3 日 目   父 島 到 着

 日の出は、雲のために水平線より少し上の位置からだったがきれいだった。

 日没はいまいちだったし、夜に星空も雲のために見えなかったし、太平洋上で日の出が見られたのはよかった。
 
 虹を見られた。大海原の虹はスケールが陸地とは違う。
 朝食。たいていの人は定食にしていたが、ご飯・みそ汁セットに好みのおかずを選ぶ方式にした。

 値段は定食の場合とほぼ同じ。定食は食券を買うが、この場合は最後にお金を払う。定食におかずをプラスアルファした場合も同じ。
 
 聟島諸島の1つの島。シルエットしかわからないけど、すごい島だなって思った。
 
 売店も覗いてみた。

 下左   ビール等の自販機。250円と船の中だということを考えると良心的な値段だと思う。

 ボタンが2つあるのはスーパードライとオリオン。オリオンがどうして?

 下右   カップ麺の自販機。180円は良心的だと思う。ボタンが2つあるのはトムヤンクンヌードルだけ。これもどうして?
 
 
 定刻通り11時に父島二見港に到着。ちょうど24時間の航海。長かったが、これでも数年前に今回乗ったおが丸が就航する前は、先代のおが丸で25時間30分かかっていたから、早くなった。

 下船は、乗船した所とは別の後部の出入口からも下船がおこなわれ、後部から下船した。
 
 宿の送迎がきていて、車で宿に送ってもらった。

 民宿「海遊」で4泊する。赤い建物の手前は中華料理店で、向うの側に部屋がある。2階にも部屋があるが、自分は1階の部屋で、道路から部屋に直接出入りする。

 当初は朝食付きで予約したのだが、出発直前に2食付きに変更してもらった。東京に緊急事態宣言がでて、飲食店が休業する危惧があったためだ。
 さっそく部屋へ。民宿とは思えない広さだ。30平米程度ある。

 写真は扉から入ったあと、左手の様子。

 下左   こちらは右手の様子、テーブルが大きいのが良い。

 下右   風呂とトイレが別で、バスタブも大きいのもよかった。
 
 
 30分ほど休んで、昼食をとり、そのまま観光をしようと外出。

 港へ向かう道。ほとんどが2階建てで高層ビルは皆無。2階建てとはいってもほとんどRC造りのようだ。2階建てでRC造りは割高だと思うのだが、台風への対策だろう。
 
 港までは500mほど。この通りはほぼ商店やオフィスで、住宅は横道を履いたところに多い。

 飲食店は休業や時短が多く、宿を2食付きに換えて良かったと思った。

 下左   緊急事態中は休業の店。

 下右  こちらは夕方のみの営業で、昼食時は閉まっていた。
 
 
 さめバーガーを出している店にしようと港の方面に向かった。

 その途中、目に入ったのが”島寿司あります”という掲示。

 それで、この店で島寿司を食べていくことにしたのだ。
 
 頭の中は”島寿司”で一杯になった。実はこの店は緊急事態を受けてテイクアウト専門で営業していたのだ。そのことに気づかなかった。写真を見ると、袋に入った弁当も写っているが、この時はわからなかったのだ。
 
 注文した島寿司。渡されたときは、ちょっと変だと思った。皿に盛られたものじゃなく、パック入りだったので。

 でも、食べ始めた。お茶も出してくれないのかと思いながら、
 
 島寿司は、魚(この店では、さわらだった)を醤油漬けにして、ネタにした握り寿司。そして、ネタとシャリの間にはわさびじゃなく辛子が塗られているのが特徴。

 大東島で食べた大東寿司と同じだ。大東島の場合は八丈島からの移住者が始めたのだが、小笠原の場合も八丈島からの移住者から始まった。 だから十数年前に大東島で食べて以来なのだ。

 食べ終わってから気づいた。この店はテイクアウト専門店になっているのだと。だからパックで割らされ、お茶もなかったのだ。

 ちょっと恥ずかしい思いをして店から出た。入口には確かにテイクアウトだけの営業と書いてある。入店の際には”島寿司”でぼぉーっとなってしまい気づかなかったようだ。
 
 午後は、父島の中を歩いて回ろうと思う。少しだけ路線バスも利用したい。

 最初に、港や宿、昼食を食べたばかりの店などがある市街地の裏手の山にあがり、大神山(おおがみやま)神社に参拝し展望台に行ってみる。

 参道の石段がすごい。暑い中、ここを上がるのはつらそうだが、上がる。

 下左   上まで上がったのだが、さらに右折して石段が続いていた。

 下右   大神山神社に到着し、参拝。
 
 
 
 上左   再び石段を上がる。

 上右   1つ目の展望台に到着。これはメイン展望台。

 左   メイン展望台から港を見る。左の方に見える船がおが丸。
 
 さらに少し上がるとトンネルがある。

 トーチカと呼ばれ、空襲から逃れるために造られた地下の陣地。入口は背をかがめて入る。中には立っていられる空間もあった。暑い中、汗をかいて上がってきたので、涼しくてしばらく滞在。
 
 トンネルを抜けて、さらに坂道を少し上がると2つ目の展望台に到着。山頂展望台だ。

 下  山頂展望台からの眺め。左下におが丸が見える。
 
 
 展望台からは3つ目の展望台であるパノラマ展望台が見える。さらに高い位置にあるが、低い方が山頂展望台とはよくわからない。

 まだ上がるのかって思ったが、ここまできたら上がらなくては。
 
パノラマ展望台に到着。ここからは島の北側の山や集落がみられるようになっていたが、海は少ししか見えず、景色はあまりよくない。

 南側にある港が見渡されるところへはさらに少し歩かねばならない。
 
 展望台の東側は崖のようになっている。写真の左は小笠原高校で山を削って作られたことや港から少し高い位置にあることがわかる。

 港で見えているのは一番奥にある漁港で、おが丸は写真の右下に停泊している。
 
 停泊しているおが丸を望遠で拡大。

 大神山にはメイン、山頂、パノラマと3つの展望台があり、風景そのものは同じような感じだったが、市街地近くで手軽にハイキングできた。

 上がってきた道を一気に下山。1時間ほどの滞在だった。
 
 
 上左   大神山から下山し、「青灯台入口」バス停から村営バスに乗車。

 上右   村営バス。

 左  車内。

 父島のバスには独特のルールがある。、乗車時に200円を料金箱に入れるとともに、行先を告げるのだ。このときは、このルールを知らなかったので、ドライバーからどこまで乗るか聞かれた。
 
 行先を言っても、降車ボタンは押してくださいとの掲示。

 バスのコースはメインになるのが村役場と島の南の小港海岸を結ぶもので、10kmほどを20分で結ぶ。1日10往復程度。昼間は1時間に1便程度あり、そこそこ利用しやすい。ほかに島の北部の循環コースがあるが、こちらはわずかの本数で利用しにくい。
 青灯台入口から数分の境浦海岸で下車。ここのバス停は、看板の絵がかわいいくじら。

 バス停は崖上にあり、急な坂道を下って海岸に向かう。

 下   海岸から100mほどのところに沈没船が上部だけ見えている。

 濱江丸である。第2次大戦時に軍需物資を輸送していたが、サイパン島から撤退するさい攻撃を受け、何とか父島まで逃げたものの座礁し、その後、魚雷攻撃で沈没した。

 現在、上部も一部分だけが海上に見えている。
 
 
 海岸から見た濱江丸。

 船体の大部分は海中にあって、漁礁として役立っているようだ。シュノーケルを楽しんでいた人たちが魚がたくさんいたことを話していた。

 下左   ビーチにはサンゴが変化した石が一面にあった。

 下右   市街地方面へ歩く。トンネルがいくつかある。
 
 
 小笠原海洋センター。

 ウミガメが飼育されていて、別名ウミガメセンター。
 
 アオウミガメ。

 家族連れが話を聞いていたので一緒に聞かせてもらった。

 アオウミガメというのは甲羅の色ではなく、脂肪が緑であることか呼ばれる。餌が海草であるので緑になるという。

 下  ふ化させた子カメの水槽。
 
 
 子カメ。
 
 ふ化させているところ。

 年間200頭ほどをふ化させている。

 卵は夜に産卵されていたものを拾ってくるという。
 
 
 上  海洋センターを出て海岸を歩くと、対岸におが丸が停泊。全体がよく見えた。

 左  この付近の海岸は製氷海岸と呼ばれる。昔、製氷工場があったからとか。特別きれうというわけでもなかった。
 
 さらに海岸沿いに歩く。先ほどパノラマ展望台から見えた小笠原高校を今度は下から見る。

 下左   小笠原高校の下のところで左折して市街地に向かう。山の上を見ると、先ほど行ったパノラマ展望台の屋根が見える。
 
 
 上右   小笠原水産センターへ。漁業の振興のための施設だが、その一角に水族館があり、その名も「小さな水族館」。ホントに小さな水族館だった。

 左   水槽の撮影が難しかったが、いくつかの水槽で熱帯魚などが泳いでいた。
 
 水産センターの北側から港まで車道とは別に歩行者用のトンネルがあるので、トンネルを歩いた。2つのトンネルの間のトンネルじゃない区間も入れて300mくらい。

 清瀬トンネル200mほどと50mほど離れて大村トンネル50mほど。防空壕も考慮して作られ、実際に空襲時には防空壕になったトンネルだ。

 
 
 トンネルを出て車道を渡るとおが丸のターミナルがある。下船したときには送迎があったのでじっくり見ることできなかった。
 
 ターミナル内。ここも下船時には入っていなかったので初めて見た。

 下  おが丸の出港。通常はおが丸は父島に着いた3日後に出港するが、8月はピストン運航していて、到着日の午後に出港する。

 蛍の光、ドラの音と盛り上がる。そして出港。旗をふりまわす人も。
 
 
 
 
 上上  おが丸は埠頭から数m横に離れる。いよいよ出港。

 上右  港から出ていくおが丸。小さなボートが並行している。きっとボートから飛び込んだりするのだろう。だが、もう少し行ってから飛び込むようで、飛び込み風景は見られなかった。

 左  飛び込みなどを監視するためだろう。海上保安庁の船がしっかり後を追っている。
 
 おが丸を見送り終えた。港の入口にある灯台だが、なぜか青灯台という。白いのだが。照らしだす光が青いのだろうか。

 おが丸出港のさい、ここから何人かが飛びこんでいたのも見えた。
 
 翌日のトレッキングの手続のために「旅ネーチャーアカデミー」という旅行会社へ。翌日の昼食の弁当も申し込めるということで、申し込んだ。

 昼食は最初はさめバーガーを食べようと思っていたが、さめバーガーを出すハートロックというカフェがこの旅行会社と同じ建物だった。
 
 生協で飲物などを買っていったん宿に戻る。

 生協だが、組合員でない観光客も利用できる。値段は少し高くなっているのだろう。長期滞在の観光客が組合員になれるのかなと思ったが、なれるのは住民票が小笠原にある人だけだった。
 
 宿に戻り、飲物を冷蔵庫に入れてすぐにまた出発した。このあと、宿の近辺の施設を見て歩くが、「小笠原ビジターセンター」は、おが丸入港日の8時30分から出発日の17時に開館となっている。この日は入港かつ出発だが、17時までに行きそびれたら、翌日以降の訪問が難しくなると思った。それで、宿のすぐ裏手にあるセンターへ。
 いろいろな展示があったが、最も関心をもてたのが、過去の小笠原の写真のコーナー。戦前、米国統治時代、復帰直後の写真を見て、小笠原の歴史を知ることができた。残念だったのは、昔の写真や展示品は撮影禁止だったこと。だからここにあげることができない。
 
 続いて、ビジターセンターのそばの大村海岸のビーチへ。ゲートがあるが、出入りの時は必ず占めるようにとのこと。産卵にやってきたウミガメが間違って街の方に行かないようにするため。小笠原の海岸はどこもウミガメの産卵地だが、大村海岸は特に多いという。
 
 大村海岸の陸側にある公園がお祭り広場。村のイベントはここが会場になるのだろう。
 
 お祭り広場の一角は、かつて「ラドフォードスクール」があった場所。

 「ラドフォードスクール」は米国統治時代の小中学校。居住を許された住民の子弟のための学校で、高校に進学する場合はグァムに渡ったという。日本語は禁止で英語が使用された。1968年小笠原復帰で、村立小中学校になり、のちに現在の場所に移転した。
 
 宿の前の車道を渡り北側へ。すぐに佐藤商店がある。飲物などは、生協より少し割高だったが、この店も利用した。6時30分から23時ごろまでの営業であるのが便利。

 下左  「小笠原世界遺産センター」へ。

 下右  緊急事態中は土日祝休館とのこと。この日は土曜なので明後日あたり出直そう。 
 
 
 日本聖公会に属する聖ジョージ教会。入口は閉まっていた。
 
 「気象庁父島気象観測所」。小笠原の観測所はここにあったのかって感じ。
 
 「海上自衛隊 父島基地分遣隊」。

 港から続く車道の終点がこの基地。
 
 車道を宿の前まで戻る。

 村役場。有人島は父島約2100人、母島約400人の2島。

 下左   役場前にある距離の案内板。母島は59q、東京979qなど。

 下右   「Bしっぷ」と名付けられた観光案内所。
 
 
 小笠原郵便局。
 
 警視庁小笠原警察署。
 
 小笠原総合庁舎。

 各種の国の機関が集まっている。

 下   東京都小笠原支庁。
 
 
 小笠原小中学校。

 生徒数は2021年現在、小学生138名、中学生71名で、人口が2100人の父島で約1割を占めている。一般的な離島に比べて年齢構成が若いのが特徴。観光業を中心にして若い移住者が多い影響だろう。
 
 
 上左   17時に宿に戻った。冷やしておいた飲物で一息入れる。緊急事態のため夕食時に酒類は提供されないので、事前に飲んでおいた。

 上右   18時から夕食。昼間は中華料理店として使われているところで。

 左  食事の全景。
 
 目を引くのは刺身。普通の一皿の分量の倍くらいある。これで酒類があればいうことないが。


 下左   赤魚の煮つけ。結構大きな魚で、骨のこともあり、食べるのに時間がかかった。

 下右   天ぷら。品数は少ないがボリュームは満点。
 
 
 
 19時に宿に迎えがやってきてナイトツアーに出発。

 最初に向かったのは大神山の中腹。昼間に上がった階段とは別の少し楽な上り口から上った。

 オガサワラオオコウモリを10羽くらい見た。今まで見たコウモリよりもずっと大きくてびっくり。
 
 国立天文台VERA小笠原観測局。

 父島、石垣島、水沢(岩手県)、入来(鹿児島県)の4ヶ所の電波天文台を利用することで、直径2300qの電波望遠鏡と効果を得られるらしい。
 
 グリーンペペ。

 夜に光るキノコ。とても小さく、手の指の先端くらいの大きさだ。ガイドでもなかなか見つけられなかったが、ようやくいくつかを発見。

 発光は白で、グリーンではない。
 
 コペペ海岸に行き、ヤドカリやカニを観察。

 その昔、コペペさんが住んでいたことに由来する「。
 
 漁港で、夜になるとやってくる魚を観察。これはエイだが、いろいろな魚がやってきていた。

 21時に宿に戻った。

 

 2日目 小笠原のトップ 全体のトップ 4日目