1  ヘ ル シ ン キに 到 着

  左の船はエストニアのタリンからヘルシンキまで乗った水中翼船。タリンからヘルシンキまでは、水中翼船で1時間30分。

  エストニアとフィンランドは、民族的に兄弟国の関係だ。この両国の国歌はメロディーが同じである。また、エストニア語とフィンランド語は、似ているのだが、これらは他のヨーロッパ系の言語とは全然似ていないのだ。だから、習得は難しいだろう。

 

  水中翼船の内部。福岡・釜山間の「ビートル」との違いは、1階席しかないことと、幅・長さとも、こちらの方が大きいこと。 距離はというと、福岡・釜山は200km強、タリン・ヘルシンキ間は100km弱である。

  快適に飛ばした船は、いよいよヘルシンキの港に突入し、スピードをゆるめた。ずいぶん明るい感じの港で、大型客船も止まっている。

  このときの旅は、旧ソ連の影響下にあったポーランド、旧ソ連の一部だったバルト三国に続けてのものだった。

  冷戦時代、フィンランドはというと、経済的には資本主義ながら、旧ソ連への配慮からか外交的には中立を保っていた。冷戦の崩壊(1989年)は、ポーランド、バルト三国の西欧化をもたらしたが、フィンランドもまた、中立をやめ、EUへの加盟をもたらした(1995年)。さらに、今やポーランド、バルト三国もEUに加盟した(2005年)。

  上陸。そして入国審査。シェンゲン協定国共通の入国スタンプ、今まで航空機と列車の絵柄のものは押されたことがあるが、船のものは初めて であった。

  EUに入るのに船で入ることは、今後もそう経験しないと思われるから、貴重なスタンプとなろう。( 現在は、エストニアもEUに加盟し、ますます船でのEU入国の機会が減少した。 ただし、エストニアはシェンゲン協定国ではないから、現在でもエストニアからフィンランドへの入国のさいには、船の絵柄のスタンプが押されるのであろう。)

  入国後、まずはインフォメーションへ。この日を含め、フィンランド滞在中のホテルの予約を依頼。

  ところが、これはと思う比較的チープな市内のホテルがこの日は満室。結局、地下鉄で20分ほど郊外に向かい、さらに徒歩20分ほどのところのホテルなら泊れるとのこと。やむを得ず、そこにした。トゥルク、タンペレ、そして再びヘルシンキに戻ってきてからの宿も予約したが、こちらは、位置、価格とも希望のものが確保できた。

  国鉄のヘルシンキ中央駅まで15分ほど歩く。繁華街は華やかで、この日の朝まで滞在していたポーランド、バルト三国とはずいぶん様子が違う。

  中央駅のあたりにも地下鉄の駅があり、ここから地下鉄で郊外へと向かった。ヘルシンキの地下鉄は、市内中心部と郊外の住宅地を結ぶのが目的のようだ。市内内部の交通は、路面電車とバスが担っているようだ。

  10分も地下鉄に乗ると、地上を走る。車内から見えるヘルシンキの郊外は、住宅はまばらで、森と湖の国の名前通り、木々や池がたいへん多いことが実感できる。

  20分ほど乗車ののち、下車。

  下車した地下鉄駅。残念ながら、今となっては、駅名は不明である。
  上の駅舎の中にて。赤いのが券売機。
  駅から歩くこと20分。住宅地の中を通り抜け、公園のようなところの中のホテルにやってきた。周囲の環境はいいのだが、翌日は、9時5分の国鉄ICでトゥルクに向かうのだが、まず国鉄中央駅まで1時間かけて出なくちゃならない。

  その予行演習もかねて、チェックインして荷物を部屋に置くとすぐに、今やってきた道を駅に引きかえし、地下鉄に乗って市内中心部に向かった。

  先ほど、地下鉄に乗った国鉄中央駅前の駅で下車。ここから歩いて市内の観光を開始した。

  左は、ヘルシンキ中央駅と路面電車。

  ヘルシンキ大聖堂。階段を少しあがった高いところに建てられている。大聖堂の前には大きな広場があり、元老院広場という。
  元老院広場をはさんで、建っている市庁舎。
  ウスペンスキー寺院。レンガ造りのロシア正教会である。
  大統領官邸。訪問した年、フィンランドでは女性大統領が就任した。タリヤ・ハロネン大統領(任期は2000年3月から2006年3月)で、何と愛称は「ムーミンママ」。親しみやすくて、近所のおばさんという感じだそうだ。なお、フィンランドの大統領は政治的な権限はなく象徴的な存在だそうだ。)である。
  大統領官邸の近くには屋台のたくさんでるマーケット広場がある。野菜や果物を売る人、ハンドメイドの品物を売る人などさまざまで、とてもにぎわっている。
  エスプラナディー公園。市内のど真ん中にある公園。冬の間は昼間がとても短いので、夏の間に太陽の光を浴びておこうと、公園のベンチがにぎわっているのかもしれない。
  繁華街は大賑わい。まだ明るいのだが、すでに20時ごろなのだ。
  この日の夕食は、トナカイの肉炒め。山盛りのトナカイ肉とポテトで満腹になった。トナカイはあまり美味しいとは思わなかった。この国では、トナカイはごく普通の肉として肉屋で販売されている。牛や豚と並列で扱われているが、牛や豚よりは値段は高い。  

フィンランドのトップへ   ユーラシア紀行のトップへ    2へ