2 香 港 街 歩 き
蓮香楼でレトロ飲茶 |
丸一日フリーに使えるのはこの日だけ。朝食は飲茶で、ということは香港旅行を決めたと同時に決まったようなものだった。 ホテルが九龍側にあるので、最初は、手軽に利用できる倫敦大酒楼か、九龍最南部で最近多くなっている新しい現代的な店を考えていた。倫敦大酒楼も現代風飲茶も経験があり、それはそれで、それぞれ魅力がある。 しかし、ネット仲間のヒョウちゃんとのお話によって、ちょっと遠いけど、香港島に渡って、レトロ飲茶である蓮香楼か陸羽茶室もいいかなって気になった。どちらも過去に訪問して、飲茶を楽しんでいる。どちらも行きたいが、今回は値段が安く、庶民的な蓮香楼をめざすことにした。 困ったことに、朝方から雨が降り続いていて、明るくなっても雨がやまない。7時にホテルを出発するつもりだったが、小降りになった8時に出発。傘なしでなんとかしのげる。地下鉄を上環で下り、店へ向かった。10分ほどで到着。 |
到着したときから、どんどん人が店内に吸い込まれていく。前回訪問した時は、10分ほど待って、空席ができるや、即、そこへダッシュして席を確保した。 店内に入ると、やはり食べている人たちの中でしばらく立って席が空くのを待たねばならなかった。写真で立っている人が写っているが、この人たちも空席を待っている人たちだ。 空席ができても、端のほうの席はパスだ。セイロをのせたワゴンがやってこないからだ。だから店の中央部で席が空くのをしばらく待った。今回も10分ほど待って、席を確保した。 |
茶は、定番だと思うポーレイ茶(プーアル茶)。黒っぽい色をしている。まわりの人を見ると、薄い色の人が多く、サウメイ茶だろうか。いつもポーレイ茶なので今度は別の物を試してみよう。 茶の入っている器の右側は容器や茶葉を洗ったものを捨てるのに使う。茶碗を洗った湯はすでに捨てられ、新しい器にかわっている。ここに、茶葉を洗うため、最初に注がれた湯を捨てる。ついでにその湯で、レンゲなども洗う。 1人客の場合、茶葉がポットではなく、蓋つきの茶碗に入れられてくる店がある。古い店はだいたい、茶碗に入れて供せられる。茶を飲むときや洗うときに湯を出すのが、慣れていないと難しい。器と蓋のすきまから湯を出すのだが、たくさんこぼれてしまうのだ。今回もこれがうまくいかず、テーブルの上がかなりぬれてしまった。 |
ワゴンが回ってくると、そのたびに料理をもらった。そのときに伝票を渡して、ハンコを押してもらう。いくらの皿を何皿食べたがわかるという仕組みだ。 腸粉。いきなり大物がやってきた。あまり皿数をこなせないので、望んでいなかったが、やむを得ない。値段もほかのより少し高い。 |
肉球。焼売の具だけをとりだしたようなものだ。下に引いてある黄色いのは湯葉。今回いただいたもののなかでは一番おいしかった。 |
海鮮餃子。割れ目からエビが見えている。 |
黄色の皮の餃子。ひょっとしてカレー味の餃子かと思ってとったのだが、中身はいたって普通の野菜餃子。黄色いのは卵黄を使って色合いだけのためのようだった。 4品食べて、110HKドル。支払いはオクトパスが使えたので、オクトパス利用。釣銭が多くなるのを防ぐためだが、少し額が多いので残額に気をつけてかねばならない。 |
猛烈な蒸し暑さで休憩後、昼食へ |
蓮香楼で飲茶のあと、香港島内の観光をしようと上環の地下鉄駅に戻る。途中、道路が二股に分れたところには、奥行きが少ししかない建物があって、面白い。2本の道路のうち、右手の道はどんどん高くなって蓮香楼の方面に至る。 このころ、猛烈に蒸し暑く、頭の上から汗が滝のように流れ落ちていた。朝方のスコール性の雨がやんだあとで、不快指数が高くなっていて、歩くのがつらい状況。 |
上環から地下鉄に乗車する前に、蒸し暑さから避難しようと、駅近くの西港城にある満記甜品をめざした。 すでに10時を回っていたので開店していると思ったのだが、開店は12時とのこと。ここでは、何か食べたかったので、夕方にでもまたやってこようか。 香港島内の地下鉄の西端は長らく上環だったが、2014年末に堅尼地城(ケネディタウン)まで延長された。以前にも行ったことはあるが、上環で路面電車に乗り換えるのが面倒だった。変わったであろう、堅尼地城方面に行ってみようと思っていたのだが、あまりの蒸し暑さで断念し、ホテルに戻って、少し休むことにした。 |
ホテルで休もうと、地下鉄で佐敦へ。ホテルに戻る途中、義順に入店。義順は何度か行っているが、佐敦店ははじめて。 |
牛乳プリンをいただく。32HKドル。プリンの上には皮が張り付いている。実は、これがまたうまいのだ。 このあと、ホテルの部屋で休憩。部屋に戻ったのは11時、再出発は13時。ホテルでシエスタするなんて滅多にしないが、この日は、避難しないとどうしようもない蒸し暑さだった。 |
香港では北海道が人気らしいということは知っていたが。この日、北海道を名乗るいろいろなものを見つけたのでまとめて紹介する。 「北海道の美容」とは、店の名なのだろうか。白い肌と白い雪を結びつけているのだろう。 |
Grilled
Hokkaido Saury 。 北海道焼さんま。北海道産とはちょっと疑わしいので、単に北海道とつけたのだろう。 Smoked Kyoto Duck Breast。 京都鴨スモーク。鴨とあひるはほとんど同じだろうが、当然、日本で食べる鴨じゃなく、あひるだろう。 |
北海道3.6牛乳のソフトクリーム。日本でも、北海道3.6牛乳はいろいろなメーカーから販売されていて、商品名ではなく、北海道産の脂肪が3.6%という意味である。これは、日本から牛乳を輸入しているのだろうか。 下左 太子で下車。この駅は初めて利用する駅だ。英語名プリンスエドワードというあたり英領時代の名残がある。 下右 めざしたのは美味餃子店。ガァ〜ン。休業。この日は日曜で休業だったのだ。また次回にやってこよう。 |
美味餃子店の近辺の食堂はほとんど閉店のようで、結局、駅の近くまで戻って、昼食場所を探した。太子雲吞粉麺水餃という店に入店。 下左 炸醤雲吞撈麺。炸醤麺は、ジャージャー麺ともいわれ、甘辛いタレがかかった麺。韓国では、真っ黒いタレがっかっているが、中国では醤油色のタレだ。撈麺は、スープなしの麺だが、炸醤麺は本来、スープなしなので撈麺とつける必要はないように思うが、どうなのだろう。雲吞はゆでて水切りした水餃だった。32HKドル。 下右 6HKドル追加で飲物をつけられたので、アイスコーヒーをつけた。 |
深水[土歩]ぶらぶら |
昼食後、基隆街を北西方向に歩く。ここから深水[土歩]([
]は2字で1字 土へんに歩)方面に向かう。 しばらく歩いて、「界限街」という通りに出た。かつての英領時代、香港は、永久植民地であった部分と99年間の租借地であった部分に分れていたが、その分界がこの通りだったのだ。それで「界限街」と名づけられているが、この道路を境目にして何かが違うというわけでもないが、歴史の一コマを考えながら歩き進んだ。 |
やがて、商業地区に入ってきた。高層アパートの1階が店舗になり、路上には露店が並ぶ。深水[土歩]エリアだ。 |
行列のできていた肉屋。深水[土歩]は庶民的は商業エリアとい印象だ。 |
相変わらず蒸し暑く、「明朝」という店に避難。人気甜品店と書いてある(写真で、「明」の字の左下)が、有名甜品店である「糖朝」をヒントにした店名だろう。店舗はこことあと1店あるだけのローカルな店だ。 |
富貴黄金屋。36HKドル。マンゴーアイスとマンゴーなどのフルーツのデザート。 食べ終わったあとも、しばらく休憩。いったん涼しいところに入ってしまうと、外に出るのが辛い。 |
嘉頓(ガーデン)は、香港最大のパン、菓子メーカーで、深水[土歩]に本社がある。1階がショールームになっていて、商品や社史の展示も行っている。 展示を見学しがてら、再び休憩。展示はこれといって印象は残らなかったが、暑さ逃れに利用できてよかった。 |
嘉頓のショールームを出て、すぐそばの少しだけ坂を上ったところに「YHA美荷楼青年旅社(ユースホステル)」がある。ここは、1950年代に建築された公営住宅「美荷楼」の建物を転用した施設だ。 そして、建物の一部が「美荷楼生活館」という見学コースになっていて、昔の公営住宅の様子を知ることができるようになっている。宿泊者以外でも見学できるので、訪問してみた。(右側の棟の1階、2階が見学コースになっており、その他はユースホステル。 |
1階には、資料や写真の展示コーナーがある。2階に上がると1950年代、60年代、70年代の公営住宅の内部の様子を模した展示がある。これは1950年代の住宅の内部。1950年代のものはトイレや炊事場が共用であった。 下左 1970年代の住宅の内部。かなり現代に近づいてきている。 下右 1970年代の住宅では炊事場は、ベランダにあたる場所に設置されていた。トイレは各戸ごとに設置されている。それ以後の住宅については、写真で展示されていて、香港の公営住宅の歴史を知ることができる。 |
上左 後漢時代の墓の博物館へ向かう。博物館は「東京街」に面している。「東京街」は今までどの街でも見たことがなかった。 上右 李鄭屋漢墓博物館。階段を上がったところに墓の内部を見るための入口があり、入ったところから内部が見られる。 墓のそばの公園のベンチでしばらく休憩。夕方のためか、座っていると、少しは涼しくなってきた。 左 長沙湾から地下鉄に乗車。 |
上環で夕食、甜品、夜景 |
上環で下車して、夕食場所を求めて山の手の方へと向かった。超高層アパートが林立する光景は香港を代表する景色だ。ここへくる直前に、公営住宅の内部を紹介した展示を見たばかりなので、超高層アパートの部屋の中がどうなっているのかと思ってしまう。 夕食場所を求めて歩いたがなかなか入店したい店がない。敷居が高そうな高級店も多い一方で、粥麺の店も多い。粥や麺だと安上がりなのだが、夕食でとなるとちょっと味けない気がして避けてしまう。 |
結局、入店したのは「[虫番]龍粉麺茶餐庁」([
]は2字で1字 虫へんに番 庁は実際には繁体字)。 ”茶餐庁”は、洋風の軽食を出す喫茶兼食堂。粉麺は、麺と同じ意味だろう。麺は粉、小麦粉や米粉からつくるから。”粉麺茶餐庁”となると、麺も洋風の軽食も出す喫茶兼食堂っていうところだろう。香港の特色ある飲食店といえるだろう。 下左 鮮茄魚柳飯。「茄」は日本語ではナスだが、こちらではトマトの意味もあるようで、「魚柳」は白身魚。で、トマトソースかけ白身魚フライ飯だ。34HKドル。 |
上右 8HKドルで飲物をつけることができたので、アイスティーをつけた。 左 夕食のあと、昼間きたときに、まだ開店していなかった満記甜品へ再度到来。今度は開いていた。 この店は何年か前にも利用している。前に来た時より店舗が狭くなっている。前回はソファーもあったのだが、現在は固い椅子だけになっている。しかも、以前来た時には、ウェイトレスが食べ物を持ち運びしていたのだが、今回は、セルフサービス。全体的に、かなり簡素化されたという印象だ。 |
食べたのは、西瓜涼粉(スイカゼリー)。28HKドル。 前回この店に来た時にはドリアンクレープを注文して、頼むんじゃなかったマンゴーにしておけばよかったという印象が強かったので、最初はマンゴー系にしようかと思っていたが、昼間にマンゴー系のデザートをいただいていたので、あっさりしていそうなスイカ系を選んでみた。 |
フェリーターミナルに向った。東端から2つ目のピアへ。 赤いマストをはった遊覧船が光を放ち、美しい。 |
20時から毎日行われるシンフォニー・オブ・ライツ。高層ビルから、いろいろな色のレーザー光線が発せられる。一部は、九龍側と香港島側を海峡をはさんで光線が当てられる。 前回は九龍側のウオーターフロントから香港島を見たので、今回は香港島側から九龍側を眺めることにした。 九龍のスターフェリーの発着する埠頭の近くの香港文化中心の外壁が虹のようになりきれいだ。とはいえ、九龍側から見るのと比べると全然迫力がない。やはり九龍側から見るに限る。 |
シンフォニー・オブ・ライツが終了すると、スターフェリー乗場に向い、フェリーで九龍側に渡った。 |
九龍側に戻り、香港島側を望む。やはり、こっちの方がいいや。 |
ホテルに戻る。夕食時にビールを飲まなかったので、ホテル隣のコンビニでビールを買って帰った。青島ビールのロング缶。1本が8.9HKドル、3本で19.8HKドルだった。3本買う方が絶対的に割安なのだが、3本は飲む自信がなかったので1本にした。つまみは、またもや北海道を名乗ったもの。 |
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