(11)ネムルトダゥ
アダナから乗った夜行バスは、何回か休憩して、6時30分ごろマラテヤに到着。バスはオトガルまでに、市街地で客を降ろす。このときにかなりたくさんの客が下車したので、自分も降りてはみたが、果たしてここが町の中心なのかはわからない。それで、ここがどこか「地球の歩き方」の地図を見せるが、やはりほとんど日本語のそれも簡単な地図ではよくわからないようだ。何人かのトルコ人に聞いてみて、ここが町の中心、今日利用するネムルトダゥへのツアーの出発点のすぐそばであることが判明。なぜ、わかったのか。地図の中に、ドンドルマ(伸びるアイスクリームのこと)の起源だとされるカフェチェーン店の「マド」が書いてあったからだ。
バスを降りてすぐ近くに、マラテヤ県の県庁があるのだが、その中にインフォメーションがあり、そこでツアーの申し込みをすることになっている。まだ早朝なので県庁は開いていない。県庁の前はトルコならどこの町にもあるアタチュルク広場になっており、その広場で時間の過ぎるのを待つ。9時に県庁の中のインフォメーションへ。ツアーを申し込みに来たのは自分が最初だったようで、30USDで、ネムルトダゥへのバス、ホテル、夕食と朝食、ホテルから山頂までのバスが含まれているという。そして出発は12時だが11時30分までここへ戻るようにとのこと。
インフォメーションで荷物を預かってもらい、オトガルへのミニバス乗場を教えてもらう。ミニバス乗場は、少し離れたところにあり、教えてもらわないとわからなかった。市内バスの乗場とは少し離れていて、オトガルまで行って、翌日のディヤルバクルまでの切符を購入。すぐに、町の中心まで戻るが、まだ10時30分。「マド」で時間つぶしをすることにした。ドンドルマを食べながら、今後の計画を練る。ディヤルバクルで1泊し、マルディンかハサンケイフへ行き、ディヤルバクルに戻ってきたあと夜行バスでワンへ向かう、ということにした。
ドンドルマと甘い菓子
11時30分、インフォメーションに行ってみると、韓国人が5人、そして日本人の方がツアーの出発を待っていた。日本人のYさんは、トルコへ何度も旅されているトルコ通で、互いに1人旅であったので一緒に行動させていただくことにした。まもなく出発時間となり、県庁の裏手の乗場へ向かう。そこで、西洋人4人も待っていて一緒にミニバスに乗車。マラテヤからネムルトダゥまでのほとんどは山道で、ほかに車がほとんど走っていないので山道をかなりのスピードで走る。途中の昼食休憩では、ひなびた田舎の食堂で食事。甘そうなデザートも食した。
ネムルトダゥ山頂からの眺め ホテルが見える
15時30分ごろにネムルトダゥ山頂の少し下にあるギュネシュホテルに到着。ツアー代の30USDはこのホテルに支払う。ホテルは相部屋になっていて、Yさんと同室になる。16時30分にミニバスで山頂へ向かうということなので、荷物を置いて、冷え込みに備えて長袖シャツとウインドブレーカを着用。すでに相当ひんやりとしているので、日が沈むと寒いだろう。ミニバスに乗ると、マラテヤから乗ってきたメンバーのほかに、日本人の女性2人が乗り込んだ。どこから来たのか尋ねると、前日のツアーでやってきて、山頂で夕日と朝日をながめて、いざ帰ろうというときに1人が体調をくずし、もう1泊したとのこと。だから山頂へ向かうのはこれで3回目。
ネムルトダゥ山頂の遺跡
駐車場で山頂の遺跡の入場料600万TL(約530円)を払う。なぜだか200万TLの券を3枚渡される。少し坂道を歩いて上るとそこが遺跡。有名な石像が何本か並べられている。山頂はもう少し高いのだが、そこに上ることはできない。坂道を歩いて上ったところは、山頂の東側にあたる場所だったので、山頂のすぐ下を歩いて、西側に移動。西側にも石像が何本か立っている。東側では石像の手前に ロープがはられていて石像のそばまで行けなかったのだが、西側では石像のそばへ行ける。西側に移動すると、そこには多数のトルコ人や西洋人。キャフタ側から上ってきた人たちのようだ。
ネムルトダゥ山頂の「顔」
日没まで1時間ほど、写真を撮ったり、周囲を探検してまわったりしてすごす。徐々に気温が下がってきていて、早く沈まないかと思いながら待つ。18時30分ごろようやく日の入り。石像が赤く照らされるかと思っていたが、そういうこともなく普通の日の入り。延々と続く山々の向う側へ日が沈んでいった。東側をへて駐車場に戻り、車でホテルへ。ホテル に戻るとまもなく夕食。質素なものではあるが、山頂近くであることを考えれば、きちんとした食事をとれることを喜ばねばならないだろう。このことを考えると30USDというのは結構安いと思う。
ネムルトダゥ山頂の日の入り
夕食後、部屋でYさんと談笑。トルコでのお互いの経験を交流し、またたく間に時間が過ぎる。Yさんは今回は時間の関係でネムルトダゥにしぼって旅をされているので、山頂の遺跡を思う存分見ることができて喜んでおられた。Yさんから、トルコ各地の旅のことをお聞きした。イスタンブルとアンカラを結ぶアンカラエクスプレスがコストパフォーマンスのすぐれた列車であることも知ったが、乗るのはは難しい。別の機会にチャレンジしてみることにする。シャワーを浴びたあとはとても涼しく感じる。やはり2000mの山の上だけのことはある。翌朝は5時に日の出を見に行くために、4時30分起床ということなので、早めに就寝することにした。Yさんによると、私は眠りについて1分したら、寝息をたてていたらしい。前夜が夜行バスであっただけでなく、トルコにやってきてから平均して2夜に1夜は夜行バスであったからであろう。