6 高原列車でプーノへ
7時30分にナオツールから迎えがあるので、6時30分に朝食をすませて部屋で待機。インカの石垣が壁になっている部屋ともお別れだ。プーノ行きの列車は月水金土に走るので、この曜日にあうように旅の計画をたてた。この列車は完全な観光列車で、一般客向けの列車は走っていない。 7時30分に車が来て、10分ほどでワンチャック駅に到着。すでに改札が始まっていて、列に並ぶ。切符以外にパスポートも見せなければならない。切符にも名前が印刷されていて、パスポートと見比べられる。さらに、車両の入口でもう一度チェック。チェックしていた女性は、駅員かと思っていたら、そのまま列車に乗り込み、車内のサービスなどにあたった。 客車は9両編成で、1等車にあたるインカクラスが4両なのに対し、2等車にあたるツゥリスモクラスは1両しかついていない。ほかに、展望車兼サロン車がインカクラスの後方に連結され、厨房車と乗務員用の車両がインカクラスとトゥリスモクラスの間、トゥリスモクラスと機関車の間に荷物車が連結されている。自分が乗車したのは、ちょっと奮発してインカクラス。ランチ込みで、US$91.6で税がUS$17.4、あわせてUS$109だった。 インカクラスでは通路を挟んで、2人席と1人席があり。2人席、1人席とも、向かい合わせの席と向かい合わせでない席が混じっていて、1人、2人、4人の客に対応できるようになっている。自分の場合は、向かい合わせでない1人席。各席にはテーブルが備えられていて、自分の席へ食事が運ばれるようになっている。 座席は柔らかで、1人1人の椅子が分かれていて、多少動かすことができる。内装にはマホガニー材が使われていて落ち着いたものになっている。通路もじゅうたん敷きになっている。 8時にクスコを出発して、プーノ着は18時の予定。10時間かかるが、距離は380kmで、時速は40km程度とたいへん遅い列車だ。バスなら6時間で移動でき、料金もずっと安い。 出発後しばらくはクスコ市街を走る。町並みは傾斜地にも広がっている。やがて、列車は高原を走るようになった。はじめのうちは畑が多かったが、そのうち、険しい山々が多くなってきた。 やがて、ランチの注文をとりにやってきた。前菜は2種類の中から、メインは3種類の中から選べるようになっていて、前菜はアルパカのタタキ(英語メニューにtatakiとあった。日本語が英語化したのだろうか)、メインはじゃがいもを使ったペルー料理を選んだ。あと、ビールも注文。飲みものは別料金。
10時ごろ、ピスコサワーが配られた。 ピスコはぶどうから作られる蒸留酒だ。ぶどうを発酵させてつくったのがワインだが、さらに蒸留(アルコール分を蒸発させて水と分離し、アルコール濃度を高める方法)によって、高濃度のアルコールにしたもの。ウイスキー、ブランデー、ウオツカや焼酎は蒸留酒だ。ピスコサワーは、ピスコにレモン、砂糖、卵の白身を混ぜたもの。アルコール度は高いが、少し甘くて飲みやすい感じの風味だ。 アンデスの山々を見ながらの旅は楽しかったが、単調であるためか眠くなってきて、時々、眠りながらの旅となった。 途中で、トゥリスモクラスの車両に行こうとしたが、乗務員用の車両が関所のようになっていて、相互の行き来ができないようになっていた。 12時30分ごろにラ・ラヤ駅に停車。クスコは標高3300m程度だが、次第に高度を上げ、12時30分ごろ、列車の最高地点であるラ・ラヤ駅に到着。標高4300mで、富士山の頂上よりも高いところなのだが、いまひとつピンとこない。 15分の停車。土産物を売るインディヘナの人たちが待ち構えていたが、果たしてどの程度の売上があるのだろうか。 列車の先頭まで行って機関車を撮影。 車内を通って行けなかったトゥリスモクラスの車両にも乗り込んで撮影。 ラ・ラヤの駅舎。 先頭から最終尾まで向かう途中、鮮やかな衣装をまとった土産物屋がいた。 最終尾の展望車。ここまで行って、15分の停車時間はあっという間にすぎてしまった。
ラ・ラヤを過ぎてまもなくランチタイム。まず、前菜のアルパカのタタキ。
メインのじゃがいも料理。地元料理ということで、これを選んだが、ツナ、チキンを選んだほうが、美味しそうで、ボリュームもあったので、選ぶのをミスしたかなと思った。 最後に、デザートとしてティラミスとコーヒー。この食事、量的には多くないが、2時間くらいかけてゆっくり食べるというものだった。食事しながら風景を満喫できるのはいいものだ。 食後、展望車に行ってくつろいだ。オープンエアの最終尾から過ぎ去る景色を見るのは気持ちがいい。 フォルクローレを演奏するグループが車内を往復。 16時ごろ、おやつタイム。クッキーなどとコーヒーが配られた。 16時30分ごろ、フリアカ着。フリアカに着く直前、市場の中を列車は通過する。 18時過ぎ、少し遅れてプーノ着。すでに日は暮れていて、プーノ駅の近くの治安が良くないということも聞いていたので、気をつけながらホテルに向かった。 ナオツールから受け取っていたバウチャーに書いてあったホテル、バルガスインに向かった。ガイドブックの地図には載っていなくて、中央市場の隣だという情報だけを頼りに歩いた。駅から中央市場は5分ほどだったが、ホテルが見つからず、結局、中央市場のまわりを一周してしまった。どうにか、ホテルを見つけた。一階には入口の階段があるだけだったので、見落としてしまったようだ。 ところが、2階にあがりレセプションでバウチャーを出すと、どうも様子がおかしい。連絡がついていなのかと不安になった。10分ほど待たされ、結局、プーノの旅行社では、別のホテルを予約していたことが判明。旅行社の人がバルガスインにやってきて、インペリアルホテルに連れて行ったくれた。こちらはガイドブックの地図に書いてあって、最初からわかっていれば歩いて迷わずに、無駄な時間もとらずにすんだのに、、 すぐにチェックインをすませ、部屋へ。このとき、頭痛が少しすることに気づいた。高山病だろうか。プーノは3800mの標高があるので、クスコよりもまだ高い。薬は持ってきていたのだが、すぐには飲まずに、一晩寝ても頭痛が直らなかったら服用することにした。 頭痛といっても、日本でもたまに頭痛になることはあり、いつも一晩寝れば回復する。それに、気にしなければ、痛いということもわからない程度の頭痛だ。普通に体を動かすこともできるので、夕食に出かけた。 標高が高いだけあって、日が暮れてあとは、かなり寒い。クスコでも夜は寒かったが、より冷える。気温は10度。日本の真冬の日中なみだ。 野菜のスープとマスのムニエルを注文。かなり量が多くて腹いっぱいになった。味も良かった。これだけで24.5ソル(約833円)。 フォルクローレの演奏を聞きながらの食事。チップとして1ソル(約34円)を渡した。 食後、インターネットを楽しんでから、ホテルに戻った。気づいてみると、頭痛も治っていた。
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