8 日 目   幸福・愛国駅と六花の森
幸福駅と愛国駅
 6時30分から朝食を食べられるので、バスの時間のことがあり、早めにいただいた。

 エレベータ内に、毎日、日替わりの丼物があることをアピールする掲示があった。本日の丼物は中華丼らしい。
 
 朝食会場に行くと、丼物のほかには、カレーとサラダ、みそ汁があるだけのメニューだった。てっきり、ビュッフェ式でいろいろ選べると思っていたのだが、勘違いだった。

 同じJRインでも旭川では、イオンモールのレストランを利用して、かなり充実したビュッフェだったので、勝手にそれを連想していたのが間違いだった。丼とカレーをご飯小盛りでいただいた。
 
 この日は、帯広の南郊外の幸福・愛国駅を訪問したあと、六花の森へ行くつもりだ。その後、中札内芸術村に行こうと思ったが、緊急事態中は閉まっているうえ、土日だけなので、帯広に戻って街歩きしよう。

 7時15分発の十勝バスに乗車。
 
 行先表示には、終点の広尾以外に、愛国、幸福と表示されている。
 
 帯広駅出発時はすいていたが、徐々に高校生が乗り込み、やがてぎゅう詰めになった。すぐに下車すると思っていたのだが、自分が幸福で下車する際には、まだ満員で、高校生をかきわけて下車した。

 スマートフォンの地図で運行経路を見ていたら、真鍋庭園の近くも通ることがわかったので、午後の真鍋庭園に行ってみることにした。
 
 
 上左   幸福バス停で下車。幸福駅まで500mほど歩く。

 帯広からは愛国のほうが近いが、愛国では下車せず、幸福までやってきた。このあと、愛国にもどり、今度は、幸福をこえてさらに南下する。少ないバスを利用して、2駅とも回るにはこの方法が適当だったのだ。

 上右   幸福駅に向かう途中、帯広空港への標識を見た。ここは帯広空港に近いのだ。10年ほど前に、帯広空港を利用したとき、この道を空港バスで通ったのだろう。

 左   愛国から幸福行きの切符をデザインにした看板。まもなく幸福駅だ。
 
 幸福駅、愛国駅は約40年ぶりの訪問だ。当時はまだ国鉄広尾線が走っていて、帯広から幸福、愛国、広尾と列車で移動した。

 当時走っていたキハ20系が2両保存されている。自分が乗車したときは、同じ形だが、クリームと濃い橙色のツートンカラーだった。乗車した直後に、全国的に気動車は橙色1色に塗られていった。
 
 
 上左   本来なら車内にも入れるのだが、緊急事態宣言中で閉鎖されていた。

 下右   座席は昔ながらの直角シート。40年前はこの形の向かい合わせシートが国鉄の標準だった。

 左   駅名標。
 
 幸福駅の駅舎は昔のままの姿で残っていた。

 緊急事態宣言のために、駅舎内には入れなかった。
 
 扉の窓か駅舎の中が見え、天井や壁に、愛国から幸福行きの切符が無数にはりつけられていた。切符は軟券ではがき大の大きなものだ。

 昔は定期券や名刺が無数に貼られていて、自分も40年前に定期券を貼ったのだ。今は、個人情報のからみで定期券や名刺は禁じられているようだ。そばの売店で切符を買い、それを貼るようになっている。
 
 駅舎に相対して売店があり、切符も販売しているようだ。緊急事態宣言のために休業中だったが、シーズン中は切符や土産物を売るのだろう。

 ただし、愛国から幸福行きだけのようだ。列車は走っていないので、切符とは言っても正規のものではなく、切符に似せて作ったものなのだろう。
 
 自分のコレクションより。約40年前の「幸福から愛国ゆき」。"57"と印字されているのは、昭和57(1982)年のこと。"幸福(委)駅発行"とあるが、当時は委託駅だったことを示す。委託駅は、駅の業務を鉄道会社(この場合は国鉄)が別の会社などに委託している駅のこと。
 
こちらは「愛国から幸福ゆき」。愛国駅は国鉄の直営だったとわかる。

 広尾線は昭和62(1987)年2月2日に廃止された。国鉄の分割民営化は昭和62(1987)年4月1日であったので、その2か月ほど前の廃止だった廃止から約35年たつが、その5年前に乗車できてよかった。。
 
 
 上左   幸福から帯広駅行きのバスで愛国へ。このバスも、帯広駅の左側に、幸福 愛国と表示されている。

 上右   愛国バス停。

 左  愛国駅はバス停から150mほどのところにあった。しかし、緊急事態宣言中のため、閉鎖されていた。シャッターがおりていて、内部の様子はわからない。
 
 駅舎の近くにあった、切符を模した石碑。
 
 駅舎の反対側に行ってみると、ホームに蒸気機関車が静態保存されていた。9600形。

 下左   ホームより。

 下右   駅名標。
 
 
 駅の北側に行くと、かつて線路であったと思われる道路があった。
 
 駅の南側には交通公園が作られていた。公園になったため、線路跡がわかりづらくなり、駅の南側の線路跡はよくわからなかった。

 下左   駅前に車掌車があり、物置のようになっていた。

 下右   再び広尾方面へのバスに乗車。
 
六花の森、真鍋庭園、はげ天
 
 上左   「道の駅なかさつない」バス停で下車。

 上右   道の駅は小さめで、山地直売の野菜などが売られていて、地元民向けのス―パーのような感じだった。前の庭の花壇がきれいに整備されていた。

 左   道の駅の敷地内に、ビーンス邸という豆の資料館があったが、緊急事態のために閉鎖されていた。
 
 敷地内には、開拓記念館もあったが、こちらも閉鎖中。

 このあと「六花の森」へ牧草地の間を歩いて向かった。広い牧草地は北海道らしい、十勝らしい風景だ。
 
 「六花の森」と書かれたサイロ。六花亭直営の牧場で牛に食べさせる飼料を貯蔵しているのかな。

 この横の道を少し進むと「六花の森」の入口。
 
 「六花の森」の入口。

 「六花の森」の敷地内には山小屋風のパビリオンが点在し、いずれも六花亭の包装紙の花の絵を描いた画家、坂本直行の記念館となっている。

 坂本直行の生涯の展示を見て、坂本龍馬の親戚だとわかってびっくりした。
 
 パビリオンの1つ。

 ほとんどのパビリオンは内部での撮影禁止だった。六花亭の包装紙の原画など六花亭が著作権をもっていると思われるものを展示している館は撮影可能だった。
 
  一面、芝生のエリアもあり、小高くなったところに「考える人」と名付けられた彫刻が設置されていた。
 
 川も流れていて、その向こうの森の中にパビリオンが建っている。
 
 工場の建物のうち、手前のガラス張りの部分がレストランになっている。
 
 レストラン内。一番奥で注文して、料理が運ばれてくるのを待つ。

 撮影している自分の背後には、お菓子を販売する店舗がある。
 
 ビーフシチューを注文。士幌牛を使っているとのこと。肉は口の中でとけるほど、長くにこまれている。シチューは酸味がきいていて、食欲がすすんだ。

 ご飯がついていて、ご飯も美味しい。
 
 デザートとして、ショートケーキ、マルセイアイスサンド、アイスコーヒーにした。

 下左   レストランから見た六花の森。

 下右   入場券を売店に出せば粗品進呈ということ。もらったものは後で食べようと思っていたら、ヨーグルトだったので、すぐにいただいた。
 
 
 
 
 上左   道の駅まで戻り、バスで帯広方面へ。

 上右   イトーヨーカドーで下車。買物のためじゃなく、ここで下車すると真鍋庭園が1kmほどと比較的近かったため。

 左   真鍋庭園の入口。
 
 真鍋庭園は個人の邸宅の庭園だったところを開放したもの。その関係なのか、いろいろなものが無理やり詰め込まれている感じがして、統一性があまりない庭園だと思った。

 写真は日本庭園。これ単独では落ち着いた感じの庭園だ。
 
 スイスの山小屋みたいな感じの「赤屋根の家」。庭園の主が一時、住まいにしたという。いまは誰も住んでいないようだが、内部は非公開。

 この建物の付近はヨーロッパ庭園と紹介されている。幾何学的な模様の庭園があるのかと思ったのだが、単にヨーロッパの外来種の木が育てられているということのようだ。
 
 上左   園内ではりすやきつねが目の前を横切るのを数回見た。なんとか、リスの横断を撮影。

 上右   りすの教会。建物の中に鐘があり、鳴らしてきた。

 左   モンスター庭園。針葉樹の並びが日本ではほかに見かけないものだ。
 
 庭園は、複雑なコースで枝コースも歩き、小さな庭園だが1時間以上かかった。

 カフェに入ろうとしたが、緊急事態のために休業。カフェのそばで、朝ドラ「なつぞら」の台本の展示をしていたので見入った。
 
 真鍋庭園の最寄バス停「西4条39丁目」。

 北海道の街では碁盤の目型の街路をもつところが多いが、札幌や旭川など多くが、東西の通りを「条」、南北を「丁」にしている。北4条西12丁目というように。でもいくつかの街は、南北が「条」、東西が「丁」で、その代表的な街が帯広。南北の通りの名が「西4条」なので、少し違和感がある。

 下左   帯広行きのバスに乗車。もう日が沈みかけているのがわかる。

 下右   最初は帯広駅前の豚丼で有名な店で夕食をとるつもりだった。10年前にもこの店で豚丼を食べている。ところが、工事のために移転していて、しかも少し遠い。
 
 
 それで、居酒屋で夕食をとろうと歩いてみた。北海道は緊急事態宣言が出ていたが、札幌市周辺と旭川市をのぞいた地域では19時までは酒類の販売がOKで、帯広もOKなのだが、休業中の店が多い。チェーン店の居酒屋の中には営業している店もあったが、チェーン店には入りたくない。

 かなり歩いて見つけた店が「はげ天」。居酒屋というよりは、日本料理店という雰囲気。ここに決めたのは、食べたかった豚丼を出していて、しかも豚丼専門店を帯広駅ビルに出店しているというから豚丼の味も確かだと思ったから。
 
 1人だったので、写真右側のカウンターに案内された。カウンターって言っても、その内側で料理人が仕事をしているわけだはない。単に料理が運ばれてくるスペースがあるだけだ。

 写真右側の一般席にはこのときは客がいなかったが、食事中にどんどん客が増えていった。
 
 飲物は冷酒の「北の勝」。醸造元は根室市の碓井勝三郎商店。
 
 ゆり根のまるごと素あげ。

 ゆり根はまるごとだとこんなに大きかったの火って感じ。今まで小さな部分しか食べたことがなかったので、注文してよかった一品。
 
 チーズフライ。
 
 豚丼。6枚入り。

 食べたかった帯広の豚丼を食べられてよかった。

 後でわかったのだが、店名からもわかる通り、天ぷらがメインの店のうだ。また「ハゲ天」という店があり、こちらも有名店だが、別の店だということだ。
 
 「はげ天」のすぐ南側には小さな居酒屋が軒をつらねる「北の屋台」という屋台村があるのだが、完全閉鎖されていた。通ることすらできない。
 
 宿に戻る前に帯広駅に立寄った。幸福駅の駅舎を模した観光案内所があった。

 このあと「はげ天」の豚丼専門店「ぶたはげ」を見て、宿に戻った。朝出発してから12時間の外出だった。

 

 

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