ウブドの休日(6)

12月28日  東部へ

 朝食の前に、アニャンとコースについて打ち合わせ。大体、自分の希望通り回れそうだが、回り道になりそうなところはカット。朝食時は、昨日から泊まっている男性と、昨日いったジェゴグの鑑賞について話す。この人も、ガムランをやっていて、芸能関係にはたいへん詳しい。初めて顔を合わせる日本人女性が出かるところだった。この人は朝食をとっていなかったので話す機会はなかったが、男性の話ではダンスを習いに来ているとのことだ。

 朝食後、一服して出発。まず、一昨日のツアーでも立ち寄ったクルンクンを通る。クルンクンの手前に、太平洋戦争中に日本軍が掘ったという洞窟があった。反対側の車線脇なので、帰りに立ち寄ってもらうことにする。

 このあと、いたるところで工事をしていて通りにくい道を通って、プトゥンへ行き展望を楽しみながら一休み。ロンボク島へのフェリー発着地などがよく見える。しばらく行くと、シベタン。サラックという果物の特産地である。道端の屋台で買って試食する。皮をむくと、白っぽい水分の少ない果肉がでてきて、らっきょうの大きなもののような感じだ。少しすっぱく感じるが、何個も食する。

     
       サラック売りの屋台。

 バリ東部のみどころ3つを相次いで訪問。ティルタガンガ、ここは泉を利用した庭園である。庭園の池は、プールとしても使われている。これが独立後に旧王族がつくったものでわりと新しい。

      
      ティルタガンガ。

  続いて、アンラプラの王宮。ここも、20世紀になってからつくられたもので、バリには珍しく西洋風の王宮である。中に置かれている家具類も洋式のものであった。

    
     アンラプラの王宮。

  そして、ウジュン。ここも20世紀に入ってからつくられた王宮なのであるが、1979年の地震で崩壊して、ほとんど何もなくなってしまっている。見た目には、廃墟のような建物が少し残るだけで、あとは田んぼになっている。

     
      ウジュンの廃墟。

 昼食はかなり遅くなったが、チャンディダサでとる。海岸の見えるレストランにはいったが、海岸はそれほどきれいではない。ゆっくりとしているうちに、雲行きがあやしくなってきた。急いで、つぎの目的地トゥガナン村に向かうが、土砂降りになった。

    
     土砂降りのあとのトゥガナン村。

 この村は、バリのなかでも最も古い村といわれていて、古い風習が残っているという。しかし、大雨でゆっくりと見学することも難しい。排水の設備が整備されていないみたいで、階段や坂道は滝のようになっている。傘はあまり役立たない。観光客は自分一人で、地元の人たちも屋根のあるところで雨宿りしている。一通り見て、すぐに車に戻る。

 しかし、しばらく行くと雨はやみ、道もぬれていない。次は、海岸で塩を作っているところを見学する。海水を海岸に引いて、それを蒸発させて、塩をとるという原始的な方法である。見学していると、雨に追いつかれてしまった。

    
     海岸での塩つくり。

 その次は、ゴア・ラワという洞窟を利用した寺院である。突然、アニャンが窓を閉めるように叫ぶ。窓には、フィルムがはってあって中が見えないようになっている。警官が立っているからだ。乗っている車は何とか言う保険に入っていないらしい。外国人を乗せるときはその保険に入らなければならないのだが、この車は入っていないらしい。宿には、保険に入っている車もあるのだが、そちらはオーナーが朝から乗っていってしまったのだという。外国人を乗せている車は止められるから、わからないよう窓を閉めさせたのだ。

 警官の前はスピードをあげて通過。まもなく、ゴア・ラワにやってきたが、駐車場に警官がいたので、アニャンは、申し訳無いがここは行けないという。やむを得ない。

     
      道端につづく日本軍がつくった洞窟。

 朝、通ったクルンクンを過ぎ、日本軍が掘った洞窟を見学。道路沿いのがけに、数メートルおきに穴がほってある。全部で十数個所の穴がある。一つの穴に入ってみると、かなり奥深いようであるが、真っ暗なのですぐに引き返す。きっと、空襲などに備えて掘ったのであろう。詳しいことはわからなかった。

 17時に宿に帰着。一休みしてから、踊りを見に出かける。今日はウブドの北の方のジュンジュガン村であるケチャを見る。19時にインフォメーション発の連絡の車で会場へ。ケチャは、大勢の男性が出てきて、チャチャチャと繰り返し口ずさみ、これがガムランの代わりである。男たちの真中に火が燃やされ、その回りでダンスが演じられる。

      
       ケチャ。

 終了後、連絡の車でインフォメーションに戻ると、プリ・サレン・アグンでは翌日のお葬式のための出し物をやっていて、黒山の人だかりだ。ちょっとのぞいてみるが、よくわからないので、食事をして、宿に戻る。