灼熱のウズベキスタンを行く(1)

(この日は深夜着で、写真はとっていません)

【タシケントホテル

 深夜にタシケント空港に到着。今夜の宿であるタシケントホテルへ向かう。送迎車の車窓とガイドブックの地図とを見比べてみるが、どこを走っているのかまったくわからない。町全体に明かりが少なく、薄暗い感じだ。繁華街といえるようなところはなく、沈んだ感じの町だ。

 10分あまりでホテル着。旧ソ連時代には、格式のあったホテルだったのであろう。3階建てながら、巨大な建物である。だがここも薄暗いのである。不気味な感じすら受ける。

 チェックインはガイドがしてくれたのだが、時間がかかる。ガイドがやってくれてもスムーズにいかないのだから、これを自分でやるとなると果たしてうまくいくのだろうか。

 ようやくチェックインが終わり、パスポートと共に小さな紙切れを手渡してくれた。この紙切れが、レギストラーツィアである。
「とても大切なものです。絶対になくさないように」とのこと。

 小さな紙切れには、自分の名前が書かれ、ホテルの印が押してあって、何月何日にどのホテルに泊まったのかの証明になるのである。外国人は、必ずレギストラーツィアの紙切れをもらわなければならないのだ。

 相当、面倒な制度だ。しかし、これからこの紙切れをホテルごとに集めなくてはならない。旧ソ連時代の外国人管理の方式が今もなお生きているのだ。

 自分の部屋は3階なのだが、3階にあがってすぐのところのカウンターで、ガイドはそこにいるおばさんに紙を渡して、鍵を受け取っている。フロントでお金を払うと、たいていの国では鍵を渡してくれるのだが、この国の場合は、領収書のようなものをくれるようだ。そして、その領収書のようなものを、各階ごとの部屋係のおばさんに手渡すと、鍵をくれるみたいだ。旧ソ連方式のホテルのやり方なのだろう。面倒くさいやり方だ。

 ガイドに連れられて部屋まで行くが、ホテル内の廊下も明かりが少なく、不気味な感じだ。相当歩いて、自分の部屋に到着。ガイドは、明日乗る予定の国内線の航空券を渡してくれ、これで自分の仕事は終わりだという。

 明日宿泊するホテルのクーポンはどうなっているのか尋ねたが、ガイドは知らないという。困ったことだ。ホテルへ行って、予約が入っていないなんて言われないだろうか。

 ガイドが立ち去りひとりになると、部屋のあちこちが気になりだした。部屋は大きいのだが、かなり古く汚れも目立つ。壁のシミ、じゅうたんのシミがかなりひどい。シーツは洗ってはあるが、ところどころが破れている。

 冷蔵庫があるのだが、コンセントを差し込んで使う仕組みになっている。せっかくだから、飲物を冷やした。この冷蔵庫、何時間冷やしてもほとんど冷たくならなかったのであった。

 トイレに入る。便座の汚れがひどい。とても腰掛ける気にならないシロモノだ。そこで、トイレットパーパーを敷いてその上に腰掛ける。さて、そのトイレットペーパーだが、日本のザラ半紙のようなものなのだ。これでは流れないかもしれないので、汚物入れに使用済みの紙を捨てる。

 そして入浴。一応、バスタブがついていたのだが、これまた腰をおろす気にはならないものだ。バスタブの底は見事に茶色になっていた。せっかくだが、シャワーを浴びるだけにした。お湯がきちんと出ただけでも良かったのかもしれない。

 ガイドブックによると、このホテルは$30するらしいのだが、それだけの価値があるとはとても思えない。初日から、悲しくなってしまった。遠い国にやってきて、なぜこんな悲しい思いをしなくてはならないんだろう。

 入浴がすむともう0時だ。もちろんエアコンはついておらず、夜中だというのにたいへん暑い。あまりに暑いので裸のままベットに横たわって、明日のスケジュールを確認したりしてあと、疲れが出たのか、そのまま寝入ってしまった。