2 日 目  普 快 車 で 台 東 往 復

 

興隆居で朝食
  2日目。いよいよ普快車で台東を往復する日だ。普快車は枋寮を11時ちょうどに出発する。そのために、高雄を8時55分発の莒光で潮州まで行き区間車に乗り換えることにした。高雄発9時35分発の自強で枋寮まで向ってもよいが、少し早めに出ることにした。

 8時半ごろには高雄車站に着くようにして、朝食を興隆居でとることにした。6時半にホテルを出発、後駅站からMRTで美麗島站へ。乗り換えてすぐの市議会站で下車。下車後は徒歩5分ほどで、めざす店に着いた。

 7時すぎに着いたのだが、すごい行列ができていた。これはまずいと思った。写真で、店内に2つの札がぶらさげられているのが見えるだろうか。店内に入って確かめたら、2つは「湯包」と「焼餅」で、この長い行列は「湯包」の行列だったのだ。「焼餅」はほとんど行列ができていなかったので、「焼餅」のほうに進むことにした。
 「焼餅」のほうに進むと、自分の食べたいものを選んでトレイにのせるようになっていた。「湯包」を買った人で「焼餅」の方に並ぶ人もいて、その場合は「湯包」が冷めてしまうのがちょっと難のようだ。
 進んでいくと、最後にお金を払うようになっているのだが、ややこしいのは、お金を払うところで豆漿は注文するようになっていたこと。豆漿のうち、あまいものはパック詰めしてあるのを指させばよいが、からいものは伝えるしかない。シェントウシェンというと伝わって、鹹豆漿を入れてくれた。
 買ったものは、こちらのコーナーで食べるようになっている。持ち帰りの人が多いからなのか、こちらは意外とすいていた。
 
 鹹豆漿30元。

 細かく刻んだ油條や大根の漬物、ネギ、あと何かよくわからないが具がたくさん入っている。辣油が効いていて、かなりからい味。濃くてドロドロした感じの豆漿だ。
 焼餅油條25元。

 焼餅は焼パン。皮はパリパリに焼かれているが、中はやわらかい。

 焼餅油條は、パンに揚げパンである油條をはさんであるのが普通なのだが、この店の場合は、さらに卵焼きもはさんであるようだ。次から次に調理されて、その都度、並ばれていった。
 焼餅油條を開いたところ。
 焼餅生菜35元。

 焼餅生菜は、生野菜のサラダをはさんだ焼パン。こちらは作り置きなのか、ビニール袋とプラスチックケースに入れて陳列されていた。
 
 焼餅生菜を開いたところ。

 キャベツ、レタス、キュウリ、アスパラガス、トマトなど生野菜のほか、リンゴも入っている。ドレッシングがちょっと足らなかった感じだ。焼餅に水分が混じりにくくするためかもしれない。

 この日は、あとの予定があったので「湯包」はあきらめたが、翌日、もう一度、この店に行って「湯包」に挑戦してみようと思った。

 
一往復残る「普快車」で枋寮から台東へ
  興隆居での朝食を終え、MRTで高雄車站へ。8時半ごろに到着し、対号(指定席)用の自動券売機で8時55分発の潮州行の莒光の切符を購入。

 高雄車站は近い将来、地下駅になるので、このような跨線橋はなくなる。あと何回、渡れるのかな。地下駅になれば台北車站のような感じの駅になるのだろうな。
 
 乗車した潮州行の莒光。

 2015年10月のダイヤ改正で、それまで屏東行だった西部幹線の自強、莒光が潮州行に変更になった。屏東・潮州間の電化が完成したためだ。同時に、屏東・枋寮間の区間車は、ほとんどが潮州・枋寮間の列車になった。西部幹線の南端の拠点駅が、屏東から潮州に代わったわけで、大きな変化と言える。

 
 
 下淡水渓鉄橋。

 屏東の手前、九曲堂站と六塊厝站の間にあり、高水溪にかかる鉄橋だ。日本統治時代の1913年につくられた鉄橋で、できた当時は日本一長い鉄橋であった。

 1987年に新しい橋が作られたが、歴史的価値があり、保存されてきた。しかし、2005年の台風で、中央部分が流されてしまい、その後、断橋の状態で保存されている。
 
 
 上左  潮州車站。真新しい駅舎だ。

 上右  続いて、10時発の区間車で枋寮に向う。

 左  枋寮行の区間車。非電化区間の自強に使われているディーゼルカーだ。非電化区間がどんどん減っているので、本来は自強用の車両だが、区間車にも使われているのだろう。
 
 内部も自強としてそのまま使うことができる状態。

 中央部の丸い中国風の門のようなのは、このディーゼルカーの特徴。この門のおかげで、内部が大幅に改装されて、通勤型の長椅子になっている場合でも、昔は自強用だったなとわかる。

 下左  枋寮車站。外観は新しいのだが、内部は昔のままって感じの駅だった。
 
 
  上右  枋寮・台東の往復に使った普快の切符。左の枋寮発が橙色、右の台東発が水色。窓口で購入した場合は橙色、自動券売機で購入した場合は水色の地色の用紙が使われる。

 普快車は104元だが、同じ区間を、区間車だと143元、莒光だと172元、自強だと223元だ。台鉄の運賃は4種類あるが、最安の普快車の運賃が適用されるのは、これから乗る枋寮・台東に一往復残る列車だけだ。

 左  10時56分発の台東行の莒光を先発させ、11時発の普快に乗車する。駅の時刻表示板でも「普快」と表示されるのは、これから乗車する列車が台湾唯一の列車だ。一番奥のホームに止まっているのが、これから乗車する普快車だ。
 
  ホームに停車中の普快、台東行。客車は3両でディーゼル機関車がけん引する。

 
 先頭のディーゼル機関車。左側にも同じような機関車が見えるが、先発の台東行の莒光が到着したところだ。
 
 出入口は手動ドア。客車は日本でも1980年代までよく見かけた旧型客車とほぼ同じで、旧型客車を思い出した。日本でも、優等列車用は青だった。普通列車用はブドウ色(茶色)だった。

 1980年代に日本で製造の車両という情報があり、出入口付近や車内の表示を調べてみたのだが、日本製を表すような表示はなかった。
 
 上左  車両の側面にある台東行の表示板。よく見ると、白いビニールテープに手書きで書いて貼ってあった。

 上右  最後尾。連結部分は開いていて、横棒と鎖が転落防止用についている。

 左  シートは転換クロスシート。ビニール貼りの椅子だ。天井には扇風機がついていて、スイッチを入れると動いた。

 普快車と区間車は、どちらも普通列車だが、普快は非冷房、区間は冷房付きである点が違う。昔はたくさんあった普快車も枋寮・台東に一往復残るだけになってしまったのだ。この区間には、自強はたくさん走り、莒光も多少ある。普通列車はもう一往復あるが、そちらは区間車だ。
 
  座っている向かいの席を反転させて4人席のボックス席にして座っている人が写っているが、自分もそのようにして座った。

 乗客は全部で12,3人。その全員が普快車に乗車するのが目的で乗りにきた人たちだった。鉄道マニアらしい人もいれば、台東に行くのにあえて普快車を選んだ人もいるようだ。ほとんど台湾人のようだったが、日本人の女性2人組もいた。途中駅の間だけを乗車する地元民も数人いた。そういう客もいるので普通列車全廃はないだろうが、この列車も区間車にいつ代わってもおかしくはない。
 
 
 上左  発車して20分ほどすると、高度を上げながら、向きを東に変え、台湾山脈に入っていく。その際、台湾海峡の海がきれいだ。

 上右  暑いので窓は開けておいた。窓があく車両、日本でも台湾でもわずかになってしまったものだ。

 左  枋野信号所。かつては駅であったが、駅は廃止され、ホームも撤去されたようだ。しかし職員は配置されていて、外に出て列車に合図を出していた。ここでしばらく運転停車(乗り降りの客扱いをしない停車)。
 
 
 上左  枋寮を普快車の40分後に出発した花蓮行の自強が追い越していった。

 上右  トンネルに入ると真っ暗になるが蛍光灯が点灯される。窓が開いているので、ディーゼルの煙が入ってくる。蒸気機関車ほどではないが、長いトンネルでは煙が難だ。

 左  台湾山脈を越え、太平洋側に出たところの大武站でしばらく停車。
 
 
 上左  高雄方面に向う自強とすれ違い。

 上右  やがて太平洋が見えてきた。しばらく海岸線に沿って北上。

 左  定刻13時27分より10分ほど遅れて台東車站に到着。往路は無事に台東まで乗れた。いったん台東の市街地に行ったあと、今度は反対方向に向う枋寮行の普快車で戻るつもりだ。
台東の黒白切は台南とは全然違っていた
 台東から枋寮に戻る普快車は16時8分発。台東では2時間半の余裕があるのだが、台東車站の近辺には食事や観光に適したところはないので、かつてあった台東車站へ移動する。バス停で待っていると旧台東車站に向うバスがやってきて、乗車。

 下左  バスでのアクセスを考慮すると台東で自由になるのは2時間ほどしかない。そこで、昼食をとるくらいしか無理だ。3年前の2014年2月に食事をとった新生小吃部へ。

 3年前には、新生小吃部の隣にあった旺旺鶏肉飯という店が数軒離れたところに移転していることを発見。新生小吃部の左隣に青い看板の店舗があるが、3年前はここに旺旺鶏肉飯が店を構えていた。現在は数店離れた、写真では左端のほうの赤い看板のところに移転していた。
 
 

 
 
 上右  旺旺鶏肉飯の店へやってきた。かなり新しいつくりの店構えで、最近、移転してきた雰囲気が感じられる。

 左  この写真は3年前のもので、食事をした新生小吃部を撮影したのだが、隣には旺旺鶏肉飯が写っている。
 
 旺旺鶏肉飯で食事をすることに変更した。店内も新しい感じだ。

 下左  店の名前にもつけられている鶏肉飯。甘いたれで煮られてた鶏肉がほぐされてご飯の上にのっている。35元。

 下右  魚肉湯。何の魚かよくわからないが魚のスープだ。30元。
 
 
 
 
 黒白切。50元。

 黒白切は以前、台南で食べているのだが、そのときは、具材を指定して、それを刻んで盛り付けてくれる料理だった。

 それで、どんなものが出てくるのかなと思って注文した。出てきたのは豚の内臓のごった煮であった。いろいろな内臓が山盛り。食べきれなかった。
 
 こちらは2年半前の2014年12月に台南で食べた黒白切。さまざまな具材を指さして選び、調理人がきざんでくれたものの盛り合せだ。

 黒白切、台南と台東では全然違っていた。 ほかのところでもメニューに黒白切があれば試してみようと思う。
 
 食事後、まだ1時間くらいの余裕はあったが、台東車站へのバスの本数が少ないので、鼎東客運のバスターミナルに向った。

 な、何と、バスターミナルは駐車場になっていた。3年前にはここを利用したのだが、すでに廃止されていたのだ。 どうも旧台東車站のそばに移転したようだ。
 
 旧台東車站そばの新しいバスターミナル。右側のホームは旧台東車站。

 少し待つと台東車站を通るバスがあったので、そのバスに乗車して、台東車站に早めに行くことにした。発車までの間、旧站の中をぶらぶらして時間つぶし。
 
 発車時間が近づき、バスに乗車して待った。何と2,3分の早発。10分ほど乗車して、バスを乗り違えていたことが判明。なぜ間違ったのか不明だが、乗ろうと思ったバスじゃないバスに乗ってしまったのだ。台東車站に最も近いバス停で下車して、歩くことにした。

 最も近いバス停とは言っても、2kmほど離れていて、30分ほど歩いた。ほとんど建物がないような中を歩き、ようやく台東車站があらわれてホッとした。 着いたのは枋寮行き普快車の発車の10分ほど前の滑り込み。
台東から枋寮へも「普快車」
 
 上左  16時8分発、普快、枋寮行き。台東車站の時刻表示では、「普快」ではなく「普通」と表示されている。

 枋寮・台東間の所要時間は、行きの台東行は定時運行として2時間27分(実際は10分ほど遅延)なのに対し、枋寮行きは2時間12分と短い。自強だと、最短で1時間20分程度、遅いのは2時間ほどだ。

 上右  牽引するディーゼル機関車。

 左  客車は3両。台東にやってきたときと同じだ。
 
 2両目の客車を見てびっくり。車両の両端のデッキ部に出入口がついているのじゃなく、デッキ部はなく、客室に2か所の出入口がついている通勤タイプの車両だった。

 枋寮・台東を同じ客車が往復していると思っていたのだが、普快車に使われている3両編成の客車は2編成以上あることがわかった。しかも、この編成では3両の客車のうち、中間部の1両は通勤タイプの客車になっている。
 
 
 
 
 上左   枋寮行きの行先表示板。

 上右  最後尾には転落防止用の棒と鎖がついている。

 左  通勤タイプの車両の内部。出入口は封鎖され、間違わないように鎖がかけてある。そして「つり革」がついている。このはインド製らしいが、特にインド製を裏づける表示はなかった。

 下左  通勤タイプの車両はシートを回転させて、向かい合わせにすることはできない。
 
 
 
 
 上右  自分は日本製と言われる車両で、座席を向か合わせにして座った。

  復路も往路と同じく、台東から乗車した客はみな、普快車に乗るのが目的で乗車したと思われる人たちだ。ただ、往路より人数が少なく、7、8名。往路に比べて、時間帯が遅いので、ファンであっても復路は自強にするとか、台東で泊まって東海岸を北上というケースも多いのだろう。あと、短区間、地元客が「ちょい乗り」をするケースがわずかにあったのも往路と同じ。

 左  出発して間もなく、太平洋に沿って列車は走る。ヤシ科の林があり、南国らしい雰囲気がある。

 下左  知本で台東行きの自強と行き違い。

 下右  大武をすぎてすぐの河川。広い河原が広がるが、水があまり流れていない。豪雨のときには、濁流になるのだろう。 
 
 
 枋野信号場で台東行きの自強が通過し、行き違い。

 南廻線の台湾山脈を越える山頂付近には複線区間がありびっくりした。複線のトンネルもあり、トンネルの内部で行き違いもあった。

 下左  やがて台湾海峡が見えてくるとともに、高度を下げていく。

 下右  終点の枋寮に18時20分の定刻に到着。このとき、もう真っ暗であった。一往復だけ残る「普快車」も往復とも乗車したことになり、この日の目標達成。
 
 
 
 
  すぐに台東発の自強がやってきて、それに乗り継ぐので、大急ぎで改札を出て、屏東までの切符を買いなおした。

 切符を買ってホームに上がってくると自強が到着。満席で指定席はとれず、立席で屏東に向った。
屏東夜市
  30分少々、立席で辛抱し、屏東に到着。屏東も最近、改築されたような駅だ。

 下左  10分ほど歩くと、屏東夜市に突入。屋台もかなりでてはいるが、道路の両側に並ぶ常設の店舗の方がメインといった夜市だ。

 下右  夜市の入口付近の交差点にて。信号灯と道路名表示板が一体となっている。今までほかの街でも見かけていたのかもしらないが、意識的に見たのは初めてだ。道路名表示版も点灯されていて、なかなかいい。
 
 
 
 上左  夜市を進むと、関東煮の屋台があり「コンニクヤ」とあり、一瞬、?と思ったが「コンニャク」のことだった。中国語にもコンニャクにあたる語はあるだろうし、これだけなぜ日本語で書いているんだろう。それも変なのになって。

 上右  林記という店が、いろいろな料理を出しているようだったので、まずはこの店に入店してみることにした。

 左  店内は結構広い。
 
 海鮮麺(乾)を注文。50元。イカ入り焼きそばだった。

 ほかの店でもいろいろ食べたかったので、サイドメニューは注文しなかったのだが、この店だけで済ませるなら、サイドメニューなしだと全く物足らない量だ。
 
 
 上左  さらに夜市を奥に進むと「小曼谷」という泰式中華の店があったので入店する。

 上右  店頭のメニュー。タイ料理というよりは、タイ風味の中華という感じ。

 左  紅咖哩椰雞飯。80元。

 「椰」の字が入っているように、ココナツミルクが大量に使われているようで、紅カレーにしてはまったく辛くない。見た目だけは泰式だが、味はほど遠い感じがする。
 
 
 上左  数軒おいてあったデザート店「進来涼」。

 上右  店頭で料金を払って、テーブルで注文の品がくるのを待つスタイル。

 左  草苺雪花冰。80元。かなり量があって、食べごたえがあった。
 
 21時台の区間車で高雄に戻った。台湾観光のマスコットであるOh Bearを描いた車両。車内でも小さく目立たないが、何匹かが描かれている。

 高雄車站からはMRTで一駅、乗車しホテルへ向かい、一日を終えた。

 

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