3 日 目 宜 蘭 ・ 礁 渓 ・ 台 北
青葉大飯店の朝食。チェックインのときに朝食は部屋で、と聞いていた。内容は選べるようになっていて、これもチェックインのときに尋ねられ、三明治(サンドイッチ)とコーヒーを注文しておいた。 時間は7時30分で頼んでおいたが、少々不安があった。なぜなら8時10分の自強号で宜蘭(イーラン)に向かうからだ。幸運にも、心配は杞憂で、ちょうど7時30分にトレイに乗せた朝食が運ばれてきた。少々、物足らない感じではあるが、ルームサービスが良い。 |
花蓮に来たときは、気動車の自強号だったが、今度は電車の自強号。花蓮までは電化されているからだ。現在、花蓮−台東の電化工事も行われているので、台鉄の大部分が電化されたことになる。
今回は、区間乗車だからだろうか、座位証にが発行されなかった。 |
この列車は、樹林行き。台北の3つ先の駅である。台北は地下駅で、留置線がないので、東部幹線から台北に行く列車のほとんどは、樹林行きになっている。「北」というのは北廻線の意味。1980年開通の蘇澳新站−花蓮をさす。 |
出発早々、スピードダウン。どういうわけか低速走行がしばらく続いた。この区間は、海岸線には清水断崖があって、眺めは良いのだが、列車は内陸部をトンネルで短絡しているので、風景はどうというものではない。 9時18分に停車したので、てっきり宜蘭に着いたものと思って、下車。しかし、ホームの表示を見て、羅東と判明。あわてて、列車に戻った。このあと、席には戻らず、10分ほど扉のそばで立っていた。10分遅れで宜蘭着。 |
宜蘭の駅舎は、日本統治時代にできたものだろうか。歴史を感じさせる、どっしりとした建築になっている。 まず、礁渓に向かう列車の時間を調べておく。区間車も入れると、かなりの本数があり、あまり時間を気にしなくてよさそうだ。 台鉄では、各駅停車の電車のことを「電車」と呼んでいたが、最近は「区間車」と言い方を変えたようだ。客車の各駅停車であった「平快」がなくなったのだろうか。 |
宜蘭の街歩きに出発。この街は、駅に近いところに、かつての城壁があった。城壁跡は、旧城路という環状の道路になっている。 環状の中に主なみどころは集中していて短時間で街を見て回れる。 まずは、中山公園。お年寄りの憩いの場になっている。日本統治時代には、ここに公会堂があったようだ。しかし、1977年に取り壊されたという。 |
次に、五穀廟。祀られているのは、神農大帝。この神様に五穀豊穣を願う。 |
五穀廟のすぐそばに、日本統治時代の監獄の事務所がある。ところが、工事のため工事用地になってしまっていて、かろうじて屋根が見え、青く塗ってあるのがわかる程度。 |
上の囲いには「台湾東部最大広場購物中心」と書かれていて、ショッピングセンターになることがわかる。その名は「新月広場」。それにしても、ハンパじゃない広さだ。 ガイドブックには、公園造成予定地、とある。ひょっとして、広場を公園と思ったのか? さて、監獄のほうは、、、当然、どこかに移築されるとは思うが、、、 左は、現在は台湾銀行。日本統治時代も銀行だったのだろうか。 |
続いて、宜蘭設治紀念館。日本統治時代の1900年に、県知事の官邸として作られ、利用された。 この建物は日本式の木造建築がメインなのだが、一部に西洋風の建築の部分もあった。庭園は、日本庭園。 1997年に、修復され、歴史の展示を中心として利用されるようになった。 |
宜蘭酒廠。日本統治時代から稼動している酒造会社だ。自由に工場敷地に入れるようになっている。見ることができるところが決まれていて、酒文物館と酒の製造工程などを説明している建物に入場できるほかは、建物外からの見学。 |
左の通りが、旧城路。画像ではわかりにくいが、先のほうで右にカーブしている。かつて存在した城壁のあとの道路だ。 |
旧城路の南半分をぐるっと回ってきたが、西端あたりから、街の中心に向かった。昭応宮を見るため。ここには、航海の女神、媽祖を祀っている。 さらに、街の片隅に残されている石敢当。魔よけのために路地の入口などに置かれていたのだが、朽ち果ててしまい、この街でも残されているのはこの2つだけだという。昨年、鹿港でも石敢当を見たのを思い出した。 |
宜蘭は2時間ほどで、行きたいところをほぼ回ることができた。思っていたよりも、見所がたくさんあって、充実した街歩きをすることができた。 駅へ戻ると、次の列車まで40分ほど時間があることがわかり、列車を待つ時間を利用して、昼食。 駅に近い店で、牛肉麺。50元(約180円)。肉は、骨付きではなく、柔らかく煮込んであり、味がしみていた。 |
12時7分発の基隆行きの区間車で、2駅だけ乗車して、礁渓に向かう。 礁渓行きのバスは15分ごとにあったのだが、反対側に向かうバスかも知れず、聞くのも面倒で、結局、列車利用。 区間車の切符は、券売機で購入となる。実際には運行されていない復興号と同額。 |
10分ほどで、礁渓に到着。小さな駅であるが駅前はにぎわっている。 礁渓は、宜蘭の北6kmほどのところにある温泉の街。やってきたのは、もちろん入浴が目的。 温泉ホテルでの入浴は結構、料金が高そうだし、無料の公共浴場は、貴重品の管理が不安だし、迷っていたら、有料の公共浴場があることがわかりそちらに向かうことにした。 |
駅前の様子。旅途愉快と書かれている建造物だが、その下の部分は、単なるベンチではない。 湯が入っていて、足湯ができるようになっているのだ。台湾にも足湯の習慣があるということは知らなかった。 このあといった公共浴場のすぐそばにも足湯があった。 温泉街を抜けて、公共浴場に向かった。 |
こちらは、無料の公共浴場である焼水溝。ここは男性専用になっていて、女性用の浴場はない。お年寄りの溜まり場になっているような感じだ。 |
こちらが、有料の公共浴場である湯圍溝で、男性用、女性用がある。 |
左上の画像で車が停車しているところあたりに、入口があり、そこで入湯券を買うのだが、、、 何と、窓口のおじさん、熟睡中。カウンターを、トントンたたいたが効果なし。それで、ドンドンと何度かたたく。それでも、効果ないので、日本語で、すみません、と大声をかける。中国語でどういうのか、わからないので。 料金は80元(約288円)。 |
浴場は、日本式で、木製の浴槽で、深くない。 この画像を撮影できたのは、ほかに入浴者がいなかったからだ。 実は、入浴中の30分間、ずっと1人で貸切だったのだ。昼間のひと時、とても気分のよい時間をすごすことができた。 浴槽につかりながら、脱衣場への人の動きも見える構造だったので、貴重品の心配もぜずにすんだ。 |
すっかり温まって、駅に戻る。
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乗車したのは、14時26分発の自強号。この乗車券には「松山以後余程無座」と書かれている。最初、この一文にたいした意味がないと思っていた。松山から無座になっても、そのまま座っていればよいと思っていたのだ。 実は、この列車は、屏東行きだった。(右上画像を参照) それで、松山から、別の客がここに座ることになっていたのだ。松山で切符を見せられて、やっと一文の意味がわかった。で、一区間だけ、別の席に座った。 |
東部幹線と西部幹線を直通する列車は数本あり、こうした列車では、松山(反対方向の場合は樹林)からは無座になり、場合によっては、新しい客に席を譲らねばならないようなシステムになっていることがわかった。 16時前に台北に到着。 左は、台北到着時の風景。ほとんどの客が台北で降り、同じくらいの客が台北で乗るから、ホームは一時的にラッシュ時のような混雑ぶりになった。 |
すぐに、MRT台北車站站に急いだ。このあと、中正紀念堂站まで行き、二二八国家紀念館と台北灯会を見るのだ。 MRTは、悠々卡を持っているので、切符を買う手間も不要。すぐにホームに下りることができた。 ホームへ下りてびっくり。昨年来たときはなかった、ホーム側の扉ができている。ひょっとして全駅かと思ったが、設置されていたのは台北車站站だけであった。今後は、ほかの駅にも設置するのだろう。 |
先に、二二八国家紀念館に向かった。 228事件については、すでに1997年に、民間の手で二二八和平公園が作られ、その中のかつて放送局だった建物が展示施設になっている。こちらは訪問済みである。 |
今年、2月28日、228事件から60年目に、国の施設として、二二八国家紀念館がオープンした。そこで、ここを訪問しようと考えたわけだ。オープンしてから、まだ11日目だ。 ただ、この建物全体が展示スペースではない。現状では、従来からある民間の展示館のほうが充実している。こちらは、仮開館のようなので、正式開館になればまた来ようと思う。 |
次に向かったのは、中正紀念堂。ここで、台北灯会(タイペイランタンフェスティバル)が行われているのだ。 昨年、台南を同時期に訪問したが、そのときには、台南で台湾灯会が開かれていた。 台湾灯会は、もともと台北ですっと開かれていた台北灯会をほかでも開催しようということで始まったようだが、台北灯会は、それはそれで、従来どおり開催されているのだ。 |
明かりのついたランタンを見て楽しむほか、コンサートや子供向けのイベントもやっていた。
中正紀念堂の敷地内は、すごい人出であった。期間終了直前の土曜日だったこともある。 |
マカオ特別行政区政府の展示。マカオの旧陸軍倶楽部の建物を模したものである。香港も出品していたが、こちらは旅遊局の展示であった。
中正紀念堂站の駅入口もライトアップされていた。このあと、いったん、中山站まで行って土産物を購入。そして、台北車站站から歩いてホテルに向かった。 |
この日の宿は、金財神旅店。台北ナビで調べて予約しておいた。台北ナビで紹介されていた格安宿のうち最安のものに、到着日は泊まったが、この日は、その次に安かっ たところだ。翌朝、4時30分に宿を出るため、安いところを選んだのだ。 場所は、北門の近くで、台北車站站から歩いて10分ほど。1つのビルの中に、3つのホテルが同居しており、レセプションは3階にあるが、部屋は、6階、7階にもあり、6階に行くように言われた。鍵は、6階のカウンターで受け取る仕組みになっていた。
台湾でも、格安のホテルは、ラブホテルと兼用になっていると聞いていたが、まさにその通りだった。 丸いベッドに、それを取りまく大型の鏡。もっとも、清潔で空調もきいていた。 |
いったん荷物を置き、身軽になって、士林夜市に出かける。20時ごろから動いた。今回は、屋台のまとまっている建物ではなく、外の屋台を食べ歩くことにした。
まず、軽く、河粉煎。25元(約90円)。中には、肉入りの餡が入っている小さい饅頭。 |
次は、水煎香枕リ。10元(約36円)。野菜だけの餡でつくった小籠包って感じ。
次は、たこ焼。こちらでは、「章魚小丸子」という。わさびをつけるところが、日本と違う。35元(126円)。 |
お好み焼きに見えるのは、葱抓煎。具はタマネギ以外はあまりはいってない。卵入りだと、30元(約180円)。卵なしは5元安い。
さらに、大鶏排に挑戦。A4サイズくらいのチキンのフライだ。意外とからっとしていて食べやすい。45元(約162円)。 |
最後に、デザート。豆花屋にはいり、どれにしようか迷った結果、豆花抹茶圍にした。35元(126円)。熱いのと冷たいのがあり、冷たいものにした。 2時間近く、いろいろな屋台をはしごしながら、屋台食を楽しんだ。やはり、台北の夜は夜市めぐりに限る。 そろそろ帰ることにし、MRTで台北車站站へ。そして歩いて宿に戻った。朝が早いので、4時30分にモーニングコールを頼んでおいた。 |