり、次第に高度を上げていった。途中、何度も休憩して、後ろを歩いていた人に追い抜かれた。

 やがて砂州がよく見える地点にやってきた。左下の水面がラグーンで、写真の真ん中に桟橋とレストハウスがみえる。桟橋からこの地点まで30分くらい歩いた。
 
 さらに進むと峠があり、やがて坂道を下った。反対側の海が見えてきた。サンマルテーニョ島らしき島も見える。

 ここを下って、ファロ島の端まで行くハイキングコースもあったが、下らずに展望台に向うコースを選んだ。
 
 このあと再び坂道を上がり、展望台に上がった。モンテアグード島の一部が見えた。

 展望台はほかにもあったのだが、14時の船に確実に乗れるようにするために、ここから来た道を引き返すことにした。
 
 左  あちこちで海鳥を見た。カモメの仲間のようだ。人なれしてしまっているのか、近寄っても逃げていかない鳥もいた。

 下左  来た道を引き返すと船の出発までまだ30分以上あったので、レストハウスで缶ビールを飲んで一休み。北西部ではよく見かけるエスレージャ・ガリシアだが缶ははじめてだ。

 下右  案内板にあった地図。緑のルートを「2」のあたりまで進んだ後、黄のルートを少し歩いて展望台に達した。
 
 
カキとイワシを堪能
 港のすぐ近くのペスケーロ地区の一角に魚介類のレストランが集まっている。

 下左  その一軒に入ってみた。

 下右  飲物はビール。この国ではビールはグラスで飲むのが普通なためか、ジョッキにはなかなか出会わないのだが、小型のジョッキででてきた。
 
 生カキ。日本で見るカキとはずいぶん形が違う。丸いのだ。そして1個がかなり大きい。レモンをしぼっていただく。形ははじめて見るものだが、うまかった。

 ビーゴはスペインでは最大の漁港らしい。街自体に観光名所はほとんどないのだが、魚介類が美味しくいただけるだけでも好みの街だ。
 
 イワシの塩焼き。イワシは2日前にも食べたが、そのときは小さかったし、揚げてあった。今日んは塩焼き。日本と同じ味付けで特に美味しい。

 ポルトガルではイワシを何度もいただいたが、スペインではなかなかありつけない。スペイン南部にいったときも、イワシにありつくのに苦労した。ポルトガルで食べるのと同じく美味しいイワシだった。しょうゆではなくレモンでいただくのもなかなかいい。
 
 食後はカストロ城に向うことにした。レストラン街のところからは、ほぼ直線の道をたどっていけば、到達できそうなのだが、坂道が急すぎる。

 写真のような坂道が1kmほど続いていた。途中、何度も休んで進んだので、40分くらいかかった。
 
 カストロ城に到着。上りが急であったため疲れてしまい、木陰のベンチで小一時間休憩した。

 カストロ城は「城城」という意味になり変な感じだったが、案内板ではParque do Castroとされていた。「城公園」ということだが、公園には建物はなくて、城跡だ。
 
  港の眺めは最高だ。遠くには行ってきたばかりのシエス諸島も見えていた。ビーゴは湾の奥にある港のようだ。
 
 カストロ城で長く休んだ後、坂道を下りてきて、港近くのバルで一休みすることにした。 歩道上のテーブルがたまたま空いたところだったので、すぐに席をとった。
 
  サングリアを注文。サングリアは、メニューに書いてあっても大人数で分けて飲むように大容器で供せられる場合も多く、この旅でも注文をあきらめたことがあった。この店ではグラスで出されるようだったので、注文した。

 おつまみとして、ピンチョがついてきた。コロッケがのって串にさしてある。バルで飲物を注文するとタパスがついてくることはスペイン南部では経験しているが、この旅では初めてだった。
 
 1時間近くバルでねばったが、そろそろ潮時かと思い、港を散策してみた。タコの足に腰掛ける人物の像があった。水産都市ビーゴならではの像だ。 
 
 やがて夕日が見られた。

 このあと、ホテルに戻り、荷物をうけとって駅に向う。
 
Renfeのトレンオテル(夜行寝台列車)
 ホテルで荷物を受け取って、駅に向った。この日はRenfeのトレンオテル(夜行寝台列車)で車中泊し、マドリードに向う。

 1ヶ月ほど前にRenfeのホームページから予約した。値段は250ユーロほど(2人利用だと1人210ユーロほど)だが、夕食・朝食の食事つきの個室であるグランクラス(特等)にした。個室だが食事なしシャワーなし(トイレはあり)のプレフェレンテ(一等)で160ユーロ(2人利用だと1人130ユーロほど)、簡易寝台のトゥリスタ(二等)で90ユーロほどだった。もっと早期に予約すれば、もっと安い。
 
 切符は自分で印刷した予約時の紙がかわりで、窓口に立ち寄ることもなくホームへ。この電光表示の100mくらい先のほうに列車は止まっていた。

 THとはTrenhotelのこと。列車名は書いていないが、"Rias Gallegas"(リアスガリシア)という愛称がついている。Renfeの国内のみ運行のトレンオテルも数少なくなっており、この列車のほか、バルセロナとコルーニャおよびビーゴ間、バルセロナとグラナダ間だけだ。あとバルセロナとマドリード間にエストレージャ(簡易寝台と座席の夜行)がある。
 
 最後尾の車両。格好的にはよくない形なのだが、この後ろに、途中のオーレンセで、コルーニャ発でサンティアゴ・デ・コンポステーラを経てやってくる車両が併結される。

 一台の車両の長さは短く、タルゴ列車(スペインで多く走る連接型の列車)の一種であることがわかる。
 
 先頭の機関車

 下左  自分の乗った車両。

 下右  AVEやALVIAでその表示がある位置にTrenhotel の表示があり、Trenhotelが列車種別を表すことがわかる。
 
 
 左左  自分の部屋のある号車に乗車。入口には係がいて、予約を印刷した紙を見せると、キーを渡し、部屋の入口まで案内された。

 左右  部屋の入口。キーは撮影し忘れたがプラスチック板にパンチ穴があいたタイプ。
 
 
 左左  座席。この座席、数分座っただけ。なぜなら、出発直後に食事の案内があり食堂車へ行き、食事を終えて戻ってきたら、ベッドがセットされていたから。

 左右  座席から見た入口ドア。座っていると目の前に壁がある感じだ。
 
 
 左左  シャワー室兼トイレのドア。

 左右  シャワー室兼トイレの内部。
 
 ビーゴを発車するとともに、扉をたたく音がして、出てみると、食堂車への案内があった。ゆっくりする間もなく、追い出された感じだが、すぐに食堂車へ行った。

 グランクラスは5室なのだが、自分が食事を終えるころまでには5組の客が食事をしたので、グランクラス専用みたいなものだ。(プレフェレンテの客も現金払いで利用はできる。)5組の客のために2車両使い、業者委託かもしれないがコックとウェーターが1人づつのっていたので、かなり経費がかかっている。

 
 
 きっちりしたメニューがある。値段が書いてあるが、食事つきのグランクラスの客は値段に関係なく自由に好きなものを注文できる。(現金払いになるプレフェレンテの客は、自分が食堂車にいた間にはやってこなかったようである。)

 
 







 ワインは注文したものがフルボトルで供せられた。ゆっくりと飲んで、1本あけた。

 上  パンのかわりなのか。クラッカーがパンかごに入れてあった。
 
 
 最初に運ばれてきたのは、お菓子かと思ったら、おつまみであった。

 下左  おつまみを食べ終わると、まだ料理ができないからか、スティック状の菓子が運ばれてきた。

 下右  袋から出した状態。
 
 








 左  かなり待ってでてきた一皿目は、サーモン添えロシア風サラダ。

 上  パンはないのかと思っていたが、一皿目とともに温かいパンが運ばれてきた。
 
 二皿目は、黒米とパセリを添えたメルルーサのグリル。
 
 最後にフルーツ。

 メニューに書いてある値段だとフルコースでワインも入れて70ユーロほどだった。ただまずくはないが美味しくもなく、値段は普通のレストランより割高な感じだ。列車に揺られながら食事できるという雰囲気を買っているというべきか。それでもプレフェレンテとの値段差を考えると、プレフェレンテよりもグランクラスのほうが得かなって思った。
 
 食事を終え部屋に戻ってくるとベッドがつくられていた。

 下左  ベッドの上にチョコレートが置かれていた。

 下右  アメニティセットも置かれていた。

 シャワーを浴びたが、揺れるので片手で手すりにしがみつきながら、もう片手でシャワーを持って大変だった。とはいえ、車内のシャワーは快適になれるのでよかった。そのあとは、列車の走行音を聞きながら眠った。