2  メルボルン市内

 

 シンガポールからメルボルンはカンタス航空のQF10を利用した。保安検査を通って待合室へ。ここであまりにも多い客にびっくり。これは、もしかしてA380?と瞬間的に思った。外が見えると所に行くと、やはりA380。はじめてのA380搭乗だ。

 思い出したのが、カンタスのA380のエンジン1個が、シンガポール離陸直後にインドネシア上空で、火を噴いてたうえ落下した事故。すぐに引き返して、人的被害はなかったが、1か月ほどカンタスのA380は全機が運航停止になったということ。でも、多くの人を見ていたら、そんな不安はすぐに消えた。 
 

 オール2階建ての独特な機体。ジャンボを上回るその大きさには圧倒された。エコノミークラスは1階席。ゆとりあるとか静かだとかいう感想をネット上で見たことがあるが、ほとんどそんな感じはせず、乗ってしまえば、機内が大きいこと以外、ほかの飛行機とさして変わりなかった。それでも満席に近い搭乗率でびっくりした。それでも、自分の横は空席でゆったりできた。

 しばらくして機内食。ラウンジでしっかりいただいたので、半分ほど残した。飲物はオーストラリア産の赤ワインをいただいた。

 到着1時間半ほど前に朝食の機内食。7時間ほどのフライトなので、このころにはお腹もすいてきて、全部いただいた。

 シンガポールからメルボルンまでのフライトマップを見て感じたこと。コースの半分以上がオーストラリア内だということで、この国の大きさを実感した。シンガポールじゃなくクアラルンプルになっているのはちょっと困るんだけれども。
 

 この2都市間のマイルは3751で、東京・シンガポールの3312より長い。半分以上の1900くらいはオーストラリア内のようだ。これは東京から香港の1823より少し長いくらい。こう考えるとかなり長い。

 こんなことを考えながら、まだ真っ暗なメルボルンのタマリン空港に到着。

 下左 空港から市内へはスカイバスで向かった。深夜でも運行している空港バスで、とくに日中は10分間隔でとても便利だ。

 上右 スカイバスの市内でのターミナルはサザンクロス駅。バスは25分ほどで到着。この駅は、フリンダース・ストリート駅とともにメルボルンを代表する駅で、郊外に行くにも拠点になる駅である。

 それで、ホテルはサザンクロス駅のすぐ近くに確保した。駅から2,3分のアルトホテル。ところが、通りの北側に面しているのに、南側を歩いて、ホテルに気づかずに、別の通りを探したりして15分ばかり無駄な時間を費やしてしまった。

 迷ったにもかかわらず、ホテルに着いたのはまだ9時にもなっていない。チェックインだけはしたけれども、部屋には予想通り入れず、荷物を預けて市内観光に出かけることにした。

 メルボルンの鉄道交通の特徴は、市内では路面電車が、郊外ではメトロと言われる郊外電車網がそれぞれ発達していることだ。

 このうち路面電車については、新型のものと旧型のものがある。大部分は新型の路面電車だ。シティサークルと言われる市内中心部の環状線を走る路面電車だけは旧型で、これは何と無料なのだ。

 この街の路面電車網は、ある街路にそって南北または東西の方向に走る。そして南北方向から東西方向にまがることもないから、安心して乗れる。
 乗車券は1日券を購入した。この券は路面電車のみならず、郊外を走る近郊電車と共通だ。路面電車と近郊電車のうち市内に近い部分、それにそれらの運転範囲に相当するエリアのバスに使える1日券が、6.8オーストラリアドル(約550円)で、かなり安い。近郊電車をすべてのることができる1日券で10.6オースリラリアドル(約850円)。

 路面電車でまず向かったのはクィーンヴィクトリア・マーケット。

 メルボルンを代表する巨大な市場で、食料品・衣料品といろいろなものが売られている。

 光線が入りこんで明るく、通路が広くとられていて、東南アジアなどとは違ったすっきりとした感じの市場である。

 左 野菜売り場。

 下左 広々とした市場内。

 下右 市場の外観。

 マーケットに隣接したところではトルコの物産展をやっていた。テントの店が並び、ステージでは楽器演奏やダンスもやっている。

 下左 何という料理名かわからなかったが、お好み焼き風のトルコ料理を売っていたので、食べたくなった。まだ11時ごろだったが、機内食が出たのも早朝だったので、早めの昼食をこれですませることにした。

 下右 4つに食べやすく切ってくれた。具の違いで何種類かあったが、チーズのものを選んだ。

 マーケットのあとは、歩いて旧メルボルン監獄に行った。ここでは100人以上の囚人の絞首刑がおこなわれ、絞首刑台も残っている。しかし、気持ち悪いものである。ネッド・ケリーとかいう囚人が有名で、彼もここで絞首刑になったという。独房内に囚人の写真やデスマスクがあるのは日本では考えられないことだ。

 下左 独房の並ぶ廊下。

 下右 独房の内部。

 さらに歩いて、カールトンガーデンへ。この公園の中に世界遺産になっている王立博覧会ビルがある。

 1880年の国際博覧会のために造られたビルなのだが、内部の装飾が美しいらしい。1日1回の見学ツアーがあるとガイドブックで見て、それに合わせて行ったのだが、工事中になっていて見学ツアーは行われていなかった。

 

 同じくカールトンガーデンにあるメルボルン博物館へ。王立博覧会ビルのすぐ北側にある。

 かなり斬新な建築で、メルボルンの自然、文化の展示をしているのだが、展示自体はありふれた感じであった。

 マーケット、監獄、博物館と市内の中でも北のほうを回った後、南のほうに向かった。

 途中、市内の中心を通る。路面電車の線路は南北と東西の線路が直行していることがわかる。

 電車の乗り違えが起こりにくく安心して乗れる反面、少し慣れると必ず乗り換えねばならないのが面倒と思ってしまう。

 市内の南へ向かう路面電車に乗って、ヤラ川を渡ると東側には広大なロイヤルボタニックガーデンが広がる。

 この公園の中には戦争慰霊館がある。巨大な石造の古代ギリシャ風の建築であり、第一次、第二次世界大戦やベトナム戦争の際の戦没者を慰霊している。

 戦争慰霊塔。こちらには1939-45とあるので、第二次大戦の戦没者の慰霊塔なのだろう。塔の下では、慰霊の灯火が燃えていて、花輪がいくつか供えられていた。

 下左 戦争慰霊館も中には、戦没者の名前を記したものが保管されている。

 下右 戦争慰霊館の中で見たフィルムのひとこま。日本を中心に太平洋戦争を扱ったものであった。

 

 戦争慰霊館から10分ほど南に歩いたところにあるラ・トロープの家。ヴィクトリア州がニューサウスウェールズ州から分離する以前の統治官であったラ・トロープの住居。

 ガイドブックでは見学できるようだったが、人の気配もなく外から見ただけ。

 北に向かう路面電車で、フリンダース・ストリート駅へ。外観は時代ものの重厚な建築だが、内部は島式ホームが並ぶ普通の駅である。

 翌日は郊外へ近郊電車でパッフィンビリー鉄道に乗りに出かける予定なので、時刻表を調べたりした。ホテルを出る時刻やホテルそばのサザンクロス駅から直通で行けることなどを確認した。

 フリンダース・ストリート駅とは交差点の対角線上に位置しているのがセントポールス大聖堂。

 英国国教会の大聖堂で、後で行ったセントパトリックス大聖堂とならんでメルボルンでゴシック建築の代表的なものである。

 

 シティサークルとよばれる市内中心部の環状線を走るレトロな路面電車。この電車は無料。もっとも自分の場合は1日券を使っているから特に恩恵はない。

 同じ路線を有料の新しいタイプの車両も走っている。だから無料の電車はレトロな電車にするには、乗り間違い防止のためにいいことだ。

 上左 1区間だけ無料の路面電車に乗り、さらに乗り換えて向かったのはフィッツロイガーデン。

 上右 その公園の一角にあるのがキャプテンクックの家。もともと英国のヨークシャーにあったもので、クックが幼少時代を過ごした家だが、この家が売りに出されて、これを買った人が移築したようだ。

 左 クックの家の内部。

 左 セントパトリックス大聖堂。カトリックの大聖堂でステンドグラスもすばらしかった。ここも尖塔がきれいなゴシック建築。

 下左 この大聖堂のあと、シティサークルの路面電車の走る環状線に向かい、路面電車と同じコースの地下を走っている近郊電車に乗車した。近郊電車は郊外から市内にやってきたあと、シティサークルを回って、そのあと別の郊外の行先に向かって行く。

 シティサークルを走る近郊電車はいろいろな行先の電車が混じって走っている。だから乗車するときには注意が必要だ。

 下右 シティサークルをぐるっとほぼ一周して、フリンダース・ストリート駅へ。駅の南側のヤラ川を見た。

 左左 路面電車で中心街へ。そしてロイヤルアーケードへ。

 1892年にできたメルボルンで最古のアーケード。

 左右 シドニーに比べると小さいが、チャイナタウンがあり、その入口のゲート。

 チャイナタウンの近くの店で夕食。

 上左 ビールはVB。ヴィクトリアビターの略だが、普通ヴィ・ビーというようだ。

 上右 福建麺。

 左 揚げ春巻。

 夕食のあと、ホテルへ。荷物は部屋に運ばれていた。

 夜行便が2夜続いたので、ホテルで寝ることができヤレヤレであった。


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