5   ピ サ ッ ク

 

  クスコ周辺の滞在に4日間とったが、いよいよその最終日になった。この日は路線バスでピサックに行く。クスコから30kmほどのところにあり、市がたつ。また、丘の上には遺跡がある。両方へ行って、クスコに戻り、市内のミュージアムめぐりをしながら、街歩きを楽しむことにする。

  まず、お決まりの朝食。コカ茶をしっかり飲んで高山病に備えた。

  8時前にホテルを出発。入口のすぐ右の石垣のところが、自分の泊った部屋の位置だ。インカの石垣はどことなく日本の城の石垣を思い出させる。もっとも、日本の城の石垣と比べて、継ぎ目が精巧であるかわり、石の大きさは小ぶりである。

  20分ほど歩いて、明日、列車に乗車するワンチャック駅を見ておく。すでに1日1便の列車は発車した後なので、駅のゲートは堅く閉ざされていて、内部はわからない。

  ピサック行きの路線バス乗場は、ワンチャック駅のすぐ近くにある。小さなターミナルになっているのだが、一瞬、そこがバス乗場なのかよくわからなかった。入口から中をのぞいていたら、道を歩いていた人が、中に入るように合図してくれたので、ここがピサック行きのバス乗場だと判断。下の画像の左の方の箱のようなのが切符売場。2ソ ーレス(約68円)。

  8時30分発のバスはクスコ市内を回ったあと、一路ピサックへ。途中の停留所でどんどん客が増えてきて、超満員だ。最初から乗っていたので座れていたが、揺れが激しく立っているのはつらいうえ、立っていたのでは、スリの危険も高そうだ。

  ピサックには1時間かかり9時30分に到着。ここからまず市に向かった。すぐにタクシーから声がかかる。遺跡へ行かないかとのことだったが、この時点では歩いて遺跡に向かう予定だったので断った。    

  10分ほどで市のたつ広場に到着。本来、ここの市は、火、木、日曜にたつのだが、最近は観光客向けの店を中心に毎日たっているという。とはいえ、賑やかなのは火、木、日だろうし、この曜日になるように、また、すでに訪問したチンチェーロは日曜日に市がたつので日曜日に行けるように旅行スケジュールをたてた。日本を出発する曜日によってはうまく計画できなかったかもしれない。

  チンチェーロの市よりははるかに大きいが、大部分は観光客向けの店である。民芸品が中心で、少額の土産物を売る店と、アルパカ製の服やじゅうたんなど高額商品を売る店が混じっている。

  土産物の中には、沖縄のシーサーに似たものもあった。これが屋根に取り付けられている民家もあり、この点も似ている。何か関係があるのだろうか。

  一方、地元客向けの店は片隅に追いやられているような感じだが、それでも、チンチェーロの市と同じくらいの数の店が出ていた。店を出している人たち同士で買い物をして、買ったものを自分の店で売ったりしていることや、店の仕事をそっちのけにして、おしゃべりに夢中になっていたりする人がいることなど、チンチェーロの市と同じだ。

  規模の大きな市なので、一通りまわるのに1時間くらいかかった。品物を手にとって見ていても、ひつこい売り込み攻勢がないので、ゆっくりと安心して見てまわることができたこともある。面白い市だったが、やはり規模は小さいもののチンチェーロの市のほうが素朴な感じがして自分好みだ。

  市を見終わってから、遺跡に向かうことにした。当初、徒歩で上る予定をしていたが、絶壁のようになっている山を見て断念。昨日、上ったワイナピチュに似た感じだったのだ。上る高さも、山の傾斜も。ガイドブックでは上るのに1時間かかるというのだが、これもワイナピチュに上る時間なみだ。

  それで、市のはずれからタクシーで向かった。往復と待ち料金入れて30ソル(約1020円)。遺跡には上下2箇所の出入り口があるのだが、上へタクシーで乗りつけ、下で待っているという。11時に上に着いたのだが、下で12時30分にやってくるように言われる。果たして、この時間が適正なのかよくわからないが、歩き始める。

  下の画像の右上あたりが、上の入口。そこから段々畑の一番上を歩いて、手前までやってきた。手前の建物は、遊歩道からさらに少し上ったところにある。  

  さらにすすむとハイキングコースのような道が続き、本当に遺跡なのかと思った。中には、絶壁に細い道がついていて、そこを歩かねばならないようなところもあった。

  山の頂上にあたるところに、小さな集落だろうか、それとも砦だろうか、建物が集まっている遺跡があった。こんな高いところに建物がたくさんあるなんてと思った。マチュピチュのように人里離れた場所でなないが、山の上という点ではマチュピチュと同じだ。まさに、ミニ・マチュピチュといってもよい。

  山上の遺跡からはピサックの町が良く見える。山の麓にある市も見える。流れている川はウルバンバ川。川向いにカーブしている道があるが、その頂上部は、遺跡のある側なみの高さの山。だから、クスコからピサックに向かうときには、ピサックの寸前で谷間に降りるのだ。

  山上の遺跡を見た後は、出口に向かう。この時点で12時をまわっていた。果たして、時間通りに出口にたどりつけるか。だが、出口まで、水平的にも垂直的にも、結構な距離がある。再び、ハイキングコースのような道を30分ほど歩いて出口にたどりついた。かなり急いだのだが、時間通りには着けなかった。ピサック遺跡を見てまわるには2時間とるほうがいいと思った。

   車で市まで戻り、もう一度、市の中を通って、バス乗場に向かった。途中でパンを焼いているかまどを発見。パンを買って、立ち食い。

  別のところにもかまどでパン焼き。こちらでもパンを買って、ほうばった。

  バス停にはクスコ行きのバスが停車中で、すぐに乗り込んだ。幸い空席がまだあって着席。14時ごろに出発し、クスコには15時ごろ戻った。

  クスコでは、まずコリカンチャ考古博物館へ。ここは、コリカンチャの前の空き地の地下にある。

  このあとアルマス広場のほうへ向かうが、学校から下校中らしい中学生にであう。

  アルマス広場の近くにて。1階のアーケード、2階の木製のバルコニーが美しい。

  アルマス広場とカテドラル。この近くにあるミュージアムをまわった。ミュージアムは、地方歴史博物館、サンタ・カタリナ博物館、インカ博物館、プレコロンビーノ博物館など、主だったところを見てまわった。

  クスコの石垣で有名なのが「12角の石」、確かに角が12個ある。周囲の石の形に合わせ、うまく12角にきってある。

  「12角の石」のある街路。両側に石垣のある狭い街路にあるのだ。

  サン・ブラス教会へは急な坂道を上っていった。このような坂道はクスコ市内のあちこちにみられる。

  この道もゆるやかな坂道で、遠くは急な傾斜になっている。

  この付近で、クイ(アンデス地方のモルモット)の料理で有名な店があるので探していたのだが、見つからなかった。あとで、ガイドブックを良く見たら18時に閉店とのこと。こんな早くに閉まる店もあったのだ。クイはプーノで必ず食べることにして、別のレストランへ。

  白身魚の塩焼きとじゃがいものスープを注文。クスコ最後の夕食を楽しみ、ホテルロレトに戻り一日を終えた。

 

  

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