8 日 目  石 門 を 歩 く

 朝食は7時からなのだが、電話がかってきてから食堂へ出向く。日によって10分ほど前後する。

 洋食だった。パン3種とおかずは、典型的な洋朝食向けのものだった。盛合わせにはよく配慮している感じがでている。
 
 ヨーグルトとコーヒーの間にあって、見えにくい”島レモンジャム”を拡大。

 母島産の島レモンジャムで島内で作ってるか自家製だったか、ちょっと忘れたけど、美味しかった。

 朝食後、頼んである昼食のおにぎりを受取る。
 この日は、石門(せきもん)というエリアへのトレッキング。

 母島の中でも湿度が高くなり、植物が密生しうっそうとしたジャングルがあり、固有種も多いという。またカルスト地形がみられる。ドリーネや鍾乳洞のほかラピエ(カレン)と呼ばれるタケノコ状の突き出た岩がみられる。

 母島の中では、石門だけがガイド同行を必須とする特別保護区域になっている。

 8時30分にガイドが出迎え。持参物を確認したあと、出発。ほかに客1名。石門ルートは距離が長く、ツアー料金も高く、1人だと15000円なのだが、2人だと1人10000円になり助かった。またグループの場合は5人につき1人のガイドが必要。

 9時に登山口に到着。小さな駐車場がある。
 
 種子除去装置で靴をぬぐって入山。

 前日行った乳房山との違いは、ガイドなしでは入れない旨の掲示があること。自然保護が目的とはいえ、案内板などはないのでガイドなしでは遭難の危険もあるので、ガイドは必須。また毎年10月から3月は入山禁止だ。
 
 うっそうとした森の中に入る。道は乳房山ほど広くないし、ガイドから離れるととたんに道がわかりにくくなることがある。

 最初は外来種のアカギの森。アカギは繁殖力が強く、駆除対象。ガイドはアカギの駆除作業の仕事もされているという。
 
 グリーンペペがまとめてたくさんあってびっくりした。

 下左   オガサワラビロウ。

 下右   マルハチ。
 
 
 オガサワラオカモノアラガイ。母島の固有種であるカタツムリ。

 殻がとても小さく、体の上に帽子のようにのっている感じ。体は半透明のゼリー状。

 一般的なカタツムリのイメージからかけ離れている。天敵がいないなかで殻が退化していったらしい。
 
 
 視界のきくところに出た。真中の峰が堺ヶ岳。
 
 ジャングルの中を歩く。

 母島の森は、湿性高木林が多く、父島に多い乾性低木林と異なる。より東南アジアなどのジャングルと同じような感じだ。

 なかでも石門エリアは霧が多く、湿度が高くなり固有種を含む植物が密生しやすい。そういえば、前日に乳房山から北方のこのエリアは霧だったと思いだした。
 
 堺ヶ岳の中腹を通る石門への道から分岐して堺ヶ岳の頂上の少し下へ。藪を描き分けていくと、視界が開け、乳房山が見えた。半島は東崎。
 
 テンスジアカモノアラガイ。これも母島の固有種だが、殻が大きい。
 
 いよいよ石門の一帯が見えてきた。
 
 シマコショー。小笠原の固有種。

 下左   ノヤシ。小笠原の固有種。

 ヤシ科だが、ココヤシのように平地ではなく、山地で見られる。

 下右   手で草をかき分けながら進む。
 
 
 海の一部が白くなっている。カルスト地形のため石灰分の多い地下水が海に流れ出しているため。
 
 昼食。宿でつくってもらったおにぎり。
 
 石門エリアを探索。カルスト地形の中を歩く。これは石灰岩の大きな塊。
 
 一面、石灰岩の盆地(ドリーネ)があった。
 
 地面から塔状に出ている石灰岩。ラピエ(仏語)またはカレン(独語)という。
 
 鍾乳洞。白いのは懐中電灯で照らしているところ。
 
 大理石。大理石はもともとは石灰岩で、熱によって変成したしたもの。大理石があるとは思わなかった。

 石灰岩は堆積岩に分類されるが、大理石は変成岩に分類される。
 
 ハート型の葉。ヒメタニワタリというシダの一種。滅多に見られない希少種だが、小笠原の固有種ではない。
 
 ラピエの中を歩き進んだ。
 
 ラピエの中でも地表から少しだけ顔を出しているものは、つまづいたり、すべったりして危ない。しかも、とがっているので、ケガをしやすく、注意して慎重に歩いた。

 下   ついに石門の北端に到着。湾の対岸に東港、さらに母島の北端が見える。写真の左下と右下にはラピエの頂上部が写っている。
 
 
 
 上   湾の入口の側。

 左   やってきた道を引き返す。行きとは違うコースも通ったらしいが、どこが行きと違うかよくわからなかった。

 行きは昼食時間を入れて4時間、帰りは3時間要した。
 
 登山口に戻ってきた。

 石門への登山客は年間300人ほどとのこと。希少な体験ができたよかった。
 
 漁協のスーパーに立ち寄り、飲物を買う。
 
 この日は丸1日歩き、宿に戻ったのは17時。

 入浴して、ビールでくつろぐ。夕食の前に洗濯。18時30分に電話がかかってきて、食堂へ。
 
 上列  香物、なすの揚げ浸し、キクラゲ炒め、鶏マヨ

 中列  キャロットラペ

 下列  ご飯、カメ刺し、かんぱちのホイル焼き、かぼちゃの煮物
 
 カメ刺しを拡大。母島でもカメ刺しが食べられるとは思っていなかったのでよかった。

 

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