6 リガ その1

朝6時、夜行バスでリガに到着。バスターミナルから鉄道駅前のホテルへまず向かった。便利で安そうなんで目星をつけていた。ところが、早朝にもかかわらず、満員だという。まだチェックアウトタイムの前なので、今晩泊まりたいのだということを伝えたが、今晩も満員だそうだ。長期滞在者が多いのだろうか。それで、少々駅前から歩いたところにある、ビクトリアという中級ホテルに向かった。写真の1階はレストランで、2階以上がホテルになっている。
ビクトリアホテルも着いたときには満員のため、チェックインはすぐにできないらしい。それで、荷物を預かってもらい、パンによる簡単な朝食をロビーでとって、1時間ほどロビーで休んでから市内見学にでかけることにした。

写真は、リガの鉄道駅前の通勤風景。駅舎はかなり古い。8月にいったのだが、人々は長袖の服を着ていて、かなり涼しいことがうかがえる。駅の背後に写っている高い建物は、科学アカデミー。ソ連時代の巨大建築で、ワルシャワの文化科学宮殿に似ている。

鉄道駅の近くにバスターミナルがあり、まずは翌々日のタリン行きの夜行バスの切符を購入しにいった。バスターミナルに隣接して、巨大なカマボコ状の屋根を持つ建物が何棟かある。それが中央市場。

建物の前に見えているのが、路面電車。かなりの路線網をもっているようである。

各棟は、肉類、乳製品、鮮魚、加工食品、雑貨などのエリアにわかれていて、屋外では野菜や果物が販売されていた。簡単な飲食のできるコーナーもある。

屋内はちょっと薄くらくて、あまりイメージはようないのだが、屋外の屋台風の野菜や果物の売場は明るい感じ。屋内、屋外とも、朝が一番にぎやかな時間帯なのであろう。たくさんの市民が買い物にやってきていた。

外国の市場で鮮魚コーナーは影が薄いことが多いのだが、リガの市場は違う。一つの棟の全体が鮮魚売場になっていて、扱われている魚の種類や量がとても多い。

リガはバルト海に面した港町なので、新鮮な魚がたくさん水揚げされるのであろう。

魚の多くは切れ身ではなく、丸ごと販売される。そして、量り売りである。魚についている値段は100グラムあたりいくらかというように書かれている。これは、野菜や果物の場合も同じで、外国の市場ではこうした値段の付け方が多い。

なお、鮭のように大きな魚の場合は切れ身を売っていたし、生簀のようなところで、生きた魚を売っている店もあった。

中央市場では思いがけず長時間かけて見学をおこなった。そのあと向かったのは、自由記念碑。駅前から10分ほど歩いたところにある。ロシアから独立後作られたもので、ソ連に併合された後も、壊されることはなかった。

しかし、私の訪問したときにはご覧の通り、記念碑は修復中であった。木の枠組みの中に、頂上に、3つの☆を掲げた女神が立っているのだが、まったく見えない。また、本来なら衛兵が1時間ごとに警備を交代するのだが、衛兵もいない。

訪問した翌年の2001年はリガ建都800年にあたるので、さまざまな建物が修復されていて、その一環で工事していたようだ。

1985年、ソ連にゴルバチョフ政権が誕生し、ペレストロイカの動きが進んだ。バルト三国でも独立運動が自由におこなえるようになった。だが、ゴルバチョフもバルト三国の独立には否定的だった。1987年のスターリンによる流刑のはじまった日6月14日、リガでは市民が自由記念碑の周りに集まった。これがきかけとなり、バルト三国の独立の動きが加速化した。
自由記念碑に隣接した公園は、稜堡の丘とよばれる。かつて旧市街を取り囲んでいた城壁を壊してでた土でできた丘だからである。上の写真の公園がそれである。

この公園には、1991年1月におこった市民とソ連軍の衝突の犠牲者を追悼する石が点在している。左はそのひとつ。 リトアニアでの衝突は13日。リガでは20日で、どちらも日曜日で、二週続けて「血の日曜日事件」がおこったのだ。

この公園のすぐ近くにあるラトビア内務省のビル。1991年1月の衝突のさいに、ソ連軍が打ち込んだ銃弾のあとが、見えるような形で修復されている。

このときの衝突で6人の犠牲者がでて、その人たちを追悼する石が公園内にあるのである。

このあと、リガの旧市街に入った。旧市街は1kmと500mくらいの辺で囲まれる大きさである。この中に、古い建物がたくさん残っている。

右は火薬塔。これに隣接して城壁の一部が残っている。塔のなかは戦争博物館になっていて、中世の武具などの展示がなされている。

かなり歩いて疲れたので、旧市街の一角でみつけた屋外のカフェレストランで、昼食と休憩。日の当たる席に座ったが、北の国であるためか日差しは強くなく、気持ちよかった。

メインディッシュは野菜と豚肉の炒め物。パンは、ライ麦からつくった黒パン。ビールも注文した。

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