2日目  ビ ル バ オ

 

 

ALVIAでビルバオへ
 7時40分にホテルをチェックアウトしチャマルティンへ。ALVIAでビルバオに向かう。スペインの高速鉄道ではAVEが有名だ。AVEは専用線だけを走るが、ALVIAは専用線と在来線を直通する列車で、走りながら軌間が変わる電車を使っている。

 

 
 駅の電光掲示板ではじめて知ったのだが、自分の乗車するビルバオ行きのほかにアンダイエ行きが併結されている。アンダイエは仏西国境を越えてフランス側に入った、フランス側の国境駅である。

 スペインの高速列車は改札と荷物の保安検査がある。ここで少し並んだ。

 下左  少し先頭方向に歩いて、改札の方向を見たもの。

 下右  行先表示。8時発のビルバオ行き。
 
 
 
 
 切符はRenfeのホームページで行ったのだが、思い切ってプレフ ェレンテ(日本のグリーン車にあたる)で購入した。(普通車はトゥリスタと呼ばれている。)

 プレフ ェレンテの座席は片側1人、もう片方2人なので、ずいぶん楽だ。ビルバオは鉄道で行くと遠回りなので、時間がかるのでバスで行こうか迷っていた。結局、鉄道にしたが、これなら多少、時間がかかってもいいかなって思った。
 
 発車後、すぐに新聞のサービス。スペイン語がわからないのに新聞をもらっても仕様がないのだが、1部選んだ。

 1面の写真だが、山に見覚えがある。ジブラルタルだ。どうも感じからして、ジブラルタルの返還を求める人たちのようだ。そういえばスペインがイギリスに返還を求める要求を強めていると聞いたことがある。

 下左  イヤホンが配られる。

 下右  まず飲物のサービス。ジュースかコーヒーかということで、ジュースを頼んだ。
 
 
 30分ほどでセゴビア・ギオマール。少し運転停車(客扱いしない停車)。セゴビアの旧市街地は、この駅から5kmほど離れている。

  この旅の終盤には再びマドリードに戻るのだが、このときどうするかは、1日はトレドと考えていたが、もう1日は決めていなかった。こんなに近いなら、セゴビアも行こうという気になってきた。
 プレフェレンテでは簡単な食事がつく。これが楽しみでプレフェレンテを選んだようなものだ。ホテルは朝食なしを選んだ。

 待ちに待った食事。機内食と同じような感じだ。メインディッシュは温められている。オリーブ油がついているのがスペインらしい感じだ。飲物は白ワインにした。風景を見ながら食事ができるのはなかなか楽しいものだ。

 下左  食後の飲物はグリーンティーにした。普通のお茶じゃなくハーブティーのようだ。そして、砂糖を入れて飲むようだが砂糖は入れなかった。
 上右  次第に車窓が緑の多い風景になってきた。スペインは赤茶けた大地というイメージだったので、別の国のような感じがする。

 左  ミランダ・デ・エブロでアンダイエ行きが切り離された。アンダイエ行きが発車したあとに出発。そのため10分近く停車した。このころ雨も降っていて、ビルバオは大丈夫か気になった。
 ビルバオまであと1時間ほどになり、もう飲食物のサービスはないものと思っていたら、もう1回飲物サービスがあった。アテンダントが言葉に発した飲物の中に、”カバ”というのがあり、”カバ”って何だろうと思って”カバ”を注文した。

 運ばれてきて、何であるかわかった。スパークリングワインだった。シャンペンもスパークリングワインの一種であるように、カバもスパークリングワインの一種であった。なかなか口当たりのよい飲物だった
 ビルバオには定刻の12時49分に到着。

 約31ユーロ(トゥリスタなら約20ユーロ、ただしどちらも早めに予約した料金で、高い料金はこの2倍以上である)、4時間49分。バスなら、プレミアムバスで約51ユーロ、4時間10分、ノーマルバスなら約31ユーロ、4時間45分というのと比較してもお徳なのだが、本数がバスに比べて極端に少なく1日わずか2本というのが難点だ。
ビスカヤ橋
 Renfeのビルバオ駅から地下鉄のアバンド駅に向かう。少しだが歩かされる。ここからバスターミナルの近くにとったホテルにまず行く。

 下左  地下鉄の切符。1.5ユーロ。

 下右  ビルバオの地下鉄。

 
 
 
 
 上左  バスターミナル最寄のサン・マメスで下車。i-phoneの地図を頼りにホテルに向かう。駅近くの地味なビルの一角が2泊する「サン・マメス」であった

 上右  玄関でインターフォンを押すと鍵が開けられ、中に入る。20mほど奥に向かうとエレベータがあり、2階に上がるとフロントがあった。

 左  部屋の中。安いだけあって、エアコンなしだが、涼しいので問題なかった。30分ほど休憩してから外出。
  上左  地下鉄の駅から地上に出る際にRenfeの近郊線の駅もあることを発見。調べてみるとRenfeでもビスカヤ橋にいけるので、早そうなRenfeを利用することにした。

 上右  15分ほどで郊外の小駅であるポルトガレテ駅に到着した。ここがビスカヤ橋の最寄り駅。

 左  ポルトガレテ駅の駅舎。



 5分ほど歩くと世界遺産であるビスカヤ橋が見えてきた。

 1893年につくられた世界で最初の運搬橋である。橋桁からワイヤーで吊り下げられたゴンドラに車や人を乗せ、ゴンドラを行き来させることで車や人を運ぶ橋だ。

 船の行き来を可能にし、また橋の両側に長大なアプローチをつくらずにすむように考えられた橋である。運搬橋は世界に十数箇所あるようで、ビスカヤ橋のたもとにその紹介もされていた。
 吊り下げられたゴンドラ。

 下左  川の反対側に渡ってみる。運賃は35セント(約45円)と安い。切符を買って、自動改札機を抜けると待合室。待合室から見たゴンドラ。

 下右  ゴンドラは一見、電車の車両のように見えるが、窓の見えるところが細長い客室になっていて、2本の細長い客室の間に車が乗るスペースがある。写真は、ゴンドラが反対側に到着したところ。移動時間は2分ほどだ。
 
 
 
 橋桁の上にも行ってみることができる。少し高くて5ユーロ。反対側の売店で入場券を買ったのだが、自分がやってきた側に戻らねばならないようで、再びゴンドラで戻ったあと、塔の上にエレベータで上がる。橋桁の高さは45m。

 下左  橋桁の上の通路。鉄骨だけの構造もこのようにしてみると、なかなか美しいものだと思う。

 下右  上からのぞいてみたゴンドラ。車は6台載るようだ。
 
 
 橋桁の上からの風景もすばらしい。これは河口の側を見たもの。

 地下鉄で戻ろうかとも思ったが、結局、帰りもRenfeを利用してサン・マメスへ。
路面電車でグッゲンハイム美術館へ
 サン・マメスでRenfeを降りる。ホテル最寄駅だが、ホテルには戻らずに、すぐに路面電車でグッゲンハイム美術館に向かう。

 どちらの向きの電車に乗るべきかがわかりにくく、グッゲンハイム?と待っていた客に尋ねたら、逆方向の電車に乗らねばならないことがわかり冷や汗。

 路面電車は流線型でスタイルのいい新しい車両だ。(撮影はグッゲンハイムでの下車時)
 
 切符の自動券売機。停留所の安全地帯に設置されている。切符の買い方自体は難しくはなく、切符の種類や枚数をタッチしてお金を入れるだけだ。

 ところが、右側の機械を使ってすぐに自分で改札しなければならないのだ。赤い→で結ばれているのだが、機械のすぐ前に立って操作していると気づきにくいのだ。機械から少し離れて、この写真を取ったときに気づき、改札した。自分が改札するのを見ていた、おそらく地元客も改札が必要なことに気づいたようだった。
 
 車内の様子。3連の連接車(2つの車両が台車でつながれている電車)。海外の路面電車は連結車より連接車が多いようだ。

 





 改札済みの切符。
 
 10分ほどでグッゲンハイムに到着。

 グッゲンハイム付近では道路の端のほうに専用軌道があるのだが、専用軌道が芝生の上に敷かれている。専用軌道といえば、砂利が敷いてあるところに枕木があって、と思っていたので、新鮮だった。日本でもどこだったか芝生の上の軌道があると聞いたことがあるが、見たのは初めてだ。
 
 停留所から5分ほどでグッゲンハイム美術館に到着。

 何がなにやらわからないラインの外観をしている。外側のほとんどは金属かガラスで覆われている。
 
 入場する前に外側を見ておこうと、入口は通り過ぎて、さらに歩いた。このような奇抜な形をよくぞ思いついたものだ。どの角度から見ても面白い建物。

 グッゲンハイム美術館はニューヨークの本館に行ったことがあるが、ここはその分館。運営するグッゲンハイム財団は世界各地に分館をつくる計画をしているらしい。
 
 すぐ近くにかかる橋も独特の形で、美術館にあわせて設計されているようだ。

 1997年の開館だが、この美術館のおかげで、衰退していった鉄鋼業などの工業都市であったビルバオが、アートと観光の街に生まれ変わったと言われている。
 外側を見て回ったあと入館。すでに18時近かったのだが、20時まで開いているので十分時間はある。
 中に入ると、内部も曲線がほとんどで平面があるのかないのかって感じだ。

 この美術館も撮影禁止なので、ここから先の写真はなし。20世紀の現代美術が中心の美術館なので、作品にはあまり興味がなく、自分の理解を超えるようなものが多く、特別に撮影したいものもほとんどなく問題はなかった。

 客が中に入って体験する巨大迷路のような作品もあって、駆け足で見たが一通り回るのに1時間以上かかった。
 
 これは建物を出てバルコニーのようになったところ。外なので撮影したが、何なのかイメイチよくわからず。

 作品よりも建物を楽しむグッゲンハイム美術館であった。
街歩きと煮込み料理
 グッゲンハイムで路面電車に乗り、そのまま終点のアチューリ駅まで行った。終点まで15分ほど。

 途中、Renfeのビルバオ駅の付近を通り、そのあとすぐにビルバオ川を渡る。ビルバオの最大の繁華街はビルバオ川を渡ってからのエリアであることがわかった。

 写真はアチューリ駅に到着して折り返しを待つ電車。
 
 アチューリ駅の駅舎。アチューリ駅からは、バスク鉄道とも呼ばれる狭軌の鉄道の基点駅である。

 スペイン北部には狭軌の鉄道が、北海岸沿いに走っているのだが、大部分はRenfeの傘下にあるFEVEである。しかし、ビルバオとサンセバスチャン、フランス領のアンダイエを結ぶ路線とその支線はバスク鉄道になっている。そして、バスク鉄道のビルバオの基点駅がアチューリ駅である。
 
 ビルバオの街歩きを開始。この日はビルバオ川右岸の繁華街を中心に歩いた。ビルバオは、ビルバオ川の谷の両側が傾斜地になっていて、坂道の多い街だ。
 
 街中の階段に沿ってエスカレータがあった。公道のエスカレータは香港のものが有名だが、ビルバオにも短いながらあった。
 
 エスカレータで丘の中腹まで上り、市街地を望む。傾斜地が市街地になっていることがわかる。

 下左  繁華街にて。バスクの建物には赤い窓枠のものが多いと聞いていたが、このような建物なのだろうか。

 下右  こちらは窓枠が黒だが特徴的だ。
 
 
 20時を回り、バル「リオ・オハ」に入って夕食にする。ガイドブックで人気のバルと紹介されていた。

 下左  細長い店内で、席は多くなく、早めに来て正解であった。立席のカウンターですませる客も多い。

 下右  ビールとパンで腹ごしらえ。
 
 
 このバルは煮込み料理が人気らしい。メニューにはさまざまな煮込み料理がある。まず、アンチョビーの煮込みを頼んだ。煮込み料理にもタパという表示があって、タパで注文。
 
 イカの墨煮。真黒でよくわからないが、イカはホタルイカだった。10杯くらい入っていたような。真黒なソースをパンにつけて食べても美味しい。

 下左  バルをでてから、近くのパン屋で翌日の朝食のパンを買っておいた。

 下右  ホテルへは、地下鉄や路面電車でも戻れるのだが、早そうなRenfeで戻ることに。駅の売店で飲物を買って乗車。21時30分とはいえ、まだ明るい。