1 日 目 前 半

 

 関西地区から富良野・美瑛に近い空港、旭川へは、昼前に関空を出発するので、1日目は有効に使えない。そのため、今回は、伊丹発の最終便で羽田に向かい、羽田で1泊。羽田を朝出発して、ほぼ1日、フルに自由に使えるような計画にした。
 羽田から旭川へは、エア・ドゥ(北海道国際航空)を利用する。でも、ANAとコードシェアしていて、自分はANA便としての利用だ。
 エア・ドゥは、90年代後半に新規参入の航空会社だが、スカイマークなど格安志向の会社とは一線を画し、北海道の独自色を出した会社になっている。しかし、経営不振に陥り、今はANAの協力で立て直されたような感じだ。

 実は、ANA便として利用すると、券種によっても違うが、エア・ドゥ便として利用した場合に比べて、同種のチケットでは1万円程度高くなる。これはANAの発券をしたあとで気づいたことで、もう少し考えてもよかったかなと思った。マイル目的でやはりANAを選んだかもしれないが、他の選択をしたかもしれない。

 エア・ドゥが安めのチケットを出しているが、これは羽田・旭川線に今年参入したスカイマークとの競争上、出しているようだ。でも、同種のチケットでは、スカイマークはエア・ドゥより5千〜1万円安い。旭川線についていえば、値段は、JAL=ANA>エア・ドゥ>スカイマークとなっていて、JAL、ANAの最安の制限の多い割引運賃とスカイマークの普通運賃が同水準だ。

 さて、機内サービスはというと、北海道の航空会社だと感じたことが2つある。スープのサービスがオニオンスープでこれはエア・ドゥならではだ。それから、旭山動物園のガイドブックはじめ北海道関連の本や雑誌を貸し出していたこと。
 
 旭川空港は、旭川よりも美瑛のほうが近い。それで、当初は旭川空港から美瑛に直行するつもりでいた。

 ところが、空港バスの時刻を知べてみると、美瑛・富良野行きのバスは、始発がかなり遅いため、旭川に向かったほうが美瑛に早く着くことがわかり、旭川行きの空港バスに乗車した。美瑛・富良野行きは、ふらのバスの運行で、富良野方面から旭川行きのバスが折り返して、富良野方面に向かうために、始発がかなり遅いのだ。
 
 乗車した空港バスは、旭川電気軌道のバス。電気軌道を名乗っているのは、かつては路面電車を運行していた会社がバス会社になってからも旧社名のままであるため。

 旭川駅では、「ラベンダーフリーパス」を購入した。富良野・旭川間などが自由に乗り降りできるもので、料金は富良野・旭川の往復より少し高い程度で、途中で2回程度途中下車するなら、すぐに元をとれる。

 加えて、美瑛ではツインクルバスという、JR運行のミニ観光バスに無料で乗車できる。この指定券も発券してもらった。
 
 旭川から美瑛へは、ノロッコ号に乗車する。
  
 富良野線のホームへ向かうわけだが、富良野線は他のホームと200mくらい離れていて、大変長い地下道で結ばれている。壁面には美瑛あたりの風景だろうかペイントがなされていて、単調なトンネル歩きを多少、助けてくれている。

  それにしても、数分前には改札口を通過しなければ乗れないとはなぁ。
 
 ノロッコ号は、本年3月に網走からの流氷ノロッコ号についで2回目の乗車。

 すでに10年の歴史があるらしく、記念の標示板をつけていた。

 自由席の車内は各ブースのほとんどに客が入っている状態で、わずかに開いていたブースに陣取った。近くの客は着ていたTシャツの柄から香港からの客だとわかった。通路を通る客や美瑛で下車した客の話声からも外国人個人観光客がかなり多く乗車していることがわかった。
 
 
 美瑛の駅舎は、美瑛軟石を使ったもので、石造駅舎として有名である。

 ずっと以前にも来て、白金温泉まで往復したような記憶があるのだが、そのときのことはすっかり忘れてしまっている。駅舎も記憶にない。

 この駅舎の前から、ツインクルバスが出発する。セブンスターの木など北美瑛を回る「丘コース」と拓真館など南美瑛を回る「拓真館コース」がある。この日は「拓真館コース」に乗車。
 
 北海道が外国人に人気のある観光地になっていることは、台湾・香港・韓国・シンガポールなどへ行くとよくわかる。

 では、外国人にとって人気のある北海道の観光地はどこか。昨年来いくつかの道内観光地を回り、今回はっきりわかったのは、一番人気は、富良野・美瑛だということだ。

 ツインクルバスに乗ると、ラミネート加工したコース案内が各席に置いてあって、日本語・英語・中国語(繁体字)・韓国語のものがある。画像は、その一部。このほか、このエリアの観光地では、主だった表示は、4国語表示になっている。

 このあと、ファーム富田、チーズ工房、ワイン工場など主な観光地では、つねに外国人をたくさん見たし、ノロッコ号も外国人が多く乗っていた。美馬牛小学校では、4国語で校内に立ち入ったり、教室をのぞかないように注意書きがしてあった。美馬牛駅は無人の小駅だが、乗降客の半数は外国人のようだった。

 このエリア以外と比べて、明らかに富良野・美瑛が外国人に人気なのはどうしてだろうか。やはり、雄大な丘陵地が広がるからだろう。ほかのエリアに比べて、富良野周辺は大地に根ざしているという印象を受ける。台湾・香港・韓国・シンガポールを思い浮かべると、こうした風景の場所は思いつかない。

 二次的な理由は、札幌からのアクセスの良さだろう。札幌を拠点として日帰りで一通り回れることも大きいと思う。
 
 さて、「丘コース」最初のみどころは、新栄の丘。ここは車窓から見るだけ。バスはスピードを落としてくれるのだが、一瞬、丘陵地を眺められる程度。

 ごく小さな展望台がある程度で、訪問者もあまりいない感じではあった。
 
 まもなく、富良野線の踏切を通過。右は、富良野方面への線路。 
 
 拓真館。

 美瑛を中心とした風景写真で有名になった前田真三氏の作品80点を展示している写真ギャラリー。靴を脱いで上がるようになっている。

 実際の風景もすばらしいが、ここで見た写真はそれ以上のもの。撮影禁止のため館内の写真はなし。
 
 拓真館の裏手ではじめてラベンダー畑を見たが、まだつぼみ状態。

 また、玄関の左手に、白樺の道の入口があり、一周200mほどというので歩いてみた。普通の散歩道。
 
 続いて、四季彩の丘へ。ここは広い敷地に、ラベンダーはじめカラフルに各種の花が咲いていて、きれいだった。

 左は、ロール君。牧草ロールで作った巨大なマスコット。
 
 帯状にいろいろな色の花が植えられていて美しい。

  
 
 ここに、もうひとつの「ノロッコ号」があった。「ノロッコ号」といえばJRののんびり列車だが、四季彩の丘の「ノロッコ号」は農業用のトラクターが牽引する遊覧車。

 手前に見える黄色い花はひまわり。背が低くて、花が小さいかわいいひまわりをはじめて見た。
 
 ここでは、ラベンダーソフトとコロッケを食べた。

 ラベンダーソフトは、ほのかに香りがしていて、あっさりとしている。

 コロッケは北あかりというじゃがいもを使ったもので、甘味があった。 
 
 最後に車窓から、美馬牛小学校を見る。ところが、自分の座っていた側からはなかなか見えない。

 ようやくよく見えるようになったかと思えば、小学校の真横にきていた。今度は、写真を写すには近すぎた。

 なんとか、あとで遠景を撮影したが、不満が残った。そんなわけで翌日、旭山動物園を考えていたが、再度、美瑛周辺を回ろうと思うに至った。
 
 バスで拓真館や四季彩の丘をまわって美瑛の駅に戻ると昼食タイム。

 向かったのは、駅のすぐ近くにある「おきらく亭」。ポトフやスープカレーを得意にしている洋食屋さん。

 どのメニューも、オードブルとライスがセットになっている。




 
 オードブルには食べたかったアスパラガスも入っていて、ドレッシングもさっぱりしていてよい。

 メインのポトフだが、運ばれてきてその量の多さに圧倒された。時間をかけて煮込んだのであろう、チキンは肉が骨からきれいにとれ、とても柔らかい。
 
 じゃがいもやたまねぎは、煮込まれた割にそのもの味が生かされて甘みを感じる。ほかに、ソーセージ、にんじん、白菜、かぶなどが入っている。

 そして、スープがなんともいえない美味しさ。ほとんど飲みほしたら、お代りをすすめられたが、もうお腹いっぱい。全部食べ終わった後は、よくぞこれだけ食べたものだと思った。

 

 

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