10  ロ ス モ チ ス

 

18時間のバス乗車の疲れをとる

グアダラハラからロスモチスまでのバスは、足置きがついている点を除いては、ほかの1等バスと変わりがなかった。18時間の長旅はたいへんだった。はじめの12時間は、夜行区間で眠っていたが、明るくなると、眠っているのか起きているのかわからないような状態で、ぼぉーっとし続けた。18時間と書いているが、これは結果であって、乗る前には13時間か14時間くらいだろうと思っていたので、最終盤にはまだかまだかと着くのを待っていた。

食事は、前日に買ったパンや菓子のほか、20時ごろにバスの中へタコス屋などが乗り込んできて、さかんに売り込んだのでタコスも買って食べた。それにしても、バスの真ん中と後ろにあるトイレに移動するときをのぞいて18時間座りっぱなしというのはつらい。前の年にトルコで、トラブゾンからイズミールまで23時間バスに乗ったことがあるが、それにつぐ長時間のバス記録である。

メキシコは3つの標準時があるが、大部分の地域は同じ時間帯である。しかし、西部の旅をするときは、時計の調整が必要となる。ロスモチスは、山岳標準時となり、メキシコの大部分の地域よりも1時間遅れとなる。だから、18時間のバス旅が終わったのは、11時30分ではなく10時30分である。

バスの車窓を見ていると、丘の上に立つ像が見えてきた。おっ、と思ってカメラをあわてて出して撮影しようとしたが、一瞬遅くて横からしか撮れなかった。 何の像かもわからなかった。しかし、これは町の入口に違いないと思った。予想通り、その5分後、バスはようやくロスモチスのバスターミナルに到着。

バスを降りると猛烈な暑さ。オアハカ、プエブラ、グアダラハラと高地が続いてきたので、4日ぶりの低地の暑さに閉口する。ガイドブックで目星をつけておいたホテルロレーナヘタクシーで向かう。バスターミナルから町の中心にあるホテルまで、どの程度の距離があったのか定かではない。すぐにホテルロレーナにチェックイン。

部屋に入ると、冷房がはいっていて快適な気分になる。部屋に入る前から冷房がはいっているのは、安宿にしてはいいサービスだと思った。(あとで違う理由があることが判明) シャワーを浴びたり、洗濯をしたりしているとまたたく間に時間がたち、12時になる。それで、翌日に乗車するチワワ太平洋鉄道のチケットを買うのと昼食のために外出する。

今までに訪問した町に比べてロスモチスはアメリカっぽい感じがした。やはり、米国との国境に近づいているためだろうか。町の様子が、メキシコというより、米国の西部の町のように思えるのだ。

市場へ行ってみたが、色々な店があるが活気があまりない。暑いので、夕方になれば人通りが多くなるのだろうか、とこのときは思っていた。

昼食は、この一角に中華料理店があたので入ってみた。ここはたくさんの客がはいっていて、人気のある店のようだった。ファストフード的な店で、ここで、昼食。焼き飯、野菜炒め、焼き鳥を食べた。なぜかYAKITORIが中華メニューの一角を占めていた。スペイン語 がよくわからないまま注文したため、日本の冷やしあめに似た飲物があったのだが、大を注文させられたらしく1リットルの容器になみなみと飲物が注がれた。しかし、美味しかったし、大変暑いということもあって、全部飲んだのではあるが。

昼食後、チワワ太平洋鉄道のチケットを取り扱っている旅行社を訪問して、翌日のチケットを購入。同時に、クリールのホテルもバウチャーを購入。これで、この日しなけらばならないことは終了。まだ13時半ごろだったので、この日こそネットをやろうと町の中を歩くが、ネットカフェはなかなか見つからず、やっと見つけたところも日本語は読むことさえできず、はやばやと引き上げる。 フロントで、翌朝早い出発なのでタクシーを手配してくれるように頼んだ。

ホテルには14時半ごろ戻る。シャワーを浴びたあと、夜行バスの疲れをとるためにしばらく眠 ることにした。気がつくと、18時半。しっかりと熟睡していたのだった。

夕食をとるために薄暗くなってきた町に再度、外出。ところが、昼食をとったあたりまで行って驚いた。何とほとんどの店がもう閉まっているか、閉店の準備をしているのだ。食事をできる店がないか探してみたが、客がいない店が何軒かあったが、なかなか入りづらい。ほとんどの飲食店はもう閉まっている。しかも、人通りが少ない。夕方になれば人通りが増えると思ったのは間違いだった。警官が巡回しているが、何やら日が沈めば、外出しないほうがいいようなムードが漂っていた。

それで、コンビニエンスストア風の店で、菓子類やジュースを購入し、それをホテルで飲食することにした。店の中だけは、結構、人がいたのだが、ほとんどの客は車で店にやってきていたようで、道を歩く人は、潮が引くように急激に減っていった。あわててホテルまで帰ったのである。

そして部屋の中で菓子を食べながら明日の予定を考えたりして、そのうちに寝てしまったのであった。

 

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