ウブドの休日(1)  ※この日は暗くなってからの到着のため
              写真は撮影していません。

 12月23日  ウブドに到着

 冬は寒さを逃れて暖かいところに行くのが良い。
というわけで、バリに行ってみることにした。

 着陸後、外に出るとムッとした空気が襲う。冬から夏に急にかわったようだ。入国手続きをするとすぐに両替屋が並んでいる。手を振って呼び寄せているのだが無視をする。いくつか並ぶ両替屋のうち、入国手続きを終えて出てきたすぐのところはレートが悪く、外への出口近くのところが良い。これはバリの会議室で学んだ知識だ。実際、手を振っていたところは、¥1=Rp56で、出口近くのところは、Rp64。これでも悪いかもしれないと考え、2000円だけ両替。たちまち、Rp128,000 になる。

 外にでると各種のツアーの送迎の現地係員がうずまいている。ふだんの旅行では、この雑踏は自分には関係ない。空港から列車か路線バスに乗るからだ。今回は違う。デンパサール空港では、空港発の公共の交通機関がない。(空港着については存在する。)したがって、タクシーの利用となるが、今回は、宿に送迎を頼んだのである。今回は、バリの中央のウブドで7泊する。宿を予約するさいに、7泊プラス送迎を頼んでおいたのだ。

 自分の名前を書いたプラカードを持った人がいた。自分の名前をいって、車に案内してもらう。運転手はアニャン(仮名)。かなり日本語がうまいので、ずっと日本語で話ができた。さいわい雨は小降りになったようだが、先ほどは土砂降りだったらしい。熱帯特有のスコールの歓迎を受けたのだ。雨上がりということもあって、蒸し暑い。窓を全開にして風を入れるが、アニャンは窓を開けない。寒いのだという。しばらくしてから、アニャンはまだ暑いかと聞いて、エアコンを入れた。エアコンがついていないのかと思っていたのだが、使っていなかっただけだった。だいぶ汗がひいてきたので、涼しくなったといってエアコンを切ってもらう。本当はまだ暑かったのだが、アニャンが寒いと言っていたからだ。これも本当に寒いのか、経費節減のためエアコンを切る口実なのかわからなかったが、本当に寒いのなら気の毒に思ったのである。

 アニャンは、ウブドでは何をするのかと聞いてくる。踊りを毎日見るのが目的だと答えておく。本当は、いろいろなところの見学も目的なのだが、アニャンが、宿で雇われている運転手か、宿から送迎を頼まれただけの運転手かがわからなかったから、そのことは言わなかった。もし後者なら、宿を通さずに個人交渉で車のチャーターをしてほしいに違いない。その際、宿を通すよりも高い値段をふっかけてくるかもしれないと思ったからだ。そうすると、次に、アニャンは、毎日、朝、バトゥプランという村でバロンダンスをやっているから見に行かないかと言ってきた。それで、朝は、散歩をすると答えておく。

 なるべく、旅のスケジュールの話にはならないように、自分からアニャンに何歳だとか、結婚しているのかとか、今通っている村はどこかとか聞いて、アニャンのペースにならないようにしていくうちに、1時間近くかかってウブドの宿に到着。到着後、アニャンが宿の中のひとつの部屋へ通して、シャワーの使い方を教えてくれる。アニャンは宿の従業員なのだろうか。

 アニャンが部屋から出ていって時計を見ると、19時30分。少し休んだだけで、すぐに出かける。オカ・カルティニというホテルで、ワヤン・クリという、影絵芝居をやっているのだ。ウブドでは、毎晩、踊りがいろいろな会場で行われているのだが、ほとんど19時30分から始まるので、今日は、20時から始まるワヤン・クリを鑑賞することにしたのだ。

 会場は、ホテルの庭に設営されていて、日本の村祭りで影絵が上映されるところのような感じだ。およそ、6,70人の観客である。話の内容はよくわからないが、一部に、英語や日本語らしき言葉がでてきて、そのときには会場から笑いがおこる。でも、できれば、伝統芸能に徹して、そういうことは避けてほしいものだ。上映のあと影絵で使った人形と人形を操っていた人を見ることができた。一人の人が、複数の人形を操り、複数の登場人物の声を演じていたのだ。