(16)エルズルム

7時からカルスのホテルで朝食をとり、すぐにカルスのオトガルに向かう。ヤトシュさんは、この日はドゥバヤズットまで行き、この日イランから到着する客を翌日から案内して回るらしい。なかなかやりますね、という感じだ。カルスは小さな町であるのに、オトガルがなぜか町から数km離れた荒地のド真中にある。ようやくたどりついたオトガルで、ヤトシュさんがバスの切符を買い、乗場も聞いてくれた。8時発であったが、なかなかやってこず、バスに乗り込むまで待っていてくれた。バスが到着し、3日間のお礼をいい、再会できることを願って別れた。

エルズルム行きのバスは、中型のミディバス。オトガルから乗った客は自分を入れて3人。たいへんすいていると思ったら、このバスは、市内バスのようにいろいろな場所で止まって客を乗せていくようだ。何とホテルの近くにも止まって、そこからも客が乗車する。この時点で8時30分であったから、1時間くらい無駄な移動をしていたことになる。

ミディバスは、あまりスピードが出なく、行き先はわからないがあとから発車した大型バスに抜かれることが何回かあった。200kmに満たない距離だったが、4時間以上を要した。乗り心地も良くなく、この旅で利用した長距離バスの中で唯一、乗り心地が良くないバスであった。おまけに、これでもかこれでもかという具合にサービスをたくさんするトルコのバスの中にあって、まったく何のサービスもなかった唯一のケースであった。

13時前にエルズルム到着。エルズルムでも市内各所で客を下ろしていく。トルコ東部で最大の都市ということもあって、市街地はかなり大きいようだ。地球の歩き方に載っている簡単な地図ではどこを通っているのか全然分からない状態。どんどん人が降りていくので、オトガルまで行かないのではと心配になった。結局、オトガルまで乗車した人は自分だけであった。それもそのはず、オトガルは町外れにあった。到着後、この日は夜行バスでトラブゾンに向かうので、まず第一にその切符を購入する。

  ラフマジュンとエゾゲリン

オトガルから町の中心までは、町外れとはいっても2kmくらいなので、歩けないことはない。だが、標高が1800m台のところにあるという割りには、とても暑い。それで、バスに乗車。お腹もすいていたので、中心部近くのレストランでラフマジュンを食べる。生地の薄いトルコ風お好み焼きである。スープとしてエゾゲリン・チョルバスも注文。こちらは、豆をすったものを主体としたスープである。辛そうな色をしているが、辛くはない。豆の色がこういう色をしているのかもしれない。この食事に限らず、トルコのレストランでは、パンをバスケットに入れて持ってきてくれるか、最初からテーブルの上にパンを入れた箱がおいてある。パンは料理代に含まれていて、しかも食べ放題である。だから、この程度の食事ではあっても、パンをたくさん食べると満腹になる。

 ヤクティエ・メドレッセのミナレット

食事のあと、エルズルムの観光の目玉といえるヤクティエ・メドレッセを訪問。現在は民俗博物館として利用されている。この神学校の特徴は、ミナレットにある。ミナレットに網目の模様が彫られていて、赤茶色と青色の二色で塗られていて美しい。神学校の構内は、公園のようになんていて、市民のくつろぎの場になっているようだ。

 チフテ・ミナレット 中庭の奥から玄関を望む

さらにチフテ・ミナレットを訪問。ここもかつてはメドレッセ(神学校のこと)であったらしい。入口に2本のミナレットがそびえている。中に入ると中庭を取り囲むように、部屋が配置されている。

 エルズルム市街 右手のASYAで昼食と夕食

このあと旧市街の中を歩いて、エルズルム駅の駅前にあるミグロスというスーパーへ。そろそろ旅行も終盤になってきたので、ちょっとしたみやげ物を手に入れるために立ち寄った。さらに駅にも入ってみた。1日に3往復しか列車がないようであるが、そのうちの1本がやってくる時間帯とあって、駅にはかなりの人たちがいた。

 イスケンデル・ケバブ

エルズルムはあまり観光の対象になるところがないので、さきほど訪問したヤクティエ・メドレッセの構内で休息する。1時間以上時間つぶしをしてから、昼食をとったレストランで夕食。今度はイスケンデルケバブ。ヨーグルトが添えられているドネルケバブで、ヨーグルトをつけて肉を食べる。この店では、料理を運んでから、ケバブの上に熱いソースをかけてくれた。ヨーグルトと肉の組合せはなかなかのものだ。これまで、食事時にアイラン(飲むヨーグルト。うすく塩味がついている感じである)を注文する人が多いと思っていたが、なるほどだと思った。

夕食後、バスでオトガルに戻ろうとしたが、オトガルを通るバスが全然来ない。バスが来るたびに車掌に声をかけてみるがダメ。なかには歩いて行け、とジェスチャーする車掌もいた。結局、1kmほど無料で乗せてくれたバスがあり、この方向に歩け、というようなことを言われた。降ろされたところから1kmほど人通りのほとんどないところを歩いてオトガルに戻り、23時のトラブゾン行きまで3時間近くをすごした。夜が更けると気温がどんどん下がっていくようで、ウインドブレーカで寒さをしのいだ。バスはマラテヤ発で30分ほど遅れて到着した。かなりの客が下車して、同じくらいの客が乗車して発車した。